国土交通省が3月に発表した「地価公示」(2024年1月時点)によると、愛知県内の住宅地の地価上昇率は、前年比+2.8%でした。では、愛知県の中でも特に価格が上がっているのはどのエリアなのでしょうか。
今回は、国土交通省の地価公示をもとに、愛知県・住宅地で地価上昇率の高いエリアトップ20をご紹介します。さらに、地価上昇の背景について、鑑定評価書の情報を用いて詳しく解説します。
【2024年】愛知県・住宅地の地価上昇率ランキング
2024年1月時点で、愛知県の住宅地で最も地価上昇率が高かったのは、「上前津」(名古屋市中区上前津2丁目1208番)と、「久屋大通」(名古屋市東区泉1丁目502番)でした。
次いで、「大曽根」(名古屋市東区徳川町2609番1)、「金山」(名古屋市熱田区花町501番1外)、そして「池下」(名古屋市千種区桐林町2丁目37番)と続いています。
また、20位までに、「久屋大通」「太田川」「高蔵寺」はそれぞれ2回ずつランクインしています。
13ヶ所が名古屋市内に集中
愛知県・住宅地の地価上昇率ランキング上位20位のうち、13ヶ所が名古屋市内に集中しています。名古屋市内の住宅地は、市中心部のマンションに適した土地や駅から徒歩圏内の一戸建て住宅地で住宅需要が堅調であり、その結果として地価が上昇し続けています。
名古屋市全体の住宅地の平均上昇率は4.5%であり、区ごとに見ると中区では9.9%、熱田区では9.1%、東区では8.1%の上昇となっています。
ここからは、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で公表されている各地点の鑑定評価書をもとに、地価上昇率の高い地域の特徴を解説します。
なお、鑑定評価書では地番や住居表示が使用されていますが、今回はよりわかりやすくするために最寄り駅名で表記します。
上前津、久屋大通
1位の「上前津」、「久屋大通」の地価上昇率は16.2%です。上前津の鑑定評価書には、「居住環境及び利便性に恵まれた中高層共同住宅地域で、特段の大きな変動要因もなく、当面は現状のまま推移していくものと予測される」とあります。
人気住宅エリアの泉などと比べ、比較的価格を抑えられることから、上前津エリアのマンション需要は高まっているようです。
一方、久屋大通の鑑定評価書には、「マンション業者の用地取得は都心部に集中しているため、古くからの事業所等が緩やかにマンションに転換してゆくものと予測する」とあります。
久屋大通には名古屋の都心・栄から南北に伸びる久屋大通公園のほか商業施設も充実し、高価格帯マンションの売れ行きが順調です。
大曽根
3位にランクインした「大曽根」の地価上昇率は、13.9%です。鑑定評価書には、「既に共同住宅が多く建ち並んでいる地域であり、地域要因に特段の変動はなく、当面は現状を維持すると予測する」とあります。
大曽根駅周辺は大規模な再開発が行われ、近代的な大型商業施設が多数建ち並びます。駅から少し離れた場所には、西側にマンション、北側に主に戸建て住宅が広がっています。
金山
4位となった「金山」の地価上昇は、13.8%です。鑑定評価書には、「金山駅の徒歩圏内で、戸建住宅と共同住宅が建ち並ぶ住宅地域であり、今後も現状のまま推移するものと予測する。マンション適地の希少性もあって、地価水準は上昇傾向で推移するものと予測する」とあります。
名古屋市では、2020年から金山地区を副都心として重点開発する計画が進み、さらに活気ある街へと発展することが期待されています。