都心から約1時間半、日本有数の温泉地として知られる箱根。緑に囲まれ、心地よい風を感じられる当地は、時間を忘れてゆったりと過ごせる観光地の一つです。そんな大自然を目の前に、施設内で湯巡りを楽しめるラグジュアリーホテルを発見。箱根湯本駅から車で約10分のところに位置する「はつはな」で非日常を味わってきました。

湯坂山の眺望が楽しめる「展望テラス」で一気に非日常へ

眼下には須雲川、対岸には湯坂山と箱根の自然を存分に感じられるロケーションに位置する「はつはな」は、2022年9月に、特別感とプライベート感を高めたラグジュアリーホテルへとリニューアルしました。

コンセプトは、「心と五感が満ちる静かなとき」。湯坂山の風景、風の音や鳥の声、草木の香り、地元の食材を生かしたこだわりの食事、自家源泉の湯めぐりなど、心と五感がほぐれる時間を過ごせるホテルです。

エントランスをくぐり、チェックインのために案内されたのは広々としたラウンジ。中央には暖炉があり、温かな灯りが落ち着いた雰囲気を演出していました。

  • 温かみがあり穏やかな気持ちになれるラウンジ

ウェルカムドリンクはその日にあわせたお茶か生ビールから選べ、休日気分を味わおうと生ビールをチョイス。特別な空間で飲むビールはやっぱり美味しい。

ラウンジには、ドリンクサービスとして、オーガニック・デトックスの数種類のお茶、生ビールやスパークリングワインなどの多種多様なドリンクが完備され、宿泊中はこの場所で、自由にくつろぐことができます。

客室に向かう途中で見つけたのは、まるで絵画のような展望テラス。湯坂山の景色を眺めながら、風を感じ、須雲川のせせらぎに耳を澄ませているといつの間にか深呼吸。温泉に入る前からリラックスしている自分がいました。

春は山桜、夏は深緑、秋は紅葉と違う表情を見せる湯坂山。24時間開放されている展望テラスでは、朝日を浴びたり、夜は星を眺めたり、全身で自然を感じに何度も訪れたくなります。

全室完備の露天風呂でゆったり

全35室の客室は、5つのカテゴリーに分かれ、それぞれ「はつはな」が意味する“桜”をコンセプトに、ピンクゴールドの「宙」、アイボリーの「白」、アースカラーの「地」の3種類のイメージカラーが内装にあしらわれています。

筆者が宿泊したのは「プレミアムC type 白」。白木調で和室エリアのある和の雰囲気を感じられる部屋です。

  • リビングルーム

88㎡の広さには、湯坂山を一望できる広い窓のあるリビングルーム、独立ベッドルーム、独立和室の三間。リビングルームと和室は畳になっており、弾力と感触が心地よく、どこか懐かしい。滞在期間中はあえて裸足で歩き回っていました。

  • ベッドルーム

  • 和室

テラスには半月型の露天風呂が設置され、大人3名でも余裕をもって利用できるサイズ感。広大に広がる景色を眺めながら、のんびりとしたひとときを過ごせます。露天風呂の隣のデイベッドは、湯あがりのクールダウンにも最適です。

  • 客室内の温泉露天風呂

  • 入浴後はデイベッドでクールダウン

テラスの出入り口には、ツイン洗面台。アメニティにはコスメブランド「OSAJI」の中でも森林浴をイメージした「Ibuki」の香りを採用。森の中にいるような癒やしの香りは、内装や景色ともリンクします。

  • 洗面台はツインタイプ

  • スキンケアからヘアケアまで「OSAJI」で揃えたアメニティ

客室には、桜の刺繍が施された浴衣とは別にパジャマも用意されていました。旅先では解放的な気持ちで眠りたいので、セパレートタイプがデフォルトなのは筆者にとってうれしいポイントでした。

館内で自家源泉の湯めぐりも

早速浴衣を着て、温泉へ。「はつはな」は客室棟とは別に温泉棟があるほど、趣の異なる温泉がいくつも存在しています。泉質は無色透明のアルカリ性単純温泉。肌が滑らかになることから"美人の湯"として親しまれているのだそう。

大浴場は、大きな窓越しに木々を眺めながら湯上がりのひと時を過ごせる温泉棟1階「竹の葉」と、ドライサウナと水風呂を完備した温泉棟2階「山の端」を男女入れ替え制で使用できます。この日訪れたのはロープカーで向かう「竹の葉」。露天風呂の目の前には青々とした竹林が広がっていました。澄んだ空気とともに味わえるのは、横になりながら景色を眺められる寝湯と樽風呂、岩風呂の3つの露天風呂。

  • 寝湯

  • 樽風呂

  • 岩風呂

内湯、湯上りラウンジが併設されているので、大浴場だけでも湯めぐりが楽しめます。翌朝になれば女性用大浴場は「山の端」に切り替わることから、1泊2日でも大浴場2箇所、客室の露天風呂、貸切風呂の4種類の温泉を堪能できます。

宿泊予約時に無料で予約をできるのが温泉貸切風呂。趣向の異なる4つの貸切風呂から1つを選び、45分間のプライベートタイムを味わえます。

4箇所の中で唯一露天風呂を楽しめるのが「川音(かわと)の湯」。須雲川の近くに位置し、川のせせらぎに耳を澄ませ、大自然に溶け込み一体化しながら、寝湯と深湯でゆったりとした時間を過ごせるのが特徴です。

  • 川音の湯

浴室からつながっているような石盤が窓の外に広がる「明灯(あかり)の湯」は、床面に蛍のような光が散りばめられていました。夜になればより幻想的な雰囲気を演出します。

  • 明灯の湯

「水面の湯」は車椅子での利用もできるバリアフリー設計。浴槽から窓の外へとつながっているような水盤には外の景色が映し出され、異次元の世界に吸い込まれそうな感覚に。

  • 水面の湯

筆者が過ごしたのは「静寂(しじま)の湯」。窓はありませんが、天井が高く、格子状に組まれた梁が幾重にもめぐらされていました。開放感がある空間の真ん中には八角型の浴槽。湯船いっぱいの温泉にざぶんと肩まで浸かれば至福のひとときを堪能できます。

  • 静寂の湯

それぞれの貸切風呂には、広々としたくつろぎスペースやパウダールームを完備。冷蔵庫には冷たい「足柄の水」が入っているので、お風呂上がりに澄んだ水を補給すれば気分も浄化する至福の瞬間です。

客室棟と温泉棟を繋ぐ渡り廊下には、入浴後のお楽しみとして無料のコーヒー牛乳とビール、アイスキャンディーも用意されているので、くつろぎスペースや客室で、お風呂上がりの余韻に浸るのも良さそうです。

地魚に相州牛、モダン懐石は目にも華やか

夕食・朝食は、全卓個室仕様のダイニング「はなゑみ」へ。プライベート感を重視した席で、ゆったりと食事の時間を満喫できます。水耕栽培で育てられた秦野野菜や、近隣港から魚、極上の相州牛など地元神奈川の食材を取り入れた「モダン懐石」をいただきました。

「はつはな」オリジナルのクラフトリキュール「桜酒」を食前酒にコースがスタート。最初に手元に届いたのは2段弁当のようなユニークな器。2段になった器を回転して、パズルのように組み合わせれば花びらのような形に様変わり。中央には、金太郎マスのお寿司、周りには色とりどりの旬彩が並びます。

  • 御椀はフカヒレ玉子豆腐、お造りは5種盛りでした

焼肴、中皿、炊き合わせ、食事、水菓子と続いていく中で、特に「相州牛ロース炭火焼」は、噛めば噛むほど柔らかなお肉から脂の甘みが溢れ出し、贅沢なひとときに。全て食べ終わる頃にはお腹も心も満たされていきました。

夕食で使われるお箸には、箱根檜の間伐材が使用されており、持ち帰りも可能。そのほかにもSDGsの取り組みとして、ヘアブラシや歯ブラシなどのアメニティは置かず、プラスチックごみの削減にも力を入れているそうです。

夕食をいただいた後は、チェックインをしたラウンジへ。19時から22時の間には抹茶ようかんやわらび餅、酒粕チーズケーキ、和栗のモンブランなどのオリジナルの小菓子とお酒やハーブティーのペアリングも楽しめます。

1日の終わりまで、「はつはな」の魅力である心と五感が満たされる感覚を抱くことができました。

短期間の滞在でも、自分をリセットできる旅

翌朝、夕食に引き続き、ダイニング「はなゑみ」へと向かうと、朝日を浴びる木々を眺められる窓側の席を案内してもらいました。「はつはな」の朝食は地元神奈川の野菜をはじめ、ソーセージやベーコンなど地元で作られたものを使用しています。

  • 清々しい景色の中でいただく朝食は絶品

筆者が選んだ朝食には、色鮮やかな野菜がたっぷり。オムレツにはラタトュイユ風ソースが添えられていて、ゆったりと過ぎる時間の中で野菜の旨みや食感などを存分に味わうことができました。

  • ヘルシーな洋朝食

「はつはな」で過ごした2日はあっという間ではありましたが、木々や川が織りなす音、時間によって変わる山の風景、温泉や食事によって心も五感も満たされていくのを実感しました。都会の喧騒、雑念から解放されたということもあり、短期間の滞在でも体も心もリセットすることができます。自然に溶け込むという非日常を感じたい人や湯めぐりを存分に楽しみたい人は、選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか?

はつはな
住所:神奈川県足柄下郡箱根町須雲川20-1
チェックイン:15:00/チェックアウト:11:00
設備:リラクゼーション、ギャラリーショップ、ラウンジ、ライブラリーコーナー、展望テラス
宿泊料金:1泊5万円~(2名1室利用時1名あたり、税サ込、入湯税別、2食付き)
アクセス:小田急鉄道「箱根湯本駅」から箱根登山バスもしくは箱根湯本温泉送迎バスで約10分(無料送迎サービスあり、予約要)/透明高速厚木ICから小田原厚木道路経由〜箱根新道須雲川IC出て正面