「公務員の仕事が辛くて辞めたい」
「公務員でも退職代行は利用できるのだろうか」
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
近年、若い労働者を中心に、退職代行を使って会社を辞めるケースが増えています。
しかし、公務員が退職代行を利用するケースはあまり耳にすることはありませんし、そもそもサービスを受けられるのでしょうか。
本記事では、公務員でも退職代行は使えるのかといったテーマについて解説します。

公務員が退職代行を使えないと言われる3つの理由
まずは公務員の退職における基礎知識として
- 公務員と民間企業では退職規定が異なる
- 辞令の交付が必要
- 公務員のバックレは危険
について、それぞれ解説していきます。
公務員と民間企業では退職規定が異なる
まず、公務員と民間企業とでは、退職規定が大きく異なります。
民間企業の会社員が退職をしたい場合、民法627条により「退職の意思を示した日から2週間が経てば辞めることができる」とされています。
一方で公務員の退職は、国家公務員法・地方公務員法によって定められており、公務員法には退職できる期間がはっきりと定められていません。
そのため、公務員は一般企業の会社員のように「いつまでに確実に辞めることができる」という保証がないのです。
辞令の交付が必要
公務員は退職が決まった時も「辞令の交付」を受ける必要があります。
公務員の方は、入職する際に、任命権者(上司)から「あなたは今日から公務員です」といった意味合いで辞令を受けたことを覚えているのではないでしょうか。
退職する際も同じく、任命権者の同意を得て、辞令の交付式に出席する必要があります。
しかし、やむを得ない場合や職種によっては必ずしも出席する必要はなく、郵送での対応が可能です。
公務員のバックレは危険
公務員のバックレは危険なため、避けたほうが無難です。
もしもそのような行為を行なった場合、人事院が規定する懲戒処分の指針によって、以下のような処罰の対象となります。
ア.正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告とする。
イ.正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停職又は減給とする。
ウ.正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職とする。
上記「ウ」からもわかるように、21日以上バックレてしまうと懲戒免職という非常に重い処罰の対象となります。
懲戒免職になると2年間は公務員の再就職ができないばかりか、次の就職先にも悪い印象を与えてしまうためデメリットでしかありません。
公務員の仕事が辛くてどうしても辞めたいとしても、バックレるぐらいなら退職代行を使って辞めたほうがよいです。
公務員の退職代行は弁護士運営の業者一択
結論からお伝えすると、公務員が利用できる退職代行は弁護士運営の業者一択となります。
理由としては、公務員の場合、弁護士以外の代行業者では法律事務を扱うことが難しいからです。
以下、公務員の退職代行が弁護士一択な理由について、深掘りしていきます。
退職代行サービスにおける3つの運営元
退職代行の基礎知識として、退職代行の運営元は、以下の3つに分けることができます。
- 民間企業
- 労働組合
- 弁護士
通常「民間企業」が運営する退職代行サービスは、退職の意思を会社へ伝えることしかできません。
もしも会社側が反論してくる、取り合ってくれないような場合、弁護士法72条に従い、それ以上の交渉(法律事務)は「労働組合」もしくは「弁護士」でしか行うことが許されていないのです。
職員団体でなければ交渉ができない
一般企業を辞めたいのであれば、会社と交渉もできる「労働組合」運営の退職代行に依頼すればコスパもよいでしょう。
しかし、公務員の場合は「職員団体」というまた別の組織でないと交渉することができません。
したがって、公務員が利用できる退職代行は、いかなる法律事務の代行も認められている弁護士一択となります。
公務員は即日退職ができない可能性が高い
前述のとおり、公務員は一般企業とは違い、退職できる期間がはっきりと定められていません。
また、退職の手続きに時間を要することから、即日退職ができない可能性が高いです。
しかしながら、公務員が即日退職できる可能性はゼロではありません。
以下、公務員の即日退職について深掘りします。
公務員が即日退職する方法は1つ
公務員が即日退職できる唯一の方法は、以下2点の条件を揃えることです。
- 任命権者から退職の承認を得ている
- 退職日までに定められた日数分の有給が残っている
つまり、任命権者である上司が退職を認めており、退職日までの期間分の有給消化が可能な場合のみ、実質の即日退職が可能となります。
自衛隊の即日退職は特に難しい
自衛隊は、他の公務員に比べてさらに即日退職が難しくなっています。
自衛隊法40条では、「自衛隊の任務を遂行するため最小限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる」とされています。
つまり「退職を申し出ても、状況によっては承認しないことがある」ということです。
ただし「特別の事由がある場合を除いては」とも定められているため、事由さえ認めてもらえれば問題ありません。
しかし自衛隊の組織上、自衛隊が即日退職できる可能性は極めて低いです。
公務員の退職代行に関するよくある質問
公務員の退職代行に関するよくある質問
- 公務員が突然辞めたり、出社拒否やバックレをしたらどうなる?
- 公務員が辞めるタイミングは年度末が良い?
- 公務員は退職時にトラブルになることはある?
- 公務員が引き止めにあっている場合でも退職代行は利用できる?
の4つについて紹介していきます。
公務員が突然辞めたり、出社拒否やバックレをしたらどうなる?
公務員が、退職する旨を伝えずに21日以上の無断欠勤をしてしまうと、懲戒免職や停職の対象になる可能性があります。
退職金がもらえなかったり、再度公務員として働くことができなくなってしまう場合があるので、注意が必要です。
公務員の方は、退職をするにしてもバックレはしないようにしてくださいね。
公務員が辞めるタイミングは年度末が良い?
年度末はキリが良いので、退職しやすいタイミングではあります。
また、今すぐに退職しなくても良いという方は、退職金やボーナスの基準日で退職日を決めるのも良いでしょう。
ただし、精神的・身体的に既に辛い思いをしているのであれば、すぐにでも退職することをおすすめします。
公務員は退職時にトラブルになることはある?
基本的に、退職代行を使わずに担当者に退職を伝えてから辞めるのであれば、トラブルになる可能性はほとんどないでしょう。
しかし、自分の口で退職を伝えるのが難しいという方も多くいますよね。
退職代行の利用を検討している方は、民間業者が運営している退職代行ではなく、弁護士が運営している退職代行に依頼することをおすすめします。
民間業者でも公務員の退職代行に対応している場合もありますが、トラブルを起こしたくないのであれば、弁護士の退職代行を利用してくださいね。
公務員が引き止めにあっている場合でも退職代行は利用できる?
自分で退職の旨を伝えると、引き止めにあう可能性が高くなります。
どうしても辞めたいのであれば、第三者的立場である退職代行を利用した方が、効率良く辞められるでしょう。
まとめ
この記事では、公務員の退職代行について解説しました。
結論として、そもそも民間企業とは退職の規定が異なるため、公務員の退職代行は弁護士一択となります。
また、公務員のバックレは懲戒免職の対象となってしまうため、バックレるぐらいなら退職代行を利用したほうが賢明です。
公務員の仕事を辞めたくても辞められない状態なのであれば、弁護士が運営する退職代行に依頼して、新たな人生の一歩を踏み出してはいかがでしょうか。