脱毛を考えている人の中には、「白髪が混ざっていても脱毛できるのだろうか?」と疑問に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。年齢を重ねると頭髪だけでなくヒゲにも白髪が混ざることがあるため、実際どうなのか気になりますよね。
一般的に、ヒゲは髪の毛よりも白髪になるのが遅いと言われていますが、白髪になってからでも脱毛は可能なのでしょうか? 今回は、白髪ヒゲの脱毛可否や、白髪でも脱毛できる方法、さらには白髪の発生メカニズムと予防する方法について詳しく解説します。
1 白髪は脱毛できる?
35歳を過ぎたあたりから目立ち始める白髪。脱毛に行くかどうか悩んでいる間に、気づけばヒゲに白髪が混ざるようになっていた…という人もいるかもしれません。白髪は脱毛することができるのでしょうか?
光脱毛や医療レーザー脱毛では十分な効果は得られない
白髪が混ざっていても脱毛の施術を受けること自体は可能です。ただし、光脱毛や医療レーザー脱毛では、白髪にはほとんど効果がありません。
これは、光脱毛・医療レーザー脱毛の仕組みが関係しています。脱毛方法として主流な「光脱毛」と「医療レーザー脱毛」は、メラニン色素に反応する光やレーザーを照射して、発毛組織に熱ダメージを与え、脱毛効果を得るものです。
しかし、白髪にはメラニン色素がほとんど含まれていません。そのため、光やレーザーを照射しても白髪には反応せず、十分な脱毛効果が期待できないのです。
なお、黒い毛と白髪が混ざっている部分の施術を受けた場合、黒い毛には通常どおり脱毛効果を実感することができます。
白髪染めしても意味はない?
「メラニン色素に反応するのであれば、白髪の部分を染めたら効果があるのでは?」と考える人もいますが、白髪の部分を染めたとしても脱毛の効果は得られません。白髪染めは毛の表面や内部の一部を一時的に着色しているだけであり、光やレーザーが反応する「メラニン色素」を増やすわけではないからです。そのため、たとえ黒く染めても白髪には脱毛効果がありません。
白髪ヒゲを抜くのはダメ?
白髪は光やレーザーでは脱毛することができず、染めても意味がないのなら、いっそ抜いてしまおうと思う人もいるかもしれません。しかし、白髪を抜いても発毛組織を破壊することはできず、しばらくすると再び生えてきてしまいます。さらに、毛を抜くことにはいくつかのリスクが伴うため注意が必要です。
まず、毛を抜くという行為は肌に大きな負担がかかります。特にヒゲは、太くて濃い毛が皮膚の薄い部分に生えているため、無理に抜こうとすることで毛穴や皮膚が傷つき、出血や肌荒れを引き起こすリスクが高いです。また、埋没毛や毛嚢炎の原因にもなりかねません。
綺麗に抜けたとしても、抜いたことによる肌へのダメージで炎症が起きると色素沈着を招くケースもあります。毛を抜いて処理することは、これらのような肌トラブルを引き起こす可能性があるので、できるだけ避けるようにしましょう。
2 白髪に有効な脱毛方法はあるの?
光脱毛や医療レーザー脱毛は白髪に効果がないのであれば、脱毛する手立てはないのかと不安になりますよね。しかし、白髪でも脱毛できる方法はあります。それは、医療ニードル脱毛(絶縁針脱毛/医療針脱毛)です。
医療ニードル脱毛とは、極細の針を毛穴に挿入し、電気を流して直接発毛組織を破壊する方法です。メラニン色素の量に依存しない脱毛方法であるため、白髪や金髪、産毛といった色素が少ない毛や薄い毛にも効果を発揮します。
ニードル脱毛にはエステサロンで行われる美容電気脱毛もありますが、発毛組織を完全に破壊できるのは、クリニックで提供される医療ニードル脱毛です。
ただし、ニードル脱毛は1本ずつ施術を行うため、時間がかかります。料金体系は本数単位(例:毛1本につき500円~)や時間単位(例:30分税込み1万円)などクリニックによって異なり、施術で使用する針の費用も別途4,000~5,000円程度かかることが一般的で、トータルの費用が高額になりやすいです。
また、光脱毛や医療レーザー脱毛と比べて強い痛みも伴います。「ニードル脱毛は気になるけど、痛みに不安がある」という場合には、施術時の痛みを軽減するためにどんな対策をしているのか、事前に聞いておくとよいでしょう。
3 白髪の発生メカニズムと白髪を助長する要因
毛髪や体毛の色は、メラニン色素の量や種類によって決まります。メラニン色素は、メラノサイトと呼ばれる色素細胞で作られますが、何らかの要因によってメラノサイトの機能が低下し、メラニン色素を十分に産生できなくなることで、毛の色が失われ、白髪となります。
ヒゲに白髪が生える主な原因は、加齢に伴いメラノサイトの働きが弱まることだとされていますが、白髪の発生は加齢だけでなく、さまざまな要因が影響しています。ここでは、白髪を助長する主な要因について詳しく見ていきましょう。
加齢
白髪の大きな原因は加齢だと考えられています。年齢を重ねることで基礎代謝が低下し、色素を作るメラノサイトの働きが弱まることで、結果として白髪が発生するのです。
また、加齢に伴い色素幹細胞(※1)の減少や女性ホルモン(※2)の分泌量が少なくなります。色素幹細胞や女性ホルモンはメラニン色素の生成に関わるため、これらが減少することは間接的に白髪の発生を助長する要因となると考えられています。
ただし、若い年齢で白髪が目立つ人もいれば、40~50代になってもあまり目立たない人もおり、個人差が大きいです。
※1色素幹細胞…メラノサイトの供給源。メラノサイトに分化して、メラニン色素を生成する。色素幹細胞が減少すると、メラノサイトの減少に繋がり、結果としてメラニン色素の産生量が減少する可能性がある。
※2女性ホルモン…さまざまな役割を持ち、そのうちの1つとして毛の老化抑制にも関与している。女性ホルモン(エストロゲン)が減少することでメラノサイトの機能低下を招き、メラニン色素の産生量も減少する可能性がある。
ストレス
白髪が生える原因の1つとして、ストレスが関係していると聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。過剰なストレスがかかると、体内で活性酸素が発生しますが、これがメラノサイトや色素幹細胞にダメージを与えることで、メラニン色素の産生量が減少します。
また、ストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になります。交感神経は毛細血管を収縮させ、血流やリンパの流れの低下を招きますが、そうすると毛根に十分な栄養が届かなくなるため、白髪の原因となることもあります。
栄養不足
偏った食生活が続くと、メラノサイトの働きに必要な栄養が不足し、メラニン色素の産生が低下する可能性があります。メラニン色素の産生には、タンパク質やアミノ酸、亜鉛・鉄分といったミネラルなどの栄養素が特に重要ですが、不足するとメラニン色素が十分に作られず、白髪が発生しやすくなります。
紫外線
紫外線を浴びすぎると、体内の活性酸素が増加します。増えすぎた活性酸素は健康な細胞を攻撃するようになるため、メラノサイトにもダメージを与えることがあります。その結果、メラノサイトの機能が低下し、メラニン色素の産生量が減少することで白髪の原因となってしまうのです。
運動不足
運動不足はメラノサイトの機能低下を招く要因の一つと考えられています。運動不足により血流が悪化すると、メラノサイトに必要な栄養や酸素が届かなくなり、結果としてメラニン色素の産生量が低下し、白髪が増えやすくなることがあります。
また、運動不足は自律神経の乱れを引き起こし、ストレスの蓄積を招くことがあります。ストレスによって過剰に産出された活性酸素はメラノサイトにダメージを与えるので、白髪の進行につながる可能性があります。
喫煙
たばこに含まれるニコチンは交感神経を過度に刺激し、血管を収縮させ、血流の悪化を招きます。血行不良になるとメラニン色素の生成に必要な栄養が毛根に届きにくくなるため、白髪の原因となることがあります。
また、喫煙すると活性酸素が大量に発生するので、メラノサイトがダメージを受け、白髪が増える原因となることもあります。
遺伝
白髪の発生は加齢だけでなく、遺伝的要因もある程度関わっていると考えられています。遺伝による白髪の発生メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、白髪が多い家系では子どもも白髪になりやすい傾向にあるようです。
また、10代~20代に見られる若白髪の場合は、遺伝的要因が強く関係していると考えられています。
しかし、近年では、偏った食生活や運動不足に加え、スマートフォンやPCのブルーライトの影響による睡眠の質の低下、眼精疲労、血流の悪化なども白髪の発生に影響を及ぼしているのではないかと言われています。
脱毛後にヒゲが白髪になることはある?
白髪は、毛根に存在するメラノサイトの機能が弱まり、メラニン色素の産生量が少なくなることで生じるとされています。そのため、脱毛の施術そのもので黒かった毛が白くなるとは考えにくいでしょう。
しかし、脱毛をしたことで白髪が気になるようになったというケースは少なくないようです。これは、脱毛によって黒い毛が減ることで、もともと生えていた白髪が目立つようになったことが関係していると考えられます。
4 白髪の発生を防ぐために意識したいこと
白髪は自然な老化現象であり、完全に防ぐことはできません。しかし、一度白髪になると光脱毛や医療レーザー脱毛では対応できないため、脱毛を考えている場合は、できるだけ白髪の発生を遅らせるよう心がけることが重要です。ここでは、普段の生活で意識できるポイントをご紹介します。
生活リズムを整え、十分な睡眠をとる
生活リズムの乱れはストレスを引き起こし、これがホルモンバランスの乱れを招く原因となることがあります。ホルモンバランスが乱れるとメラノサイトの機能が低下し、白髪の発生に寄与する可能性があるため、規則正しい生活を心がけるようにしましょう。
また、深い睡眠をとると成長ホルモンが分泌され細胞の修復が促進されるので、毛根の健康を保つためには、よく眠ることも重要です。さらに、睡眠にはストレスを和らげる効果もあります。質の良い睡眠をとり、ストレスが引き起こす活性酸素の増加を抑えることで、メラノサイトの機能低下を防いで白髪の進行を抑えることができるでしょう。
適度にストレスを発散する
ストレスが溜まると、活性酸素が増加したり、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまうため、リラックスできる時間を意識的に設けるようにしましょう。適度な運動を取り入れるのも効果的です。ストレスを発散することによって、体調や心のバランスが整い、白髪予防にも繋がります。
栄養バランスを意識する
バランスの取れた食事は健康な毛の成長を支えるため、白髪予防にも役立つと考えられます。特に、毛の主成分であるタンパク質をはじめ、亜鉛や鉄分などの栄養素が不足すると、健康な毛の生育が損なわれる可能性があります。普段の食事でこれらの栄養素を意識的に摂取することが大切です。食事でバランスよく摂取することが難しい場合には、サプリメントも活用しましょう。
UVケアを徹底する
紫外線による影響を抑えるためには、UVケアを意識することが大切です。特に顔は日差しの影響を受けやすいので、ヒゲの白髪を防ぐためにも日焼け止めや帽子などで紫外線対策を行いましょう。
喫煙を控える
喫煙は血流の悪化を招いたり、活性酸素を増やします。そのため、できるだけ白髪を予防したいという場合には、禁煙することも選択肢の1つです。
5 脱毛を希望する場合は白髪ヒゲが生える前に開始しよう
今回は、白髪と脱毛の関係について解説しました。脱毛方法として一般的な光脱毛やレーザー脱毛では白髪を脱毛することはできません。年齢を重ねて白髪が混ざり始めてから脱毛をすると、白髪だけ残ってしまう懸念もあるため、しっかりと脱毛効果を得たいという場合には、なるべく早めに決断することが大切です。
白髪は加齢や遺伝だけでなく、ストレスや栄養不足、紫外線、運動不足などさまざまな要因が関係しているとされています。白髪の発生を抑えるためには、日頃から意識して行動することが大切です。規則正しい生活や栄養バランスのとれた食事、紫外線対策などを心がけ、白髪の発生を遅らせるよう努めましょう。
もしも脱毛を迷っている間に白髪が混ざるようになってしまったという場合、ニードル脱毛であれば対処することも可能です。しかし、費用がかかることに加え強い痛みも伴うため、「ゆくゆくは脱毛をしたい」と考えている方は、白髪が生える前に光脱毛や医療レーザー脱毛をはじめることをおすすめします。
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