2024年3月に発表された「地価公示」によると、北海道の住宅地の地価上昇率は全国平均の前年比+ 2.0%を大きく上回り、+ 4.4%となりました。特に、北海道の中でも富良野や千歳は高い地価上昇率を示しています。

本記事では、国土交通省の地価公示をもとに、北海道内の住宅地の地価上昇率を駅別に分析します。さらに、地価上昇の背景について、鑑定評価書の情報を用いて詳しく解説します。

  • 全国でもトップの地価上昇率を記録した自治体が北海道にある

【2024年】北海道・住宅地の地価上昇率ランキングトップ20

2024年1月時点で、北海道の住宅地で最も地価上昇率が高かったのは、「富良野」(富良野市北の峰町4777番33)です。

また、2位、3位、5位、6位には「千歳」がランクイン。その他、10位までにランクインしたのは「帯広」(4位)、「札内」(6位)、「島松」(8位)、「江別」(9位)、「発寒南」( 10位)などです。

上位を占めたのは「千歳」

2024年の北海道・住宅地の地価上昇率で、上位を占めている千歳。その背景には、次世代半導体工場「ラピダス」の存在があります。ラピダスは、次世代半導体の量産化を目指す国家プロジェクトであり、国から3,300億円の支援を受けています。建設には最大4,000人以上の作業員が関わり、完成後の工場では1,000人ほどが勤務する予定です。

これは北海道内では過去最大の企業進出であり、関連産業を含め大きな経済効果が期待されるとともに、千歳市内では住宅需要が高まっています。

ここからは、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書をもとに、地価上昇率の高い地域の特徴を解説します。

なお、鑑定評価書では地番や住居表示が使用されていますが、今回はよりわかりやすくするために最寄り駅名で表記します。

富良野

トップに輝いた「富良野」の地価上昇率は27.9%で、これは北海道内だけでなく全国の住宅地でも最も高い数値です。

鑑定評価書には、「北の峰地区の住宅地域であるが、スキー場に近い立地条件であり近年はリゾート地として海外からの注目度が高まっている。周辺では別荘等の建設も進んでおり、今後はリゾート開発の動きが加速すると予測する」とあります。

富良野は通年で観光やリゾートを楽しめる地域として外国人に人気のエリアとなっており、別荘やコンドミニアム用地等の需要が高まったことが地価上昇の要因として挙げられます。

千歳

2位の「千歳」の地価上昇率は23.4%で、こちらも北海道だけでなく全国の住宅地の中でも2位に位置しています。

鑑定評価書には、「JR千歳駅から徒歩圏に位置する住宅地域として発展的に推移すると思われる。ラピダス進出の影響を受けた賃貸マンションへの投資需要の増加により、地価は上昇傾向で推移すると予測する」とあります。

鑑定評価書にもあるように、千歳の地価はラピダス進出の大きな影響を受けています。ラピダスの進出は、単に千歳の工場地の地価を押し上げただけでなく、周辺の住宅地や商業地など広範囲にわたって地価上昇を引き起こしています。

帯広

4位にランクインした「帯広」の地価上昇率は20.4%です。鑑定評価書には、「帯広市郊外の住宅地域で、利便性が劣るものの地価が安価であることから、近年需要が高まってきている。今後も引き続き上昇傾向で推移するものと予測する」とあります。

帯広市としては8年連続で地価上昇が続いており、帯広市だけでなく近隣の町や村でも住宅の需要が高まっています。