正しく使えてる? 「ブラッシュアップ」の意味
「ブラッシュアップ」の意味は日本語と英語ではやや違いがあります。ビジネスシーンでよく用いられるため、正しいニュアンスを知らないと恥をかくことも。今回は、「ブラッシュアップ」という用語の使い方をシーン別に詳しく解説します。
より良く磨きをかけるという意味を持つ「ブラッシュアップ」という言葉。
ビジネスで使用されることが多いですが、意味を誤って使用しないよう正しく理解することが重要です。
今回は、「ブラッシュアップ」という言葉を正しく使うためのポイントを解説していきます。
「ブラッシュアップ」の意味とは?
ブラッシュアップとは、ブラシをかけるように磨き上げるという意味を持ち、能力や技術力など今あるものに対して磨きをかけさらに良くするというニュアンスで使われる言葉です。
また、日本のカタカナ語と英語、ビジネス用語では異なる意味合いを持つため、注意が必要です。それぞれ間違えて使用しないように意味をチェックしていきましょう。
カタカナ語(日本語)における意味
単純に「磨きをかける」という意味を表し、その対象となるものは幅広いのが特徴です。
基本的には今あるものに対して使われますが、それがまだ形を成していない場合でも、作り上げ練り上げていく意味合いで使うことができます。
英語における意味
日本で使われるブラッシュアップは英語の「brush up」が基となったカタカナ語です。
英語の「brush up」 は、「磨きをかける」以外にも「身なりを整える」「勉強し直す」という意味があります。
したがって、カタカナ語と同じ意味だと理解していると、ネイティブとのコミュニケーションではすれ違いが生まれてしまう場面も。注意しましょう。
また、「磨きをかける」という意味で使う場合、英語圏の brush up は、失ってしまった能力などに限って使われます。細かなニュアンスも覚えておきましょう。
ビジネスシーンにおける意味
会議で大まかな概要が決まった後に、細かい箇所をさらに具体的に絞り出していく際に使用されます。また、能力やスキルを向上させる際に使用されることも多いです。
基本的には前述したカタカナ語のニュアンスを用いて使われるということです。
言い換え表現は「スキルアップ」
なお、日本で使う場合の「ブラッシュアップ」の類語として、「スキルアップ」が挙げられます。
どちらも「練り上げる」「磨きをかける」といった、現在の質をさらに良いものにしていくことを意味すると覚えておくと分かりやすいでしょう。
「ブラッシュアップ」の使い方と例文
ブラッシュアップの意味を押さえたところで、実際に使用するための例文をいくつか紹介します。間違えないよう、シーン別にしっかりとチェックしていきましょう。
日常で使う場合
日常では2つの言い方ができます。
まず、ブラッシュアップを使って能力の向上を表す場合は、以下のように使いましょう。
・仕事で海外に行く機会が増えたので、現地で交渉ができるよう英語力をブラッシュアップしたい。
このように、すでに能力はあるものの、さらに力をつけたい時に使用されます。
また、まだないものを形作っていくという意味でもブラッシュアップを使います。その場合の例文は以下の通りです。
・その考え方をブラッシュアップすれば、きっと良い企画ができるはずだ。
というように、アイデアを企画の内容として練り上げる必要がある時などに、何かを形作っていく様子を「ブラッシュアップ」を使って表現しています。
ビジネスシーンで使う場合
ビジネスシーンの場合は、社員の今ある能力に磨きをかけて、スキルアップを目指すことを意味します。加えて、定められている手法やマニュアルなどを見直し、改良するといったニュアンスを含めることもできます。
そのため、
・社員全体の営業スキルの向上を図るためブラッシュアップ研修を行う。
といった例文が挙げられます。
なぜビジネスで「ブラッシュアップ」が必要?
意味を押さえたところで、なぜ「ブラッシュアップ」が必要なのでしょうか。
元から能力はあるはずなのに、「ブラッシュアップ」をする意味とは? メリット、デメリット、注意点の3点を解説していきます。
メリット
「ブラッシュアップ」のメリットは、主に2つ挙げられます。
それは、「具体的な案を出せること」「効率よく作業を進められること」です。
具体的な案が出せること
まず、「ブラッシュアップ」をすることにより、元からあったアイデアを新たな形に進化させたり、より具体的な内容に落とし込んだりすることができます。
これにより、行き詰まっている時の解決の糸口が生まれるのです。
効率良く作業を進められること
そして、元からあった案に何が足りないのか、「ブラッシュアップ」によって補完すべきものが明確化されるので、作業は効率的になります。
また、集めた情報を整理するのも「ブラッシュアップ」。1つ1つのアイディアを組み合わせることで、新しい考え方が生まれるメリットがあります。
デメリット
「ブラッシュアップ」には、デメリットもあります。
それは「否定されたという誤解が生まれる可能性があること」です。
「ブラッシュアップ」は、客観的な立場になって評価することでもあります。したがって、意見や物事を否定する可能性が前提にあります。
自分が何日も時間をかけて作った資料や案が否定されたら悔しいですよね。他者と一緒に「ブラッシュアップ」をする作業では、相手がそんなふうに作り上げたものを否定して磨き上げていく場面も時には必要となるのです。
確かに、否定に近い意見は言いにくい瞬間もあるでしょう。しかし、より良いものを生み出すには「ブラッシュアップ」が必要です。お互いに認め合いながら、フラットに意見を出し合っていきましょう。
注意点
デメリットでも挙げたように、「ブラッシュアップ」の作業は誤解を招く恐れがあるため、その際の注意が必要です。
誤解を防ぐためには、なぜ修正するべきなのか目的を共有したり、大枠での修正方針から共有したりすることが求められます。
つまり、何でも1人でやろうとせずに共有することが大切なのです。全員でより良いものをスムーズに作り上げるために、意識していきましょう。
場面による使い分けに注意しよう
日本語と英語、ビジネス用語など、時と場合によって「ブラッシュアップ」の意味は少しずつ異なるため、注意が必要です。
そのちょっとの違いで相手に誤解を与えたり、大きな間違いにつながったりする可能性がないとは言い切れません。
より良いものを作り上げるために「ブラッシュアップ」について理解し、活用していきましょう。
(moeka)
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※この記事は2021年05月29日に公開されたものです