脱毛には大きく分けて美容脱毛と医療脱毛があり、それぞれメリット・デメリットがあります。美容脱毛はサロンなどで気軽に受けることができるため、脱毛を初めて受ける人や学生に特に人気がありますが、「実際どれくらい効果があるの?」と疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。
美容脱毛は医療脱毛と同じレベルの効果を得ることはできないものの、正しい知識を持ち、自分に合った方法を選ぶことで、満足のいく脱毛効果を実感することが可能です。
今回は、美容脱毛と医療脱毛の違いや効果、メリット・デメリット、さらには脱毛効果を高めるためのポイントについて詳しくご紹介します。
1 美容脱毛とは?
美容脱毛とは、医療行為を伴わない施術を指し、主に「光脱毛(フラッシュ脱毛)」、「ワックス脱毛」、「糸脱毛(スレッディング)」、「美容電気脱毛」などが該当します。これらの方法はいずれもムダ毛を目立たなくすることを目的としており、一時的な抑毛・減毛効果が期待できるものです。
主にエステサロンや脱毛サロンで提供されることが多いため、エステ脱毛・サロン脱毛とも呼ばれています。
光脱毛の種類
美容脱毛の中でも一般的な方法が「光脱毛(フラッシュ脱毛)」です。この施術では、特殊な光を照射することで発毛を抑制し、抑毛・減毛を目指します。光脱毛には主に4つの種類があります。
IPL脱毛(インテンス・パルス・ライト脱毛)
IPL脱毛は、メラニン色素に反応する光を照射し、熱ダメージを与えることで発毛を抑制する方法です。医療レーザー脱毛用のレーザーと比べるとパワーは弱いですが、特にヒゲやワキ、VIOなどの太くて濃い毛に効果が期待できると言われています。広範囲に照射することができるので、施術時間が短く済むところもメリットでしょう。
ただし、肌への刺激がやや強く、光脱毛の中では痛みを感じやすいです。また、メラニン色素が少ない産毛には効果が出にくい傾向があります。
なお、IPL脱毛はメラニン色素に反応する光を照射するため、メラニンの量が増えている日焼け後の肌や肌のトーンが暗い人は光によって火傷をしてしまう恐れがあります。そのため、肌の状態によっては施術を受けることができません。
SHR脱毛(スーパー・ヘアー・リムーバル脱毛)
SHR脱毛は、発毛の指示を出すバルジ領域に低パワーの光を繰り返し照射することで毛を生えにくくする方法です。メラニン色素の量に左右されないため、濃い毛だけでなく産毛にもアプローチ可能で、日焼けした肌やほくろがある部位にも照射することができます。低出力なので肌への負担が小さく、痛みも少ないです。
一方で、弱い熱で毛包にダメージを与える方法なので、即効性はありません。施術を重ねることで徐々に効果を実感できますが、IPL脱毛などに比べると変化を感じるまでに時間がかかる傾向があります。そのため、短期間で脱毛を完了させたい人には不向きかもしれません。
また、比較的新しい脱毛方法なので、SHR脱毛を導入しているエステ・サロンは少ないです。
なお、SHR脱毛は毛周期の影響を受けにくく、比較的短い間隔で施術が可能とされていますが、より効率的に脱毛を進めるためには適切な間隔を空けて施術を受けるのが望ましいでしょう。
SSC脱毛(スムース・スキン・コントロール脱毛)
SSC脱毛は、抑毛成分を含むビーンズジェルを肌に塗布し、その上からクリプトンライトという特殊な光を照射することで、ジェルの抑毛成分を活性化させ、毛の成長を抑える方法です。
産毛や薄い毛にも有効だとされており、毛質を選びません。また、肌に優しく、痛みが少ないところも大きなメリットです。さらに、ビーンズジェルにはフィリニーブという成分が含まれており、抑毛効果だけでなく美肌効果も期待できると言われています。
一方で、SSC脱毛は抑毛を目的とした方法であり、厳密には脱毛ではありません。また、即効性はなく、効果を実感するまでには時間がかかります。SSC脱毛で使用されるクリプトンライトは一般的なIPL脱毛で使用される光ほど強くはないものの、メラニン色素に反応するので、日焼け後や色黒の肌、ほくろやシミがある部分には照射ができないケースも多いです。さらに、施術時にはジェルを塗布するため、冷たさを感じやすく、体が冷えやすい点もデメリットと言えるでしょう。
THR脱毛(サーモ・ヒート・リムーバー脱毛)
THR脱毛は、SHR脱毛と同様にバルジ領域に熱を加えて脱毛を促す仕組みですが、より安定した熱エネルギーを持続的に与えることができるため、効果を実感しやすいとされています。比較的肌への負担が少なく、痛みも感じにくいです。
また、連続照射が可能であり、施術時間が短縮できるというメリットもあります。産毛や細い毛にも効果が期待できるほか、日焼け肌にも照射可能で、赤外線による美肌効果も見込めます。
ただし、IPL脱毛と比較すると即効性が低いため、効果を実感するまでに時間がかかる傾向があります。また、比較的新しい技術のため、THR脱毛を導入しているエステ・サロンはまだ多くはありません。
2 美容脱毛と医療脱毛との違いは?
脱毛には大きく分けて「美容脱毛」と「医療脱毛」があり、得られる効果や痛みの感じ方、施術回数などに違いがあります。ここでは、美容脱毛と医療脱毛それぞれの中で一般的な施術方法である「光脱毛」と「レーザー脱毛」に焦点を当て、どのような違いがあるのかを5つの観点からご紹介します。
得られる効果
医療レーザー脱毛は、高出力のレーザーを使用して発毛組織を破壊するため、長期的な脱毛効果が期待できます。少ない回数で効果を実感しやすく、一度脱毛が完了すると毛が生えにくくなるのが特徴です。ただし、休止期でレーザーに反応しなかった毛が成長期に入ることで新たに生えてきたり、産後や加齢によるホルモンバランスの変化によって産毛が目立つことがあります。
光脱毛は発毛組織を破壊することはできないため、一時的な抑毛・減毛効果となりますが、回数を重ねるごとに自己処理が楽になっていきます。また、定期的に施術を受けることで毛が細くなったり、生えるスピードが遅くなったりするため、ムダ毛を目立たなくしたいという人にもおすすめです。ただし、ホルモンバランスの影響で毛が再び生えてくることがあります。
照射時の痛み
医療レーザー脱毛は照射パワーが強いため、ゴムで弾かれるような刺激や人によってはそれ以上の痛みを感じることがあります。ただし、照射時の痛みを抑えた脱毛機器を導入していたり、麻酔を使用して施術を受けられたりするなど、痛みを軽減する対策を行っているクリニックは多いです。
一方、光脱毛は医療レーザー脱毛で使用されるレーザーよりも照射時のパワーが弱いため、痛みが少ないという特徴があります。痛みに弱い人や麻酔を使用することに抵抗がある人でも安心して施術を受けることができるでしょう。とはいえ、男性は毛が太く濃いため、部位によっては痛みを感じることもあります。
脱毛完了までに必要な施術回数
「ツルツルにしたい」、「ある程度残したい」など、人によって脱毛を完了とする基準は異なることや、毛質、肌の状態、施術部位、脱毛方法などによって照射が必要な回数は異なるため、脱毛完了までに必要な施術回数は個人差が大きいです。そのため、一概に〇回通えば脱毛が完了するとは断言できませんが、医療レーザー脱毛は出力が強いため、おおむね5~10回程度で完了する傾向にあります。期間に置き換えると1~1年半程度です。
一方、光脱毛は12~18回程度施術を受けることで自己処理が楽になるとされています。毛周期を踏まえて施術を受けていくと、脱毛完了の目安は2~3年程度のようです。
施術者
医療レーザー脱毛は、国家資格を持った医師または看護師が施術を行います。医療レーザー脱毛では高出力のレーザーを使用して発毛組織を破壊するため、医療行為となり、医療従事者しか施術することができません。
光脱毛は特別な資格や免許は必要なく、エステ・サロンで独自の研修を受けたエステティシャンが施術を行います。施術を行うにあたって必要な知識や技術をしっかりと身につけた上で行われるため、有資格者ではないことに不安を感じる必要はありません。なお、エステティシャンの中には脱毛関連の民間資格を取得している人もいます。
施術費用
医療レーザー脱毛は1回あたりの費用が高めですが、少ない回数で完了する傾向にあるため、長期的に見るとコストパフォーマンスが高い場合もあります。
光脱毛は1回あたりの料金が比較的リーズナブルなので、気軽に始めやすいのがメリットです。サロンごとにさまざまなプランが用意されているため、自分に合った料金プランを選びやすいでしょう。ただし、施術回数が多くなるとトータルコストが高額になることもあります。
3 脱毛をすることで得られる副次的な効果
脱毛をすると、毛が少なくなったり、生えるスピードが遅くなったりするだけでなく、さまざまな副次効果が期待できます。主な効果を具体的にご紹介しましょう。
①自己処理が楽になる
施術を重ねることで毛が細くなり、生えるスピードが遅くなるため、自己処理の頻度が減ります。特に、毎朝の面倒なヒゲ剃りが不要になることで、時短につながるだけでなく、ヒゲ剃りによる肌荒れやカミソリ負けのリスクも軽減できます。ムダ毛処理にかかる手間が省けると忙しい朝や入浴時の負担が減るので、より快適に過ごせるようになるでしょう。
②化粧ノリがよくなる
最近ではスキンケアに力を入れていたり、メイクをする男性も増えていますよね。顔の産毛を脱毛すると、肌のトーンが明るく見えやすくなったり、化粧下地やファンデーションが均一に密着しやすくなります。また、産毛がなくなることでメイクがヨレにくくなり、化粧崩れしにくくなるところも大きなメリットです。
③肌荒れしにくくなる
カミソリや毛抜きでの自己処理を繰り返すと、肌に負担がかかり、乾燥や尋常性毛瘡(カミソリ負けによるブツブツ)などの肌トラブルが起こりやすくなります。しかし、脱毛を続け自己処理の頻度が減ることでこれらのリスクが軽減されるため、肌荒れしにくくなるでしょう。また、毛穴が引き締まり目立ちにくくなるといった美肌効果も期待できます。
④体臭やムレの軽減
脇やデリケートゾーンなど、汗をかきやすい部位の毛を減らすことで、ムレを軽減し、雑菌の繁殖を抑えることができます。特に夏場やスポーツをする人にとっては、体毛が減ることで汗をかいたときの不快感が軽減されるため、衛生面でもメリットを感じやすいでしょう。
4 光脱毛のメリット・デメリット
光脱毛は、サロンで受けられる脱毛方法の一つで、気軽に始められる点が魅力の1つです。しかし、メリットがある一方で、人によってはデメリットと感じる点もあります。ここでは、光脱毛ならではのメリット・デメリットをご紹介します。
光脱毛のメリット①痛みが少ない
痛みの感じ方には個人差がありますが、光脱毛はレーザー脱毛と比べて痛みが少ないことが大きなメリットです。脱毛方法によっては温かさを感じる程度で済むことも多いため、痛みに敏感な人や、脱毛が初めてという人でも安心して施術を受けやすいでしょう。
光脱毛のメリット②施術費用が安い
光脱毛は1回あたりの施術費用が比較的安いため、脱毛初心者や学生でも始めやすいです。エステ・サロンによっては、初回限定のプランやお得なキャンペーン、学生向けプランなどが用意されていることもあるので、うまく利用すれば費用を抑えて脱毛をスタートすることができるでしょう。また、継続しやすい料金設定のサロンも多く、気軽に通えるのも魅力です。
光脱毛のデメリット①施術回数が多くなる
光脱毛は医療レーザー脱毛と比べて出力が低く、効果を実感できるまでの施術回数は多くなります。自己処理が楽になるまでには、一般的に12~18回程度の施術が目安です。男性は女性よりも濃い毛が多いので、平均よりもさらに施術が必要になるケースも考えられます。そのため、短期間で脱毛を完了させたい人には向いていません。
光脱毛のデメリット②永久脱毛ではない
光脱毛は、発毛組織を破壊するのではなく、ダメージを与えて毛の成長を抑える仕組みのため、一時的な抑毛・減毛効果に留まります。しっかりと脱毛したいという人は、光脱毛では満足のいく効果を得ることができない可能性が高いです。
ちなみに、「永久脱毛」とは、一度脱毛した毛が二度と生えてこないことを指すと思われがちですが、実際はそうではありません。日本では永久脱毛の定義を明確に定めていませんが、多くのクリニックでは以下の2つの機関の定義を参照しています。
① 米国電気脱毛協会(AEA)の定義
「最終脱毛から1ヶ月後の毛の再生率が20%以下である状態」
② 米国食品医薬品局(FDA)の定義
「3回照射後、6ヶ月経過した時点で67%(2/3)以上の毛が減っている状態」
医療脱毛は永久脱毛とされていますが、「脱毛したら永久に1本も生えない」ということではなく、一定の基準で毛の再生が抑えられている状態を指します。
5 光脱毛の効果をアップさせるために意識したいこと
光脱毛の効果をより実感するためには、日常生活でのケアも重要です。ここでは、光脱毛の効果を高めるために意識したいポイントをご紹介します。
日焼けを避ける
光脱毛の効果を高めるために大切なのが、日焼けを避けることです。
日焼けをすると肌のメラニン量が増えるため、光が毛だけでなく肌のメラニンにも反応してしまい、十分な脱毛効果が得られなくなってしまうことがあります。また、火傷のリスクが高まるため、施術を受けられなくなるケースも少なくありません。
さらに、施術後の肌はデリケートなため、紫外線を浴びると赤みや炎症が出やすく、色素沈着のリスクも高まります。光脱毛の効果を最大限に引き出すには、脱毛に通っている期間はしっかりと紫外線対策を行うことが大切です。
外出時にはSPF30以上の日焼け止めを塗ることを習慣にし、帽子や日傘、長袖なども活用して紫外線から身を守りましょう。汗をかいたらこまめに塗りなおすようにし、室内で過ごすときにも日焼け止めを塗ることが大切です。
適切なケアを行うことで、光脱毛の効果をより高め、ムダ毛の悩みを軽減しながら美しい肌をキープすることができます。
保湿を行う
光脱毛は、肌が十分に潤っていると光が均一に届きやすく、脱毛効果を高めるといわれています。
肌が乾燥していると脱毛効果が下がるだけでなく、照射時に痛みを感じやすくなるため、施術前後のスキンケアを丁寧に行い、乾燥を防ぐことが重要です。
施術前はしっかり保湿し、肌のうるおいを保つようにしましょう。また、施術後は肌がデリケートな状態になっているため、アルコール成分が含まれた刺激の強いスキンケアアイテムの使用は避け、低刺激の化粧水やボディクリームでやさしく保湿し、肌の状態を整えるようにしてください。
施術前の自己処理を正しく行う
光脱毛の効果を最大限に引き出すためには、施術前の自己処理を適切に行うことが重要です。毛抜きやワックスによる自己処理は、毛周期の乱れを引き起こすだけでなく、毛根がなくなることで光が反応せず、脱毛効果が下がる原因になるため避けましょう。
カミソリを使用する場合は、深剃りを避け、肌に優しく丁寧に処理するようにしてください。肌への負担を抑えてムダ毛を処理するためには、脱毛期間中は電気シェーバーを使うのが理想的です。
6 自分に合った脱毛方法を選ぶことが大切
脱毛には大きく分けて「美容脱毛」と「医療脱毛」の2種類があり、それぞれに特徴があります。美容脱毛は、痛みが少なく肌に優しい施術を希望する人や、コストを抑えて気軽に脱毛を始めたい人におすすめです。一方、医療脱毛は、高出力のレーザーを使用するため、短期間でしっかりと脱毛したい人や、医療機関での施術を希望する人に向いています。
美容脱毛の大きなメリットは、刺激が少なく快適に施術を受けられることですが、効果を実感するまでに回数を重ねる必要がある点には注意が必要です。
脱毛方法の選択は、毛質や肌の状態、ライフスタイルによって異なります。「どちらが優れているか」ではなく、「自分に合った方法を選ぶこと」が大切です。痛みの少なさや費用面を重視する人には美容脱毛、より短期間で脱毛を完了させたい人には医療脱毛が適している場合があります。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った脱毛方法を選びましょう。
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