知らないとヤバイ! 「オポチュニティ」の意味
皆さんは「オポチュニティ」の意味を知っていますか? 意味を理解しないまま使っていると恥をかくことがあるかもしれません。そこで、今回はコミュニケーション研究家の藤田尚弓さんに、「オポチュニティ」の意味や「チャンス」との違い、ビジネスシーンでの使い方を詳しく聞いてみました。
ビジネスシーンのみならず、プライベートでも耳にする機会が増えてきた「オポチュニティ」という言葉。
何となく「機会」を表す言葉なのは分かりますが、「チャンス」との違いなど、はっきりしないままに使用していることも多いかと思います。
今回は、「オポチュニティ」の言葉の意味や使い方など、今さら聞けない「オポチュニティ」のあれこれを、具体的な使用例と共にご紹介します。
「オポチュニティ」とは
では、まず「オポチュニティ」の意味から見ていきましょう。
英語「opportunity」が語源
「オポチュニティ」の語源は、英語の「opportunity」です。直訳すると、機会という意味になります。
英単語の発音から、外来語としては「オポチュニティ」だけでなく「オポチュニティー」の表記でも使われています。
「オポチュニティ」の意味
オポチュニティとは、ポジティブな条件や機会、好機を指して使われます。
例えば、ビジネスシーンでの「オポチュニティ」は、営業や取引の機会を思い浮かべると分かりやすいと思います。特に、「自らの手によって勝ち取った機会」や「努力を重ねてつかんだ好機」の意味で使用されます。
オポチュニティとチャンスの使い分け
「オポチュニティ」と同じ意味を持つ外来語の「チャンス」ですが、この2つの違いは偶然性があるか無いかです。「機会」「好機」という意味は同じですが、「オポチュニティ」には自らが勝ち取った(努力した、招いた)、偶然性に依存しない機会を指します。
一方「チャンス」には、努力の側面もありますが、偶然性がある場合も含まれ、そこがオポチュニティとの違いになります。
「チャンス」には、「偶然舞い込んだ機会」というニュアンスがありますので、自分の努力を強調したいような場合には「オポチュニティ」を選ぶと良いでしょう。したがって、人を褒める際には、あえて「オポチュニティ」を使ってみるといいでしょう。
逆に、自分の努力以外の部分(偶然の出会い、天候など自然現象など)が多い場合には、チャンスを使うのがいいでしょう。
明確に区別している人はまだ少数かと思いますが、分かる人には分かる使い分けですので、ぜひ意識してみてください。
「オポチュニティ」の使用例
ここからは、「オポチュニティ」の実際の使用例を見ていきましょう。
コミュニケーション内での使用例
【例文】
「君の努力によってやっとつかんだ契約だ。このオポチュニティをしっかりと実らせないとね」。
【解説】
決して偶然ではなく、努力によって勝ち取ったことを評価する時にふさわしい言い回しです。チャンスでも意味は伝わりますが、使い分けが分かっている人の場合、評価されたうれしさに違いが出るかも知れません。
「幸運<チャンス<オポチュニティ」と、努力の度合いを併せて覚えておくと良いでしょう。
よく見る「オポチュニティ」を用いた表現
オポチュニティロス
オポチュニティを用いた表現に「オポチュニティロス」があります。日本語に言い換えるのであれば「機会損失」といったところでしょうか。偶然ではなく、何らかの行動・意思決定を起こさなかったことによる損失を指します。
例えば、赤字の原因を知っていたのにも関わらず、何の対策も取らなかったような場合、当然ながら損失が発生します。このような損失の時に使われる表現です。
オポチュニティコスト
その他にも、「オポチュニティロス」と似ている言葉で「オポチュニティコスト」があります。意思決定を迫られた時に、間違った選択をしてしまい、それによって得られなかった利益をイメージすると分かりやすいでしょうか。
選んだ選択が最善の選択ならば発生しないものですが、間違ってしまった場合、たとえ利益が出たとしても、最善のものより少なくなります。こういった時に「オポチュニティコスト」という言葉が使われます。
キャリアオポチュニティ
「キャリアオポチュニティ」は、ビジネスでの経験を積む機会のことを指して使われます。人材育成、転職、キャリアデザインといった話題の中で聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。
「良質なキャリアオポチュニティを提供することが重要だ」といった文脈で使われます。
「オポチュニティ」の類義語
次に、「オポチュニティ」の類義語を3つ紹介します。
(1)「好機」
前述してきた通り、似ている言葉の「チャンス」が思い浮かぶ人がいると思いますが、偶然性があるかどうかを加味すると、「好機」を使った方がいいでしょう。
好機は偶然性が高い場面でも使える言葉ですが、前向きに努力を重ねることで得られるという意味合いもあるので、言い換えにはおすすめです。
(2)「トリガー」
トリガーは、「引き金」という意味から転じて、「物事が変わるきっかけ」などに使われる言葉です。
引き金を引くのは自分ですので、自ら努力を重ねて得た機会である「オポチュニティ」にふさわしい類義語ではないでしょうか。
(3)「ターニング・ポイント」
ターニング・ポイントは、転換点や変わり目のことをいいます。今までうまくいかなかった状態から、良い状態へと飛躍するポイントになったところなどに使われる言葉です。
悪い状態への変化にも使われますが、オポチュニティの持つ、変化のきっかけになる瞬間を表しているので類義語として扱われることがあります。
「オポチュニティ」の対義語
最後に、「オポチュニティ」の対義語についても3つ紹介します。
(1)「ピンチ」
「ピンチ」とは、危機的状況に陥ることをいいます。オポチュニティという言葉が持つ「好機」という意味の反対語としてフィットするのではないでしょうか。
(2)「窮地」
また、「ピンチ」と似た表現で「窮地」があります。追い詰められて逃げようがない状況を想像すると、努力して勝ち取った機会を指すオポチュニティの対義語であることが分かりやすいと思います。
(3)アクシデント
もう1つ、対義語として「アクシデント」を挙げておこうと思います。
努力して勝ち取った好機がオポチュニティです。これに対し、アクシデントは予期せぬハプニングです。良い機会に対して悪い機会、努力の成果に対して予期せぬ結果というところが、反対語としてピッタリではないでしょうか。
「オポチュニティ」をつかめ!
日本では「チャンス」という言葉は、古くから使われ日常に浸透しています。それに比べると今回の「オポチュニティ」は、まだ耳馴染みの無い言葉かもしれません。
偶然の要素が多い「チャンス」に比べて、自分の力で勝ち取る「オポチュニティ」は、より評価が高い言葉となります。ビジネスシーンでも今より浸透していく言葉になるでしょう。
ぜひさまざまな準備や努力を重ね、オポチュニティをつかんでください。
(藤田尚弓)
※画像はイメージです
※この記事は2020年10月27日に公開されたものです