光脱毛(フラッシュ脱毛)と比べて脱毛効果が高く、より効率的に脱毛を進めたい方に人気の医療脱毛。しかし、施術時に伴う痛みが強いことから痛み止めの服用を検討したことがある人もいるのではないでしょうか?
最近では、なるべく痛みを軽減できるような照射方法や冷却機能を備えた機器を導入しているクリニックも多いですが、痛みに弱い人であれば、できるだけ痛みを感じずに施術を受けたいと思いますよね。そこで気になるのが、脱毛するときには薬を服用しても大丈夫なのか?ということ。本記事では、施術を受ける際の服用可否や避けるべき薬、さらに日頃からできる痛み対策についてご紹介します。
1 医療脱毛が「痛い」理由
医療脱毛は「医療レーザー脱毛」が主流です。まずはじめに、医療レーザー脱毛の仕組みと痛みの原因について簡単にご紹介します。
医療レーザー脱毛
医療レーザー脱毛は、毛のメラニン色素に反応するレーザーを照射し、毛乳頭や毛母細胞などの発毛組織や発毛の指令を出す組織(バルジ領域)を熱で破壊することで脱毛効果を得る方法です。
レーザーの光は毛のメラニン色素に吸収されると熱エネルギーに変換されますが、この熱が周囲の皮膚に伝わることで痛みが生じるとされています。
光脱毛のうち、IPL脱毛もメラニン色素に反応する光を照射して熱ダメージを与える仕組みのため痛みが生じやすいですが、医療レーザー脱毛はより高出力で照射するため、光脱毛よりも強い痛みを感じやすくなるのです。
また、医療レーザー脱毛には、「アレキサンドライトレーザー」「ダイオードレーザー」「ヤグレーザー」の3種類のレーザーがあり、照射方法は「熱破壊式」と「蓄熱式」の2種類があります。レーザーの種類や照射方法の違いによって痛みの感じ方が異なるため、使用される脱毛機器によっても痛みの強さが変わります。
2 施術当日に薬を飲んでも大丈夫?
脱毛には痛みが伴うものですが、人によって痛みの感じ方は異なります。また、体調や心理状態などによっても左右されるので、同じ刺激でも痛みを強く感じる人もいれば、ほとんど痛みを感じない人もおり、個人差が大きいです。そのため、「医療脱毛は特に痛い」と聞いて不安になり、念のため痛み止めを飲んでおきたいと考える人も一定数います。施術当日に痛み止めを服用しても問題はないのでしょうか?
照射してもらえるクリニックもある
脱毛における薬の服用に関しては明確な基準はまだ確立されていません。そのため、痛み止めに限らず「市販薬なら照射可能」、「処方薬は医師の確認が取れていれば施術OK」というクリニックも多いです。その一方で、「どんな薬であれ、薬を服用している場合は照射を行わない」としているクリニックもあります。
施術を受けられるかどうかはクリニックごとの方針によって異なるので、施術前に薬を服用した場合には自己判断せずに必ず事前に医師に伝えるようにしてください。
なお、それぞれで方針が異なるのはクリニックだけでなく、光脱毛を行っているエステやサロンでも同様です。不明点がある場合には、施術を受けるエステ・サロンに確認しましょう。
施術を受ける際に服用を避けるべき薬
脱毛の施術は強い光を当てたり、肌に刺激を加えたりします。そのため、特に光やレーザーの感受性が高まる薬や抗凝固薬・抗血小板薬を服用している場合には、肌トラブルを引き起こしたり、内出血を起こしたりする可能性を考慮して施術が受けられないケースも多いです。また、ステロイド、免疫抑制薬などの薬を飲んでいる場合にも、施術前に医師に相談する必要があります。
外用薬では、特に湿布の使用に注意が必要です。打撲や捻挫の時に処方されることが多い湿布には、光線過敏症を引き起こす恐れがあるものもあるため、脱毛前後は湿布の使用を控えるようにしましょう。
また、ニキビ治療薬も、施術の数日前から使用を中止しなければいけない場合があります。レチノールが含まれている化粧品を使用してのスキンケアにも注意が必要です。
常用薬がある場合は?
市販薬でも処方薬でも、常用薬があるという場合は、カウンセリングの際に普段から服用している薬の種類や目的を事前に伝えてください。
脱毛は基本的に健康な状態で行うべき施術です。体調不良や治療中で薬を飲んでいる場合には、常用薬の服用を一時的に中止して無理に施術を受けるのではなく、まずは治療を優先するようにしてください。
治療中でも施術を受けられることもありますが、その場合であっても主治医と相談したうえでクリニックの医師にも報告し、施術の可否についての判断を仰ぐことが重要です。
3 痛み止めは「照射時の痛み」には効果がない
脱毛の照射時に生じる痛みと、痛み止めが効く頭痛や生理痛などの痛みは、痛みの発生メカニズムが異なります。
脱毛時の痛みは、レーザーがメラニン色素に反応し、変換された熱エネルギーが周囲の皮膚組織に伝わることが主な原因です。一方、緊張型頭痛・片頭痛や生理痛の痛みは、血管の拡張や筋肉の収縮のほか、炎症を引き起こしたり、発痛物質の作用を増強させたりすることが主な原因です。生理痛の場合は、子宮の収縮が強くなるため、痛みが増幅するのです。
痛み止めは、炎症等の痛みには効果的ですが、脱毛の痛みは「熱刺激による瞬間的な痛み」であり、痛み止めが効く痛みとは関係がないため、痛み止めを飲んでもあまり効果は期待できないと言われています。
4 施術時の痛みを軽減するにはどうすればいい?
痛み止めを飲んでも照射時の痛みの軽減には効果が期待できない場合、どうすれば良いのか不安ですよね。特に「パチッ」とするような痛みが苦手な方は、脱毛を諦めなければならないのではないかと心配になるかもしれません。しかし、痛み止めを飲まなくても施術時の痛みを軽減する方法はあります。
麻酔の使用を検討する
医療レーザー脱毛の照射に伴う痛みを軽減する方法として効果的なのが麻酔です。クリニックで使用される麻酔には主に「笑気麻酔」と「麻酔クリーム」の2種類があります。それぞれのメリット・デメリットを知ったうえで、自分に合ったほうを選びましょう。
麻酔には別途料金がかかることが多く、また、痛みを完全になくすことはできませんが、照射中の痛みや不安を大きく軽減できるため、初めて施術を受ける場合や痛みを感じやすい部位を脱毛する時には、麻酔の使用を検討してみてください。
ただし、持病やアレルギーがある場合には麻酔を使用できないケースもあるので、カウンセリングの時点で相談しておくことをおすすめします。
痛みの少ない脱毛機器を選択する
医療レーザー脱毛は、使用される脱毛機器によってレーザー・照射方法が異なり、痛みの感じ方にも差があります。(ただし、機器によっては2つ以上のレーザーを搭載していたり、照射方法が切り替えられるものもある)そのため、痛みを感じにくい脱毛機器を採用しているクリニックを選ぶことも一つの方法です。
医療レーザー脱毛で使用される3種類のレーザーの中でも痛みを感じにくいレーザーは「ダイオードレーザー」、痛みを感じにくい照射方法は「蓄熱式」と言われています。近年では、比較的痛みの少ない脱毛機器の開発が進んでおり、従来のものと比べて照射時の痛みを軽減することが可能になりました。脱毛機器の種類によっては照射口が広く施術スピードが速いものや、冷却機能が搭載されているものもあり、肌へのダメージを最小限に抑えつつ、痛みを感じにくくする工夫がされています。
事前にホームページで導入している脱毛機器を調べたり、カウンセリングの際に質問してみましょう。
紫外線対策をする
日焼けしている肌は、バリア機能が低下していて敏感になっていることや、メラニン色素が多くレーザーが反応しやすくなることから、照射時の痛みが強くなると言われています。また、痛みが強くなるだけでなく、シミの原因となったり脱毛効果が下がることがあるほか、日焼けの程度によっては施術が受けられなくなるケースもあるので、日頃から紫外線対策をして日焼けをしないようにすることが大切です。
長時間の外出の際には日焼け止めを塗ったり、日傘や帽子を活用して紫外線から肌を守りましょう。飲むタイプの日焼け止めを服用したり、UVカット効果のある服を選んだり、紫外線が強い時間帯の外出を避けるのも効果的です。
保湿を心がける
肌の水分量が少ないと熱によるダメージが皮膚の細胞に伝わりやすくなるので、痛みが強くなるだけでなく火傷のリスクも上がります。また、乾燥肌は刺激が加わることで毛穴が傷つき雑菌が繁殖して毛嚢炎を引き起こしたり、皮膚が硬くなって脱毛効果の低下にも繋がりかねません。
照射時の痛みを軽減するためにも、脱毛効果を損なわないようにするためにも、普段から保湿を心がけるようにしましょう。
5 施術を受ける際の注意事項
施術当日には薬の服用以外にもいくつかの注意点があります。安全で効果的な脱毛のため、以下の点を守りましょう。
日焼け止めは塗らない
施術の【当日】は日焼け止めを塗らないようにしましょう。日焼け止めが毛穴に詰まって脱毛効果が落ちる可能性があるほか、日焼け止めの成分がレーザー照射を受けることで化学反応を起こし肌トラブルを招く懸念もあります。
ただし、中には「施術前にスタッフが拭き取るため、当日でも日焼け止めを塗ってもいい」としているクリニックもあるので、自分が通っているクリニックに確認してみてください。
制汗剤を使用しない
制汗剤にはスプレー、スティック、シート、クリームなどさまざまな種類がありますが、脱毛前にこれらの制汗剤を使用すると毛穴の奥にレーザーが届きにくくなって、脱毛効果が十分に発揮されない可能性があります。
また、制汗剤の成分には、汗腺を塞ぐ制汗作用だけでなく毛穴を引き締める収れん作用もあるので、毛が抜けにくくなる場合があるほか、皮膚に残った成分がレーザーの熱によって化学反応を起こし、火傷や炎症、肌トラブルの原因となることがあるので、当日は制汗剤の使用は避けましょう。
施術後の使用にも注意が必要です。強いレーザーを照射された肌はとてもデリケートになっています。制汗剤には肌を刺激する成分が含まれており、使用することで赤みやヒリつき、色素沈着などのトラブルを招くこともあるため、施術後1週間程度は控えるようにしてください。
6 施術当日は痛み止めの服用は避けるのがベター
医療レーザー脱毛は光脱毛と比べると強い痛みを感じやすいですが、できるだけ痛みを抑えて施術を受ける方法はいくつかあります。照射時の痛みは、一般的な痛み止めではあまり効果が期待できないとされていることに加え、光線過敏症のリスクも少なからず考えられるので、痛みが不安な場合には、日頃から紫外線対策と保湿を心がけるとともに、麻酔の使用や痛みの少ないレーザー・照射方法を検討するとよいでしょう。
また、現時点では、脱毛時における薬の服用について明確な基準が確立されていません。薬を服用した状態で施術を受けると、肌トラブルや体調の悪化を招いたり、照射時の痛みが増したりする可能性があるという懸念から、「施術前の服用は基本的にNG」としているエステ・サロンは多いです。一方、クリニックでは医師が常駐しているため、服用制限が比較的緩和される場合もあります。
ただし、薬によっては当日服用していても施術を受けられたり、薬を飲んでいる場合は施術を受けられなかったりするなど、薬の服用についての対応は、エステ・サロンやクリニックによって多種多様です。「継続的に薬を飲んでいるから脱毛は受けられない…」と思わず、主治医とクリニック側の医師に相談してみてくださいね。
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