企業がビジネスを展開するうえで、必要不可欠なのがMicrosoft Excelに代表される表計算ツールだ。統計データや社内外向けプレゼンテーション資料はもちろん、見積書などの書類作成まで幅広く活躍してくれる。そこで今回は、Googleドキュメントの表計算ツール「スプレッドシート」の便利な使い方を紹介しよう。

グラフをWebページへ簡単に貼り付け

Googleドキュメントのスプレッドシートは、Microsoft Excelと同じように表計算やグラフ作成が可能なツールだ。ここでは単なる表計算の方法よりも、スプレッドシートが備える特徴的な機能にスポットを当てたい。

まず、クラウド上で提供されるGoogleドキュメントならではの機能と言えるのが、作成したグラフをURL表記で別のWebページへ貼り付けられること。例えば、Excelで作成したグラフをWebページに貼り付けたい場合、グラフを画像として保存してからサーバへアップロード、HTMLファイルに必要なタグとURLを記載するという手順が必要になる。しかしGoogleドキュメントのスプレッドシートなら、作成したグラフからダイレクトにURLを生成し、HTMLファイルにコピー&ペーストするだけで簡単に済んでしまう。

また、画像として保存すると、データ更新のたびに保存とアップロードの作業が必要になるが、URL指定であれば更新データがリアルタイムにグラフへ反映されるため便利だ。さらに、同じURL出力でもリアルタイム更新が行われない画像として貼り付ける方法も用意されているので、資料の内容や状況に応じて使い分けることができる。

グラフを作成するには、データのあるセルを指定してからツールバー上の「グラフを挿入」ボタンをクリック、もしくは「挿入」→「グラフ」を選択する

完成したグラフをURLとしてHTMLファイルへ貼り付けるには、グラフのタイトル部分から「グラフを公開」をクリック

表示されたURLをHTMLファイルにコピー&ペーストすれば、簡単にグラフを貼り付けることができる。ちなみに、公開する形式で「インタラクティブなグラフ」を選ぶと元データの数値変更がリアルタイムに反映され、「画像」を選ぶと作成した時点のデータが画像として表示される

グラフのタイトル部分から「画像を保存」を選ぶと、URLではなく画像(png)ファイルとして保存できる

Microsoft Officeなどのファイルもインポート可能

現在、企業の多くは社内外の書類をMicrosoft Officeで作成しているだろう。こうした環境からでも手間なく移行できるよう、GoogleドキュメントにはMicrosoft Officeなど各種ファイルのインポート機能も備わっている。従来の資産を有効活用できるのは、企業にとって嬉しい機能だ。

具体的な手順としては、アップロードの設定で「アップロードしたファイルをGoogleドキュメント形式に変換」にチェックを入れておくだけで、自動的にGoogleドキュメント上で扱えるファイル形式へと変更してくれる。ファイル単体はもちろん、フォルダ単位でまとめてアップロードできるのもポイントの1つだろう。また、Google ChromeとFirefoxなら、ローカルフォルダからのドラッグ&ドロップで簡単にアップロードできる。

ただし、現段階では完全な互換性が保たれているわけではないのも事実。例えば、ファイル内に挿入してあるクリップアートや写真が消えてしまったり、関数やグラフに関してもGoogleドキュメントで定義されていないものは反映できなかったり、といった具合だ。

しかしこれは言い換えれば、単純なデータや書類ならほとんど手を加えずに、Googleドキュメント環境で利用可能になるということ。現時点では、「既存のデータをまとめてアップロード・変換し、複雑な数式やマクロが導入されたファイルを必要に応じて個別修正」という使い方がベストプラクティスではないだろうか。もちろん、今後のアップデートで互換性がさらに向上することも期待できる。

以下、表とグラフが入った一般的なExcelファイルをGoogleドキュメントにインポートしてみる。右上には試験的にクリップアートも挿入してみた

左上にある「アップロード▼」から、ファイル単体の場合は「ファイル」、フォルダごとの場合は「フォルダ」をクリック。「設定」では変換ルールが変更できる

「アップロード前に、毎回設定を確認する」にチェックを入れておけば、確認用のダイアログが表示される

これがアップロード直後のファイル。クリップアートが削除され、グラフもレイアウトが若干変わってしまっているが、データ自体に問題はない。ちなみに、複数Sheetが存在するExcelファイルもアップロードが可能だ

行・列の追加、グラフのレイアウト修正などを行った結果がこちら。このように、ファイルの内容によってはわずかな手直しでGoogleドキュメント環境へ移行できる

入力条件に応じた色分けで視認性をアップ

これはExcelにも装備されている機能だが、スプレッドシートでも同じくセルの入力条件に応じて文字色と背景色を変更することができる。例えば、「一定以上の不具合件数が出た場合に背景色を赤くして目立たせる」などアラートとしての使い方、「キャンペーン期間のみ文字色を青に変更」といった利用方法に最適だ。

条件としては、「次を含むテキスト」「次を含まないテキスト」「完全一致するテキスト」「空白セル」「日付」「次より前の日付」「次より後の日付」「次より大きい」「次より小さい」「次と等しい」「次と等しくない」「次の間にある」「次の間にない」から選択が可能。また、1つのセルおよびセル範囲に対して最大5つのルール設定が行えるのもポイントだ。

プルダウンメニューから条件を指定し、必要に応じてテキストや数値を入力。複数条件の設定や、テキストと背景の同時変更も行える

プルダウンメニューから条件を指定し、必要に応じてテキストや数値を入力。複数条件の設定や、テキストと背景の同時変更も行える

条件に応じてセルの文字色と背景色が変更された

このようにGoogleドキュメントのスプレッドシートには、企業のデータ管理を容易にする機能が数多く用意されている。それでは次回も引き続き、スプレッドシートに関する便利な機能を紹介していこう。

参考になるWebサイト


Google ドキュメントのテンプレート集
http://www.sateraito.jp/Google_Docs_Spreadsheets.html

 

Google ドキュメントの使い方テクニック
 http://www.sateraito.jp/google_apps_learning.html