富士通は6月26日、コンサルティング事業ブランド「Uvance Wayfinders」について、「Industries」(業種)、「Operations」(オペレーション)、「Experiences」(体験価値)、「Technologies」(技術活用)の4つの領域においてコンサルティングを強化する、新たな事業戦略について発表した。
「Uvance Wayfinders」設立の3つのこだわり
説明会で、執行役員副社長の大西俊介氏は冒頭、「Uvance Wayfindersの立ち上げ当初からこだわってきたポイントが3つある。まずは、子会社のような形式ではなく富士通全体の中にコンサルティング組織を作ること。日本市場から始めるのではなく最初からグローバルな組織をデザインして作ること。そして、この組織を本物のリーダーシップに率いてもらうこと」と話した。
その言葉通り、「Uvance Wayfinders」は特定の部署や事業にフォーカスせずに、フロント営業やソリューション、テクノロジーデリバリー、R&Dなど、富士通本体の多様な知見を集結してコンサルティングを提供してきた。
また、グローバルで共通した組織体制、人事・採用・評価制度を導入した。コンサルティングメソッド、カルチャー、オペレーティングモデルについてもグローバルで統一し、一貫した経営を遂行している。
さらに現在、各領域の業種に特化したテクノロジーに精通しているコンサルティングリーダーの採用を強化している。すでに参画しているメンバーの中には、元競合コンサルティング企業や、SaaS企業部門長クラスの人材もいるそうだ。
グローバルコンサルティングビジネスグループ長の習田晋一郎氏は、「純粋なコンサルタントというよりは、知見を持ち各業界に精通しており、お客様と現場で実装を進めてきたようなメンバーを集めている」と説明していた。
「Uvance Wayfinders」はOne-Fujitsuで価値を提供
従来の企業や業務ごとのシステムインテグレーションでは、複雑な経営課題の解決が困難になりつつある。これに対し、企業自身がデータとAIを駆使して、経営や事業、業務を自律的かつ継続的に進化させることが重要だ。
富士通は、そのために、データとAIを最大限に活用するためのビジネスの枠組みとして、「Enterprise Agentic Foundation」の構築が不可欠だとしている。エージェント型AIが組織やビジネスの中心的な機能を担う世界を実現するため、「Uvance Wayfinders」ではデータとAIの活用を一気通貫で支援する。
ここではさまざまインダストリーの知見、IT実装、テクノロジー、さらには富士通自身のDX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクト「フジトラ」で得たノウハウも活用するとのことだ。
習田晋一郎氏は「Uvance Wayfindersは、ここ数年のフジトラの経験を体系化し経験値をお客様に提供する。また、従来のエンジニアリングの視点ではお客様の業務自体を変える発想に結びつきにくいため、コンサルティング部隊が上流の議論に入ることでより良い解決方法を提案したい」と説明した。