前回に引き続き「村上式シンプル英語勉強法」の紹介をしたい。前回も登場したGoosebumpsの子供向けホラー小説『Go Eat Worms!』を最後までなんとか読み終えることができた。動詞や形容詞の意味がわからない箇所が多数あったが、飛ばし読みをした結果、ストーリーは把握できたと思う。

その中である発見があった。make someone wayという表現が何度か出てきたのが、最初は意味はわからなかった。しかし何度も出てくるので、文脈からその意味が浮かんできたのだ。

実際にmake someone wayは次のような文章で使われていた。

  • Danny warned as they made their way out the back door. (p18)
  • His wet sneakers squeaked as he made his way to Regina's ladder. (p24)

これらから「行く」という意味らしいことは想像できる。

  • The two boys made their way toward the living room. (p33)
  • He turned and made his way down the stairs. (p37)

ここまで来ると、make someone wayは「歩いていく」という意味であろうことは確信に変わった。

ちなみにコウビルド英英辞典には、"When you make your way somewhere, you walk or travel there." と解説してあった。

このように洋書を読むだけで、知らない表現の意味を自然に学べる場合もあるのだ。特に物語の場合は文脈があるので、知らない単語の意味もある程度想像できる。たとえば、「今この人物は怒っている」とか「気持ち悪がっている」などはわかるので、そういう場合に使われる表現という程度のことはわかるのだ。

とりあえず、それでよしとしておこう。考えてみれば、日本語で難しい表現に出会ったときにも、同じように対処しているのではないだろうか。『Go Eat Worms!』の場合は、虫を気持ち悪がるシーンが多く、"That's sick!" "That's gross!"などは、そういう場合に使われる表現だなと想像できた。

ということで、皆さんもぜひ洋書を読んで、私と同じ経験をしてみてほしい。

さて、そうは言っても村上式では「多読と同時に、意識的に単語を覚えよ」である。次に村上式単語の覚え方を紹介しよう。

村上式では目標は1万語。1万語あればビジネスでは困らないそうだ。覚え方は、ひたすら眺める - 書いたり、音読したりはいっさいナシ。例文と共に覚えたりもしない。眺める量だが「1日で1万語」と言っている。1語1秒でも2時間45分かかるというしろものだ。これをやれるのは休みの日くらいか。

村上式は単語と何回も出会うことを目指している。私もmake someone wayに何度も出会って覚えたわけだし、これには共感できる。眺めるだけというのもお手軽なので、例えば通勤電車の行き帰りに1万語なんていうことも可能かもしれない。

そこで、村上さんがお勧めしている1万語レベルの教材から『発信型英語10000語レベル スーパーボキャブラリービルディング(CD BOOK)』をさっそく購入した。これを覚えると『TIME』『Newsweek』『Economist』が辞書なしで読めるようになるという。夢のようではないか。さっそく明日から読み込むこととしよう。ただ、通勤電車ではロバート・B・パーカーの『スペンサーシリーズ』を読むことにしたので、これをいつ読めばよいのやら…… あぁ、時間が足りない。

どちらも村上氏オススメの本。単語は"とにかく眺めて(睨んで?)"覚えることがコツなのです!

村上式でビビッと来た中の最後は「話す」の章だ。外国人と酒を飲むようなときにスモールトーク(世間話)ができなくて困るという人、多いと思う。村上さんのアドバイスは「自分自身に関する100の文章を、もちろん英語で、前もって作って丸暗記しておくということ」だ。

1分間くらいの自己紹介を英語で作って丸暗記しておくと良いと、どこかで聴いたことがあるが、それを100個とは。そう来たか、という感じだ。

100個の内容は自己紹介に限らず仕事関連でもよいとのこと。もし話す内容が思い当たらないという人がいたら、何のために英語を勉強しているのですか? ということになるのでがんばって英作文しよう。

外国人との会話ではその100個の話題に無理やり持っていくことが肝要である。2時間は話が持つそうだ。外国人と話していくうちに100個の内容がブラッシュアップされていくという。

なかなか実際的な方法ではないか。最初、自分が書いた英語に自信がないというときは相互添削型SNSのLang-8を利用するのも手だ。

いかがだったろうか。本気で取り組めばたしかに上達はまちがいないだろう。あなたも「村上式シンプル英語勉強法」にLet's try!

著者紹介

本多義則 (Yoshinori Honda)

日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる