退職代行を利用して退職する人の中には、退職時に受け取るべき書類を受け取らないまま退職してしまう人も多いと考えられます。
退職時に会社から受け取るべき書類は複数ありますが、その一つとして離職票が含まれています。
本記事では、退職代行を利用した退職でも離職票が発行される理由について説明した上で、離職票発行時のトラブルやトラブルに遭った際の対応方法などについて説明します。
退職代行を利用しても離職票を受け取れる!
離職票は会社を退職する労働者全てに対して、受け取ることが認められている書類です。
そのため、退職代行サービスに依頼した退職であっても、離職票を受け取ることができます。
しかし、離職票の発行は会社の義務ではありません。
そのため、労働者が離職票について何も告げずとも郵送してくれる会社がある一方、申請しなければ発行してもらえない場合もあります。
離職票は退職日から二週間~一ヵ月以内には手元に届いていることが一般的です。
一ヵ月近く経っても離職票が送られてこない場合は会社に郵送してもらえないか聞いてみて下さい。
離職票とは
離職票とは会社を離職したことを証明する公的な書類で、正式名称は「雇用保険被保険者離職票」といいます。
離職票は退職後の諸手続きを行うにあたって必要となる書類です。
失業給付金申請には離職票が必要になるため、離職票が手元にない状態では失業保険を受け取ることはできません。
また、退職後の就職先が決まっていない場合には加入保険を社会保険から国民保険に切り替える、もくしは家族の扶養に入る必要があります。
国民保険の切り替えには離職票が必要になるため、離職票がないと保険に加入できないということにもなり兼ねないので気をつけて下さい。
退職代行の利用による離職票に関する3つのトラブル
会社を退職した労働者には離職票を受け取る権利がありますが、離職票を受け取る際にトラブルが発生するケースも稀にあります。
退職代行の利用による離職票に関する3つのトラブル、
- 離職票の発行を拒否される
- 離職票が届かない
- 記載内容に誤りがある
について説明します。
退職代行の利用による離職票に関するトラブル1.離職票の発行を拒否される
退職代行を利用して退職した労働者にも離職票を受け取る権利があります。
しかし、退職後に離職票の発行請求を行っても発行してもらえないというケースも稀にあるようです。
「うちでは発行していない」「退職代行を利用したからだめだ」といった言い分によって、離職票の発行を拒否してくる会社も少なからず存在します。
雇用保険法第76条で「労働者が離職票を請求すれば、発行しなければならない」と定められています。
会社は退職者に対して離職票の発行を拒む権利はありません。
退職代行の利用による離職票に関するトラブル2.離職票が届かない
会社が離職票の発行処理をきちんと行っていれば、退職から一ヵ月以内には離職票が手元に届くはずです。
一ヵ月経っても離職票が自宅に届かない場合には、なんらかの問題が発生していると考えられるでしょう。
離職票が届かないことに対する考えられる原因として、
- 離職票の依頼をしていない
- 会社側が離職票の送付について悪意をもって遅らせている
- 離職票の発行が忘れられている
- 会社の繁忙期で、離職票を送付する余裕がない
- ハローワークが忙しく、処理が遅れている
- 郵送時、もしくは自宅のポスト内で紛失
などがあります。
1ヵ月経っても離職票が手元に届かない場合は、会社に状況確認するようにして下さい。
退職代行の利用による離職票に関するトラブル3.記載内容に誤りがある
会社から届いた離職票を確認してみると、記載内容が誤っていたというケースもあります。
退職理由の項目は特に重要なので確認するようにしましょう。
退職理由が「自己都合退職」か「会社都合退職」かによって、失業給付金の期間や金額が変わります。
離職票の内容に違いがあった場合に取る方法は、
- 自分で会社に修正をお願いする
- 代行業者を通じて修正をお願いする
- ハローワークに相談する
- 弁護士か労働組合に相談する
などがあります。
離職票の記載内容の誤りは、転職後の各種手続きの中で様々な場面に影響を与えることになります。
離職票の記載内容に誤りがある旨を会社に必ず伝えるようにして下さい。
離職票に関するトラブルに遭った際の2つの対応方法
離職票は退職後の手続きに必要な書類であるため、離職票関連のトラブルに遭ったらすぐに対応することをおすすめします。
離職票に関するトラブルに遭った際の2つの対応方法、
- 弁護士に相談する
- ハローワークに相談する
について説明します。
弁護士に相談する
離職票の発行を拒否されている、離職票が届かない、離職票に記載されている内容に誤りがある場合には、弁護士に相談することでスムーズに解決できるはずです。
対して、民間の退職代行サービスの場合、会社と交渉を行うことは法律上認められていません。
離職票の発行や、記載内容の修正を依頼した際に断られたら、何も対応できなくなってしまいます。
ハローワークに相談する
ハローワークは会社に対して離職票の催促や、記載内容の修正依頼などの対応も行っています。
個人で発行や修正の依頼を会社に対して行っても取り合ってもらえない場合でも、ハローワークの職員が依頼することで大半の会社は動くと考えられます。
退職後の転職先が決まっていないことを証明できる書類などがあれば、ハローワークから離職票を発行してもらえるケースもあります。
退職代行を利用した退職でも会社都合の離職票をもらえるケースがある
退職代行を利用して退職した人の中には、離職票上で「自己都合退職」という扱いをされてしまう人が少なくないと考えられます。
正当な理由がないのに会社都合の退職に変更することは認められませんが、自身が本当に会社都合ではなく、自己都合で退職したのか考えてみるようにして下さい。
会社都合の退職として、
- 倒産
- 事業所における大量雇用変動
- 労働契約締結に明示された労働条件と著しく異なる
- 労働契約締結時の業務内容と実際の業務内容が著しく異なる
- 賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が二ヵ月以上ある
- 上司、同僚などから故意的な排斥や冷遇、嫌がらせなどを受けた
などがあります。
離職票の「自己都合退職」を「会社都合退職」に変える方法
「会社都合退職」に該当するはずだと思って退職したにもかかわらず、「自己都合退職」扱いに離職票上なっている場合は、その旨を会社に伝え、交渉を行います。
会社から理由を聞いても納得できない場合は、弁護士や労働組合に相談することになります。
また、会社から離職票を受け取りハローワークに提出する際に、異議申し立てを行うこともできます。
退職理由が不本意な理由であるにも関わらず、「自己都合退職」扱いになっている場合は、「特定理由離職者」として「会社都合退職」に変更することが認められることがあります。
まとめ
離職票は退職後の各種手続きをする上で必要となる書類です。
離職票は失業保険の受給や健康保険の切り替えにも必要になるので、退職代行を利用した退職であっても必ず受け取るようにして下さい。
会社は退職者に対して離職票を発行する義務があります。
しかし、離職票の発行を拒否する会社も極稀にですが存在することも事実といえるでしょう。
会社から離職票の発行を拒否された場合は、交渉権のある弁護士や労働組合に相談することをおすすめします。
また、記載内容に誤りがあった場合や、個人で対処できない場合には弁護士に相談してみるとよいでしょう。