「ヒゲを抜くと生えてこなくなる」と聞いたことはありませんか?毎日のシェービングが面倒だったり、カミソリ負けで肌荒れしてしまうことに悩んでいる人の中には、「この噂が本当なら…」と、ヒゲを抜いて処理したことがある人もいるかもしれません。また、抜けば一時的にツルツルになり、青ヒゲも目立ちにくくなるため、普段から抜いて処理しているという人もいるでしょう。
しかし、ヒゲを抜くことにはさまざまなリスクが伴います。本記事では、「ヒゲを抜くと生えてこなくなる」という噂の真相とヒゲを抜くことで生じるリスク、おすすめの処理方法についてご紹介します。
1 「ヒゲを抜くと生えてこなくなる」って本当?
毛抜きを使ってヒゲを抜くと根元からスポッと抜けたように見え、見た目も綺麗になることから、「もう生えてこないのでは?」と思う方もいるかもしれません。実際、毛を抜き続けることで発毛組織がダメージを受け、一時的に生えてくる毛が細くなることもあり、「薄くなってる!」と感じるケースもあるようです。
しかし、毛を抜いても発毛組織が残っている限り、再び生えてきます。毛を完全になくすには発毛に関わる毛乳頭や毛母細胞、バルジ領域を破壊しなければいけませんが、毛を抜くだけでは毛根周辺の発毛組織は破壊されないので、残っている状態です。
そのため、ヒゲを抜いても生えてこなくなることはありません。
2 ヒゲを抜くことで生じるリスクとは
ヒゲを抜くと、再び生えてくるまでの間隔が長く、一時的にツルツルになるため、肌が綺麗になったと感じるかもしれません。ヒゲの伸びるスピードが速い人にとっては、「夕方に青ヒゲが目立つのを防ぎたい」といった理由で抜いている人もいるでしょう。
しかし、そもそも毛を抜くことは肌に大きな負担をかける行為です。特にヒゲは他の部位と比べて太くしっかりした毛が生えているため、抜く際に強い痛みを伴うほか、抜き続けることで肌トラブルを招く恐れもあります。では、具体的にはどのようなリスクが生じるのでしょうか?
リスク①出血や肌へのダメージ
ヒゲは体毛の中でも特に太くて硬い毛が多く、毛根も深いです。そのため、毛抜きで無理に抜こうとすると、毛穴や皮膚が傷つき、出血してしまうことがあります。
また、ヒゲを抜く際に強い力が加わることで皮膚に細かい傷ができやすく、炎症や赤み、さらにはブツブツなどの肌荒れが生じるケースも。
特に口周りやフェイスラインの皮膚は薄くデリケートなので、ヒゲを抜くことによるダメージを強く受けやすいです。繰り返し抜くと肌トラブルが慢性化する可能性もあるため、ヒゲを抜いて処理するのは避けたほうがよいでしょう。
リスク②埋没毛(埋もれ毛)になる
埋没毛とは、毛が皮膚の中に埋もれたまま成長してしまう状態のこと。
皮膚の下で伸びていることもあれば、毛先だけ皮膚に埋もれていたり、皮膚の表面下で渦巻いていることもあり、さまざまな形で発生します。毛が生えている場所であればどこでも埋没毛になる可能性はありますが、特にヒゲやワキ、VIO、ひざ下、腕や脚など、皮膚が柔らかく太くてしっかりした毛が生えやすい部位にできやすいようです。
誤った自己処理により皮膚がダメージを受けたり、皮膚が乾燥して肌のターンオーバーが乱れたりすることで角質層が分厚くなり、毛穴が塞がれてしまうことが原因だとされています。
そのため、ヒゲを毛抜きで無理に抜くことは、毛穴が傷つき、角質が厚くなって新しく生えてくる毛が皮膚の外に出られず、埋没毛を引き起こしてしまうことがあるのです。
皮膚の下に黒い毛が透けて見えることや、ザラザラとした手触りが気になって、自分で引っ張り出そうとする人は多いですが、無理に毛を引き出そうとすると炎症や色素沈着の原因になるため、自然に出てくるまで待たなければいけません。
リスク③毛嚢炎(毛包炎)になる
毛嚢炎とは、毛穴の奥にある「毛嚢(もうのう)」や「毛包(もうほう)」が細菌感染(主に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌)を起こし、炎症が生じる皮膚トラブル。赤いブツブツや膿をもった白いニキビのような症状が現れることがあります。
ヒゲを毛抜きで抜くと毛穴や周囲の皮膚に負担がかかるので小さな傷ができることがありますが、この傷口に細菌が入り込んでしまうと、毛嚢炎を引き起こすことがあるのです。
軽度の毛嚢炎であれば自然に治ることが多いものの、痛みやかゆみを伴い赤みが広がることがあります。また、悪化して「せつ」や「よう」と呼ばれる状態になると、医療機関での治療が必要です。
リスク④色素沈着を起こす
色素沈着とは、メラニン色素が過剰に生成されることで肌の一部に黒ずみが生じる状態。
ヒゲを毛抜きで抜くと、毛穴や皮膚に強い負担がかかり、炎症を引き起こすことがありますが、この炎症に対する肌の防御反応としてメラニン色素が過剰に生成されると、色素沈着が生じることがあります。
メラニン色素は通常、肌のターンオーバーによって排出されるものの、ターンオーバーが乱れているとメラニンの排出がスムーズに行われず、色素が肌に残りやすくなります。また、紫外線を浴びることでメラニン色素の生成が促進され、色素沈着がより進行する可能性もあります。
ヒゲを抜いて処理する方法は一時的に綺麗に見えますが、繰り返し抜くことでメラニン色素が作り出され、色素沈着を招いてしまう恐れがあるので避けましょう。ちなみに、一度できた色素沈着はセルフケアで改善するのが難しいと言われています。
リスク⑤乾燥肌になる
ヒゲを毛抜きで抜くと、肌が傷ついてバリア機能が低下するため、水分が蒸発しやすくなります。その結果、肌の乾燥を引き起こす原因になることがあります。
口周りやフェイスラインは皮膚が薄くデリケートなため、ダメージを受けやすく、乾燥によるカサつきやかゆみが生じやすいです。
さらに、肌が乾燥すると、それを補おうとして皮脂が過剰に分泌されることがあります。皮脂の増加によって毛穴が詰まりやすくなるため、ニキビや毛嚢炎(もうのうえん)などの肌トラブルにつながる可能性もあります。
リスク⑥毛穴が開く
ヒゲを抜くことで毛穴周辺の皮膚が引っ張られ、毛穴が広がることがあります。広がった毛穴には皮脂や角質が溜まりやすくなるため、毛穴詰まりを引き起こしやすくなり、ニキビや炎症、毛嚢炎などの肌トラブルが発生しやすくなるでしょう。
また、開いた毛穴に汚れや雑菌が入り込むことで、肌荒れが悪化する可能性もあります。さらに、毛穴がダメージを受けると皮膚が修復しようとして角質が厚くなり、肌のゴワつきやブツブツとした質感につながることも。
毛穴トラブルを防ぐためにも、ヒゲを抜いて処理するのは避けることをおすすめします。
3 ヒゲ処理の方法別メリット・デメリット
ヒゲの処理方法は、毛抜きで抜く以外にも「カミソリで剃る」「電気シェーバーを使う」「家庭用脱毛機器を使う」などさまざまな選択肢がありますよね。
それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、肌質やライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、各方法の特徴を簡単にご紹介します。
カミソリで剃る
ヒゲ処理の方法として一般的なのは、カミソリを使って剃る方法です。
カミソリの大きなメリットは、ヒゲの根元近くまで剃れるため、ツルツルに仕上がることでしょう。また、電気シェーバーに比べて刃が直接肌に当たるため、深剃りしやすいのも特徴です。
一方デメリットとしては、刃が直接肌に触れるため、カミソリ負けや乾燥を引き起こしやすいことが挙げられます。また、剃ると毛の断面が円錐から円柱になるので、皮膚の下の毛が目立ちやすく、濃く見えてしまうことも欠点です。さらに、表面の毛しか剃れないため、ヒゲがすぐに伸びてしまい、ほぼ毎日処理が必要になります。
ヒゲを抜くのも剃るのも肌に負担がかかりますが、適切な方法で剃れば抜くよりもダメージは少なくすることが可能です。ただし、頻繁に剃ることで乾燥や肌荒れが進行することもあるため、ヒゲを剃る際は、シェービングジェルやクリームを使用し、剃ったあとはしっかり保湿するなど、剃り方やアフターケアを意識するようにしましょう。
電気シェーバーで剃る
電気シェーバーでのヒゲ処理は、カミソリと並んで一般的な方法の一つです。
電気シェーバーの大きなメリットは、刃が直接肌に触れない構造になっているため、カミソリよりも肌への負担が少ないという点です。また、基本的にはシェービングフォームなしの乾いた状態で使用することができ、手軽にヒゲを剃ることができます。(ただし、肌への優しさを考慮すると、プレシェーブローションを使用するのが望ましい場合もあります。)
さらに、高性能なモデルでは、複数の刃や顔の凹凸に密着して剃れるような機能を備え、より深剃りに近い仕上がりが可能なものもあります。
一方デメリットは、ヒゲが濃い人は特にアゴや首周りで剃り残しが出やすく、何度もシェーバーを当てなければいけないことがあります。また、一般的にカミソリほどの深剃りはできないため、仕上がりのツルツル感を求める人にはやや物足りないかもしれません。
加えて、高性能な電気シェーバーは1万円以上することも珍しくなく、カミソリに比べて本体価格が高いのもデメリットです。また、定期的に刃の交換やメンテナンスが必要で、清潔に保つためのお手入れが欠かせません。
家庭用脱毛機器を使用する
上記のほか、家庭用脱毛機器を使うという選択肢もあります。
家庭用脱毛機器は剃るよりも肌への負担が少なく、使い続けることでムダ毛が目立ちにくくなるのがメリットです。(ただし、家庭用のため、サロンやクリニックほどの効果は得られにくいという点に留意する必要があります。)
繰り返し使用することで毛が細くなり、ヒゲの成長が抑えられ、処理の頻度を減らせる可能性があります。その結果、ヒゲ剃りの回数が減り、自己処理の手間が省けるほか、カミソリ負けなどの肌トラブルのリスクを減らせるでしょう。
ただし、即効性はなく、効果を実感するまでに数ヶ月の継続使用が必要です。また、光の照射時にチクっとした刺激を感じることがあるほか、使用する機器によって効果に差が出る点にも注意しましょう。
抑毛効果のあるローションをプラスして除毛効果アップ!
抑毛ローションやクリームは、抑毛効果のある成分を含んだスキンケア製品です。継続的に使用することでムダ毛が細くなったり、生えるスピードが遅くなったりする効果が期待できます。
抑毛ローションには、脱毛効果および除毛効果はありません。そのため、カミソリや電気シェーバー、除毛クリーム、家庭用脱毛器などでムダ毛を処理した後に使用するのがおすすめです。除毛後の肌に塗ることで、ローションの抑毛効果により次第にムダ毛処理が楽になることが期待できるだけでなく、肌の保湿にも役立ちます。塗るだけなので手軽に取り入れやすく、スキンケア感覚で続けやすいのも魅力です。
ただし、抑毛効果を感じるまでに数ヶ月〜半年以上かかることもあり、即効性はありません。また、ムダ毛の濃さによって効果の出方に差があり、特にヒゲに対しては効果を実感しにくいこともあります。
4 ヒゲ処理は「脱毛」がおすすめ
ヒゲを自己処理する方法にはさまざまな選択肢があります。しかし、将来的にヒゲ処理の手間を減らしたい人には「脱毛」がおすすめです。
カミソリや電気シェーバーは毎日処理が必要になることが多く、肌荒れやカミソリ負けのリスクがあります。家庭用脱毛器は出力が抑えられているので脱毛効果は弱く、ツルツルの肌を目指す人には向いていません。また、即効性もないため、効果を実感するまでに時間がかかるのが難点です。
一方、脱毛ならヒゲの量を減らしたり、自己処理をしなくてもいいくらいの状態を目指すことが可能です。長期的に見ても自己処理の負担を減らせるため、ヒゲに悩んでいる方にとって有効な選択肢となるでしょう。
大きく分けて「光脱毛」と「医療脱毛」がある
ヒゲを脱毛する方法は大きく分けて光脱毛(フラッシュ脱毛)と医療脱毛の2種類があります。
光脱毛(フラッシュ脱毛)
エステやサロンで受けられる脱毛方法で、比較的痛みが少なく、費用も抑えられるのが特徴です。ただし、発毛組織を破壊することはできないため永久脱毛ではなく、抑毛・減毛効果に留まります。脱毛を初めてするという人や学生に人気の脱毛方法です。
医療脱毛(レーザー脱毛)
医療脱毛の中でもメジャーなのが、医療レーザー脱毛です。クリニックで受けられる脱毛方法で、発毛組織を破壊するため、長期的な脱毛効果を得ることができます。光脱毛よりも効果が高く、少ない回数で脱毛が完了するのがメリットですが、施術時の痛みが強く、費用が高いのがデメリットです。
脱毛は一部を残すこともできる
脱毛と聞くと、「ツルツルにしないといけないのかな?」と不安に思う方もいるかもしれませんが、「顎ヒゲ+口ヒゲ」、「顎のみ」など部分的にヒゲを残したり、ヒゲの密度を減らして自然な薄さにすることも可能です。
基本的にエステ・サロンでもクリニックでもデザイン脱毛に対応していることが多いですが、採用している機器の照射口の大きさによっては細かいデザインは難しい場合もあるため、事前に相談するようにしましょう。
医療脱毛は発毛組織を破壊するので、以前のように生えてくることはほとんどありません。脱毛が完了したあとに、「やっぱり残しておけばよかった…」と後悔しないために、はじめはデザイン脱毛を選ぶ人も多いようです。「いきなり全部なくすのは抵抗がある」という人は、デザイン脱毛から試してみてはいかがでしょうか。
5 ヒゲを抜くのはリスク大!適切に処理するようにしよう
毎日ヒゲを剃るのが面倒だったり、青ヒゲがコンプレックス、脱毛に通うのに抵抗があるといった理由から、ヒゲを抜いて処理する方も多いかもしれません。しかし、ヒゲを抜くことは肌への負担が大きいだけでなく、毛嚢炎や埋没毛、色素沈着などのリスクが伴います。そのため、一時的に綺麗になるメリットよりも、デメリットの方が大きいといえるでしょう。
ヒゲを処理する方法はさまざまですが、毎日のお手入れの手間と肌への負担を考えると、脱毛はとてもおすすめの方法です。一般的なカミソリ・電気シェーバーでのお手入れと比べると確かに費用はかかりますが、比較的リーズナブルな価格で通えるサロンやお得なプランを用意しているクリニックも存在します。
ヒゲ処理は毎日のことなので、できるだけ肌への負担を抑えながら続けられる方法を選ぶことが大切です。自分のライフスタイルや希望に合わせて、適切な方法でヒゲを処理しましょう。
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