近年、ものづくり市場は一時期の不景気から脱し、活気が戻りつつある。その要因の一つとして、3Dプリンターを始めとする3D加工機器の普及が挙げられる。 今回は、東京浜松町にある、ローランドDGのクリエイティブセンターを訪問。同社セールス総本部に所属する田中 裕之氏(以下 田中氏)と森 能臣氏(以下 森氏)に、3D造形ブームとも呼べる昨今の状況について語っていただいた。

写真左) ローランドデイー.ジー.株式会社 セールス総本部 国内営業部
    3Dセールス&マーケティングチーム 田中 裕之氏
写真右) 国内マーケティング課 森 能臣氏

3Dプリンターと3D切削加工機は、ハサミとカッターのようなもの

大型インクジェットプリンターメーカーとして有名なローランドDG。 浜松町駅から徒歩6分、第一京浜沿いに、ガラス張りで一見すると場違いとも思えるカラフルな内装が目に飛び込んでくる。ここがローランドDGの東京クリエイティブセンターである。同センターでは、大型インクジェットプリンターや3D関連製品を実際に使用することが可能となっており、定期的に体験会も開催されている。 センターには、ものづくりに関する様々な問い合わせが寄せられる。その中でも、近年急激に増えているものが三次元造形に関する問い合わせだ。 その要因として考えられるものは、やはりITによって使いやすく、そして低価格になった3Dプリンターの登場だろう。手軽に立体的な造形物を成形できる機器の登場により、世の中の「ものづくり市場」は明らかに活性化しつつある。

立体造形物を作成する方法は、大きく分けて2種類ある。 一つが、樹脂やインクを積み重ねて立体にする「積層造形法」。通常のプリンターのような動作をすることから、一般には積層造形法による機器を3Dプリンターと呼ぶ。自由度の高いデザインが可能な反面、使用できる素材が限られる。

もう一つは、素材を直接削り出す「切削造形法」だ。「積層造形法」と比較するとデザインの自由度が制限されるが、素材の選択肢は(硬度に条件はつくものの)広がる。また、金型を作りやすい形状にもなるので、量産を見据えた製品の試作には理がかなっている。 なお、クリエイティブセンターに設置されている「MODELA MDX-40A(以下、MDX-40A)」は、この「切削造形法」を用いた機器である。

「3Dプリンターはトレンドな言葉ですから、立体形状を形づくるという意味で切削も3Dプリンターと呼んでしまってもよいのではないか? という議論もありました。切削式の3Dプリンターとか。。。」

クリエイティブセンターには、「MDX-40A」を3Dプリンターだと思って問い合わせしてくる人も多い。だが同じ立体物を作成する機器であっても、積層式の3Dプリンターと、切削式の「MDX-40A」では、長所も短所も異なる。それを明確にするために、3Dプリンターとの違いをしっかりと説明することを心がけているとのことだ。

「同じ、切る、を目的とした道具でも、ハサミとカッターでは役割や得意分野が違い、用途に合わせて使い分けていますよね。それは文房具でも、造型機でも同じことです。お客さんを混乱させないためにも、それぞれの長所と短所をしっかりと説明しなければなりません。そうすれば、必ず理解してもらえます」と田中氏は語る。

写真左) クリエイティブセンターに展示されている、ユーザーの造形作品
写真右) 3D切削加工機「MDX-40A」
    ・出力サイズ(最大):305(X)×305(Y)×105(Z)mm
    ・主に樹脂素材の加工対応

ユーザーによって可能性が広がる世界
更なる交流を求めて、東京クリエイティブセンターをリニューアル

かつて、造形物の世界は職人技に頼るほかなかった。1990年代頃に3DCADが登場し状況は変わり始めたものの、当時の3D CADは非常に高価なものであり、使用するためには専門的な知識も必要だった。そのため、誰もが扱えるというものではなかった。 「以前と比べると、機器もソフトも、かなりお手頃になっています。例えば、当社の切削加工機の場合、出力用のCAMソフトは予め付属しているので、コンピューターとCADやCGソフトがあれば使えます」(田中氏) 誰でも簡単に、そしてすぐに使えるようにしたい。3Dプリンターや「MDX-40A」を始めとする3D切削加工機の登場により、時代は大きく変わりつつある。

田中氏によると、専門学校や大学などの教育機関に「MDX-40A」が導入されるケースが増えているとのことである。そこでは、学年や性別を問わず、多くの生徒達が楽しみながら試作や設計を行っているそうだ。また、最近はクリエイティブセンターに、企業のみならず個人からの問い合わせも増えてきているとのことだ。

ものづくりに対する世間の認識は、明らかに変わりつつある。より身近に、楽しめる物として、これからも多くの人が興味を持ち、この世界へと脚を踏み入れてくることだろう。そしてローランドDGでは、このような人たち同士が交流できる場を広げていきたいと考えている。 「ユーザーさんの作品の中には、私達の想像や機械のスペックを超えているものも多いです。むしろ、ユーザーの皆さんに製品の可能性を教えられている、そんな気がしています。だからこそ、より多くの人たちが、この世界に触れ、そして楽しんでもらえるような場所を提供していきたい、そう考えています」(森氏)

東京 浜松町にある同社のクリエイティブセンターは、2014年4月にリニューアルし、より楽しく、気軽にものづくりができる空間として生まれ変わった。 「ここを単なるメーカーのショールームとはしたくありません。いろいろな人が、自由な発想でものづくりを楽しんで、そこから新しい何かが生まれる、そんなラボのような空間にしたいんです」(田中氏)

なお、クリエイティブセンターでは、3Dのみならず、同社のUVプリンターを用いた体験会も実施している。それらのスケジュールについてはホームページやメルマガで案内されているので、興味のある方は要チェックだ。

クリエイティブセンターにおける体験会の様子

クリエイティブセンターのレポートを掲載中!

開設一周年を機に、新たにリニューアルした、ローランドD.Gの「東京クリエイティブセンター」。より多くの人に同社のソリューションを活用してもらうことを目指して行われたリニューアルのレポートをマイナビニュースで掲載中!!!

レポートはこちら↓
「何ができるの?」に応えたい - ローランドDGの東京CCがリニューアル

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