• (写真)デル・テクノロジーズ 堀田鋭二郎氏

    デル・テクノロジーズ DCW(Data Centric Workload)ソリューション本部 データ分析 主幹 堀田鋭二郎氏

DXの進展、AIブームとともにデータマネジメントの重要性が再認識され、整備にのりだす企業が国内外で増加している。ただし、データマネジメント基盤の整備においては、既存システムとデータのサイロ化が障壁の1つとなり問題視されている。デル・テクノロジーズでは、散在するデータへ安全かつ高速にアクセスし活用できるソリューションを提供し、企業のデータマネジメントを推進している。5月19日に開催されたオンラインセミナー「TECH+ Business Conference 2023 ミライへ紡ぐ変革 - TECH+データ活用Week Day5 データ活用基盤」で、デル・テクノロジーズ DCW(Data Centric Workload)ソリューション本部 データ分析 主幹 堀田鋭二郎氏がその詳細について解説した。

全社単位ではデータを利活用できていない日本企業

昨今のDX時代において、デル・テクノロジーズでは、5G、セキュリティ、マルチクラウド、AI/ML、エッジと並ぶ重点テクノロジーの1つとしてデータマネジメントを捉えている。

堀田氏によると、データマネジメントに取り組むにあたっては、「欲しいデータが簡単に手に入ること」「データが自動的に処理されること」「安全にデータを扱えること」「データ自身が信頼性のおける高精度なものであること」「全社員がデータを扱えるよう、データを民主化していくこと」が、目指すべき姿だという。これにより、企業は勘や経験に委ねないデータに基づいたデータドリブン経営を実現することが可能となり、ビジネスの成長と競争力確保につなげていくことができる。

情報処理推進機構(IPA)が公表する「DX白書2023」では、データを利活用していると回答した日本企業は55%で、米国の52.3%よりも高くなっていることがわかる。一方で、全社でのデータ利活用は米国よりも低く日本は19%にとどまっている(※1)。堀田氏はこの結果について、「事業部門などの部署単位でデータ活用の取り組みがなされており、全社的にはデータ統合環境の整備ができていない状況を表している」と考察したうえで、「各事業部、部署チーム単位でデータが散在しており全社で統合的にデータを活用できる状態になっておらず、データがサイロ化してしまっている。これはまさにデータマネジメントの課題」と「既存データサイロ問題」が生じていることを指摘する。

※1 出典:IPA『DX白書2023』図表1-32 データの利活用の状況(発行日:2023年3月16日)

ここで、データマネジメントとは何か、改めて整理しておきたい。堀田氏は、データマネジメントの主要素として「収集」「蓄積」「管理」「活用」といったデータに関する4つの活動をあげる。そして、これらの活動を支えるものとして「基盤(Platform)」「人材(People)」「プロセス(Process)」という3つの「P」を兼ね備えた仕組みが必要であるとする。

  • (図)デル・テクノロジーズが考えるデータマネジメント

そして、あらゆる場所から発生する多種多様な大量データを扱うには、ハードウェアだけでなく、クラウド、ミドルウェア、サービスを含めて考えていくこともポイントだという。

  • (図)データマネジメントを改善するための9つの考慮事項

解決のポイントは「データ仮想化」

デル・テクノロジーズというとハードウェアベンダーとしてのイメージが強いかもしれない。しかし実際には、上流コンサルティングサービスやソフトウェア製品の提供も含め、総合的に企業のデータマネジメント基盤整備を支援することが可能な体制を構築している。既に多くの国内のお客様をご支援し、国内実績も多様保有している。特に、既存データサイロ問題の解決に向けては、ヒアリングや要件確認をして、ワークショップを開催し、解決策を提案するという取り組みを実施しており、無償版ワークショップである「アクセラレーターワークショップ」が好評だという。このほか、データサイエンスやデータ管理・ガバナンス、データ分析・活用基盤と特にデータマネジメントで重要視される幅広い分野を対応している。

  • (図)デル・テクノロジーズが提供するユースケース別のソリューションサービスの例

また、デル・テクノロジーズでは、データウェアハウス、データレイク、データレイクハウス、そしてデータ仮想化を推進し、全社的なデータ統合環境の整備を支援している。

「多数のシステムにデータが分散していると、データベースからデータを移動、コピーし利用する必要があるが、この際に、データの鮮度が失われてしまうことが問題になる。データの移動で遅延が発生し、データ精度が落ちていく点が実ビジネスでデータを活用する多くのお客様にて問題視されている」(堀田氏)

デル・テクノロジーズ創業者のマイケル・デル氏は、「データを管理・保護し、セキュアにするためには、コンピュートエンジンが必要で、それが私たちの仕事。私たちは、データがどこにあってもアクセスできるようにするための有効なレイヤーになる」と提唱し、この分野への積極的な投資を行っている。

そこで、データサイロ化を解決するポイントとなるのは、デル・テクノロジーズが提唱するマルチクラウド・データアナリティクスだ。コネクターによるシングルアクセスポイント、分散型アーキテクチャを使用するデータメッシュのアプローチを実現することで、データが散在していても、どこからでもデータへアクセスすることが可能となる。

そして、データ仮想化がその具体的な手段の1つとなる。データ仮想化について堀田氏は、「異なるシステムソース、場所、フォーマットのデータを複製や移動することなく統合し、単一の『仮想』データ層を作成することで、複数のアプリケーションやユーザーをサポートする統合データサービス」と説明する。

データ仮想化は、基礎となるデータをSQLの概念であるスキーマ、テーブル、カラム、行、データ型に変換していく「コネクター」、分散型SQLクエリーエンジンにより、1つまたは複数の異種データソースに分散した大規模なデータセットにクエリーを実行する「クエリーエンジン」、抽象化レイヤーとしての「仮想化」、アクセスが高速になる「マテリアライズド・ビュー」、データ資産の再利用を可能にする「セマンティックレイヤー」、スキーマ、コネクターの構成など、データソースのメタデータ情報が含まれる「カタログ」、セキュリティ標準を満たしロールベースのアクセスコントロールシステムと統合することを確認する「セキュリティ&ガバメント」が主な構成要素となる。

日本初の商材であるStarburstを率いてマルチクラウド・データアナリティクスを実現

デル・テクノロジーズは、これらの構成要素を持つデータ仮想化のリーディングベンダーであるStarburst社とのグローバル・パートナーシップを締結し、データ仮想化のソリューションを提供している。Starburst社はこれまで欧米を中心にビジネスを展開してきており、日本へはデル・テクノロジーズを通じて初進出ということになる。

  • (図)Starburst Enterprise Platform

今回の協業のポイントは、デル・テクノロジーズの手によって完全検証されたうえでStarburstのソリューションがさらに拡張強化され提供される点だ。システムの構成・機能・性能について徹底的にテストされているほか、オンプレミスのDell ECS(Elastic Cloud Storage)でシームレスに動作し、オブジェクトストアを活用することができる。もちろん、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載のPowerEdgeサーバー上でも充分に検証されている。堀田氏は「我々デル・テクノロジーズのサーバ・ネットワーク・ストレージの要素を使ってデータ仮想化が機能面、システム構成面、そして性能面においても問題なく稼働することを保証する」と説明する。

「日本初の商材であるStarburstとデル・テクノロジーズのテクノロジービジネスをあわせて、マルチクラウド・データアナリティクスを展開し、日本国内における既存データサイロ問題を解決していく。結果的に日本企業のDXを促進し、日本全体を支援していきたいという強い思いをもっている」(堀田氏)

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