ヒゲ脱毛は、自己処理の負担を軽減できるだけでなく、ヒゲの量を調整したり、デザインを整えたりすることもできる人気の施術です。しかし、「脱毛したら逆にヒゲが濃くなった」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。これから脱毛を検討している人や、すでに通っている人は、実際どうなのか不安になりますよね。
実は、ヒゲ脱毛後にヒゲが濃くなる現象の中には、一時的に濃く見えているだけというケースもあります。本記事では、ヒゲ脱毛後にヒゲが濃くなる原因と対処方法、さらにはどろぼうヒゲとの違いについても解説します。
1ヒゲ脱毛でヒゲが濃くなる原因って何?
脱毛は施術を重ねるに連れて、徐々に毛が細く薄くなっていくことがほとんどです。しかし、まれに「脱毛に通っているのにヒゲが濃くなった」と感じる人もいます。なぜ施術を受けた後にヒゲが濃くなってしまうのでしょうか? その原因として、主に以下の2つの要因が考えられます。
ヒゲが濃く見える原因①「硬毛化」
脱毛しているのにヒゲが濃くなったと感じる場合、「硬毛化」と呼ばれる現象が考えられます。硬毛化とは、光やレーザーの刺激によって、太くて濃い毛が生えてきてしまう状態です。
毛量自体は増えていません。
光脱毛や医療レーザー脱毛だけでなく、家庭用脱毛機器でも起こる可能性がある現象です。
はっきりとした原因は解明されていませんが、照射時の出力が毛質に合っておらず、発毛組織に十分なダメージを与えることができなかったことで毛が活性化し、太くて濃い毛が生えてきてしまうのではないかと考えられています。また、光やレーザーによる刺激で、退行期・休止期の毛の成長が促進されることも原因の一つとして推測されています。
硬毛化は産毛や細い毛で起こりやすく、うなじや上腕、背中、お腹、太もも、フェイスラインなどが生じやすい部位です。しかし、毛が生えている場所であればどこでも発生する可能性があり、濃い毛や太い毛が生えている部位であっても起こる可能性は0ではありません。また、10〜30代の色白肌の人に起こりやすいとされるものの、誰にでも起こり得る現象です。
ヒゲが濃く見える原因②「増毛化(多毛化)」
脱毛の施術を受けた後に毛量が増えたように感じる場合は、「増毛化」が考えられます。増毛化とは、文字通り毛の量が増えてしまう現象です。
しかし、毛穴の数は生まれつき決まっており、脱毛によって新たな毛穴ができることはありません。そのため、増毛化は実際に毛が増えたわけではなく、これまで目立たなかった産毛や休止していた毛が照射によって目立つようになり、増えた・濃くなったと感じることがほとんどだとされています。
増毛化の原因もはっきりとは分かっていませんが、硬毛化と同様に、照射時のエネルギーが十分ではなかった場合に毛が刺激を受け、太くなったり発毛が促進されたりするのではないかと考えられています。増毛化が起こりやすい部位も硬毛化とほとんど同じで、うなじ、背中、二の腕、太もも、お尻などに多くみられるようです。
2 硬毛化・増毛化した場合の対処法は?
硬毛化・増毛化への対処法はサロンやクリニックによって異なりますが、主に以下の4つの方法が挙げられます。
①休止期間を設ける(自然回復を待つ)
硬毛化・増毛化した毛が抜けた後、自然と元の太さに戻ることもあるので、休止期間を設けたあと、出力を調整して再度照射し、改善を図ることがあります。休止期間はサロンやクリニックによって異なりますが、硬毛化・増毛化した毛は毛周期が長くなっているため、数ヶ月以上の経過観察を行うことが一般的です。
一方で、同じ方法で照射を続けると悪化することがあるため、硬毛化・増毛化した部位にはこれ以上照射をしない(中断する)という判断をするサロン・クリニックもあります。
②照射パワーを強くする
前述した通り、硬毛化・増毛化は、光やレーザーの出力が不十分であることが原因であるという説が有力視されているため、対処法の1つとして出力を上げて照射するという対応を行うクリニックは少なくありません。ただし、出力を強くすると火傷や肌へのダメージのリスクが高まるため、肌の状態を十分に確認しながら、慎重に判断されます。
光脱毛の場合、脱毛機器の出力が制限されているため、照射パワーをあげられないことも多いです。しかし、サロンによっては出力調整のできる脱毛機器を導入しているので、脱毛を検討している人は、どのような脱毛機器を使用しているかを確認しておくとよいでしょう。
③脱毛機器を変更する
複数の脱毛機器を採用していたり、照射方法やレーザーの種類を切り替えることができる脱毛機器を導入しているクリニックでは、現在使用している脱毛機器を変更して対応することもあります。例えば、照射方法を熱破壊式から蓄熱式に変更したり、使用するレーザーの種類を変えたりすることで、改善を図ります。
光脱毛で硬毛化・増毛化が起きた場合には、医療脱毛に切り替えることも手段の1つです。
④医療ニードル脱毛に切り替える
硬毛化・増毛化が起こった部位のみ、医療ニードル脱毛に切り替えるという方法もあります。医療ニードル脱毛はメラニン色素の量に左右されず、毛穴に細い針を挿入して電気を流し、直接発毛組織を破壊する脱毛方法なので、硬毛化・増毛化した毛にも対応することが可能です。
ただし、1本1本の施術となるため、硬毛化・増毛化の範囲が広い場合は時間がかかるほか、費用も高くなります。また、医療ニードル脱毛は痛みも強いです。麻酔クリームや局所麻酔を使用しての施術が可能なクリニックは多いですが、痛みに敏感な人には向いていません。
硬毛化・増毛化を予防することはできる?
硬毛化・増毛化の発生メカニズムは解明されていないため、完全に予防する方法はありません。ただし、発毛組織への中途半端なダメージが原因の一つと考えられていることから、十分なダメージを与えることができるレーザーを選んだり、蓄熱式の照射方法を選択することで、リスクを抑えることができる可能性はあります。硬毛化・増毛化を絶対に避けたいという場合は、これらが生じやすい部位の施術を受けないことも一つの方法でしょう。
硬毛化・増毛化の症状は、施術から1〜3ヶ月後に現れることが多いため、一時的に濃く見えているだけなのか、実際に硬毛化・増毛化が起こっているのかをすぐに判断することは難しいです。
ただし、施術から数ヶ月経過し、普段は薄い毛しか生えていない部位に太くて黒い毛が見られたり、脱毛前よりも毛の量が増えたように感じられた場合、硬毛化・増毛化が疑われます。自己判断で処理をしてしまうと正確な判断ができなくなることがあるので、早めにサロンやクリニックに相談するようにしてください。
3 どろぼうヒゲとは?
「ヒゲ脱毛をしたらどろぼうヒゲになった」という声を聞いたことはありませんか?どろぼうヒゲとは、施術後、主に口周りのヒゲが一時的に濃く見える現象を指します。
硬毛化や増毛化は通常、施術4~5回目に起こる傾向にありますが、どろぼうヒゲは1~3回目の照射直後に見られることが多く、1週間~3週間ほど続くのが特徴です。
硬毛化・増毛化とは異なり、実際に毛が太くなったり増えたりしているわけではありません。
どろぼうヒゲはヒゲ脱毛を受けた多くの人が経験する一時的な現象であるため、サロンやクリニックでは特に問題視せず、施術を継続するのが一般的です。
どろぼうヒゲの原因としては、次のような要因が関係していると言われています。
①毛が膨張するから
光やレーザーの熱により毛が膨張し、照射前よりもヒゲが濃くなったように見えてしまうことがあります。
②焼けカスが残っているから
レーザーによって焼かれた毛が一部毛穴の中に残ってしまい、肌が黒く見え、濃くなったように感じることがあります。
③毛先が丸くなるから
光やレーザーの照射を受けたことで毛先が丸くなり、断面積が広くなって毛が目立ち、濃く見えることがあります。
4 どろぼうヒゲになってしまったら
どろぼうヒゲは上記のような理由から、「照射後一時的に毛が濃くなったように見える現象」なので、基本的には放っておいても問題がない場合が多いとされています。ただし、乾燥を防ぎ、しっかりと保湿することで、毛穴の中に残った毛が抜けやすくなり、どろぼうヒゲの解消を早めることができます。
保湿は脱毛効果を高めるためにも非常に大切です。乾燥肌は皮膚が硬くなって毛が抜けにくくなり脱毛効果が低下する可能性があります。また、皮膚が乾燥していると熱刺激を感じやすくなるため、照射時の痛みが強くなってしまうと言われています。
さらに、照射後の肌は皮膚に熱がこもっている状態です。肌の水分が奪われバリア機能も低下しており、とてもデリケートになっています。肌を落ち着かせ保護するためにも、施術を受けた後もしっかりと保湿を行いましょう。
なお、脱毛を進めていくと毛質が柔らかく細くなっていくので、だんだんヒゲが剃りにくくなっていきます。剃り残しがあると目立ちやすく濃くなったように感じてしまうので、以前よりも丁寧にシェービングを行うことも大切です。
目立っても毛抜きで抜くのはNG!
ヒゲがコンプレックスで脱毛に通い始めた人であれば、施術を受けたのにヒゲが余計に目立つようになって不安に感じるかもしれません。しかし、目立つからと言って毛抜きを使って抜いてしまうと毛穴から雑菌が入って毛嚢炎を招いたり、埋没毛の原因となる可能性があります。
また、毛抜きで抜いてしまうことで毛周期が乱れ、次回以降の施術がスムーズに進まなくなる恐れもあります。どろぼうヒゲは一時的なものなので、毛抜きで無理に自己処理せず、自然と抜け落ちるのを待ちましょう。
どうしても気になる場合には、マスクやコンシーラーを使って隠すのがおすすめです。
5 ポップアップ現象とは
どろぼうヒゲと似ている現象に「ポップアップ現象」というものがあります。
ポップアップ現象とは、レーザーによって破壊された発毛組織が、毛穴の中でちぎれて皮膚の表面に押し出されたり、根本からポロポロ抜け落ちたりする状態です。レーザーが反応しやすい太くて濃い毛が生えている部位で起こりやすい傾向にあります。そのため、ヒゲだけでなく、ワキやVIOでも起こりやすいです。
一般的に、熱破壊式の照射方法でレーザーによる施術を行った場合に起きる現象だとされています。
ポップアップ現象が発生するタイミングは?
ポップアップ現象は早ければ施術直後から見られ、照射後ジェルを拭き取ってもらう際にポロポロと抜けることも珍しくないようです。施術を受けてから数日経つと、毛穴に残っていた毛が皮膚の表面に浮き出てきて、だいたい2~3週間かけてまばらに抜け落ちていきます。
施術後すぐに毛が抜けると効果を実感しやすいですが、ポップアップ現象が起きたからといって、その毛が今後生えてこないとは限りません。1回の照射で発毛組織を完全に破壊することは難しく、また、成長期以外の毛には十分な効果が得られにくいため、ポップアップ現象が起きた毛でも再び生えてくる可能性があります。
そもそも、脱毛の効果をしっかり実感するには通常5~6回程度の施術が必要です。ポップアップ現象が起こらなかった場合でも、脱毛の効果が得られていないわけではないので、心配する必要はありません。
抜かずに放置が◎
どろぼうヒゲと同様、ポップアップ現象も一時的な現象であり、時間とともに抜け落ちていきます。浮き上がってきた毛は目立つので気になるかもしれませんが、無理に抜こうとせず、自然に抜けるのを待ちましょう。保湿を徹底したり、規則正しい生活を意識して肌のターンオーバーを促すことで、照射後のヒゲが抜けやすくなります。
6 脱毛後に濃くなるのは一時的な現象の場合もある
せっかく脱毛を始めたのに毛が濃くなってしまったら不安になってしまいますが、本当に太くなっていることもあれば、一時的な現象である場合もあります。
どろぼうヒゲやポップアップ現象により一時的にヒゲが濃くなったように見えるケースでは、時間の経過とともに自然に抜け落ちていくため、大きく不安を感じる必要はありません。しっかりとケアをすれば毛穴に残った毛が抜けやすくなり、早く解消することが可能です。無理やり抜いたり、押し出そうとしたりするのは避け、施術後は保湿を意識的に行うようにしましょう。
また、ヒゲはメラニン色素の量が多く、太くて濃い毛のため、一般的に増毛化・硬毛化のリスクは低いとされていますが、発生する可能性はゼロではありません。もしも施術を受けた後に硬毛化・増毛化が疑われる場合には、自己判断で剃ったり抜いたりせず、エステ・サロンやクリニックに相談するようにしてください。
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