資生堂はこのほど、女性5,000人を対象にファンデーションに関する意識調査を実施。その結果、7割の女性が「肌に悪い」という印象を抱いていることが分かった。その原因は「毛穴を埋める」と「肌呼吸を止める」という理由からだったが、同社の実証実験から誤解であることが明らかになった。

  • 「ファンデで肌が呼吸できなくなる」は本当? 資生堂の実証実験の結果は…

    ファンデーションに関する意識調査

今回の調査によると、「ファンデーションは肌に悪い気がするか」という質問に対して、「そう思う」が19.6%、「ややそう思う」が23.7%、「とちらかと言えばそう思う」が27.3%で、合計すると70.6%の女性が「ファンデーションは肌に悪い」と考えていることが分かる。

その理由については、「毛穴が詰まりそうだから」が最も多く66.2%で、「肌呼吸しづらくなりそうだから」が52.7%と続き、女性たちはファンデーションを塗ることで、毛穴が詰まり、肌が呼吸できなくなると思っているようだ。この結果を踏まえて、同社は以下の実証実験を行った。

  • 「ファンデで肌が呼吸できなくなる」は本当? 資生堂の実証実験の結果は…

    ファンデーションは本当に毛穴を埋めるのか

まず、行ったのは「皮脂分泌実験」。ファンデーション無塗布の肌と塗布した肌で、1時間後の皮脂の分泌を観察した結果、ファンデーションを塗った肌でも毛穴から皮脂が分泌され、毛穴は埋まっていないことが分かった。

  • 「ファンデで肌が呼吸できなくなる」は本当? 資生堂の実証実験の結果は…

    本当に肌呼吸を止めているのか(実験1)

次に、ファンデーションが肌呼吸を止めているかどうかについて、2つの実験を行った。

実験1「植物を用いた通気性実験」では、4つの条件下でベビーリーフの種に、暗室で水を与え3日後の発芽状態を観察した。Aはそのままの種、Bは種にパウダーファンデーションを塗布、Cはリキッドファンデーションを塗布、Dは透明ラッカーを塗布し空気を遮断した。その結果、ファンデーションを塗布したBとCから、Aのそのままの種同様に正常に発芽した。

  • 「ファンデで肌が呼吸できなくなる」は本当? 資生堂の実証実験の結果は…

    本当に肌呼吸を止めているのか(実験2)

実験2「水分蒸散実験」では、Aのゴム手袋をした手とBのファンデーションを塗布した手を、ビニール袋で密閉して一定時間後の水蒸気の発生状態を観察したところ、ファンデーションを塗布した手の肌からは蒸気が確認でき、水分の蒸散を妨げることなく肌呼吸している。

なぜ「ファンデーションは肌に悪い」という誤解が広がってしまっただろうか。

資生堂客員研究員の石田かおりさんによると、8世紀の日本書紀にも「白粉」として登場するほど、日本のファンデーションの歴史は古い。化粧は成人の礼儀という考え方が浸透した時代もあったが、一時期起きた「白粉は鉛中毒になる」というネガティブなイメージに影響されている可能性があるそうだ。しかし、実証からも分かるように、ファンデーションが肌に悪いことはなく、むしろ紫外線や乾燥などの肌トラブルの原因から肌を守ることができるという。

なお同社では10月22日より、ファンデーションのことを楽しく知れる専門サイト「ファンデ100問100答」を公開している。