つばめBHBは2月、シリーズCの第2ラウンドとして総額53億円の資金調達を実施したことを発表した。

同社は、東京工業大学(東工大)発のベンチャー企業であり、2017年4月にエレクトライド触媒を活用した、低温・低圧でアンモニア合成が可能な小型分散型アンモニア製造プラントでのオンサイトアンモニア生産の社会実装・商用化を目指して設立。100年以上にわたってアンモニア合成手法として用いられてきたハーバー・ボッシュ法に代わる新たな手法として国内外から注目を集めている。

高まりをみせるグリーンアンモニア需要

アンモニアはアミノ酸や化学品の原料、農業肥料などさまざまな用途に使われてきたほか、近年では窒素酸化物(NOx)と結びついてN2やH2Oに還元する還元剤や水素キャリアとしての利用など、脱炭素のキーテクノロジーとしても注目を集めるようになってきた。

世界的に見ても、EUが炭素国境調整措置(CBAM: Carbon Boarder Adjustment Mechanism)を導入することを決定し、2023年10月から事業者に対する炭素排出量の報告を義務化したほか、2026年からは排出量に応じて実際の課税を開始する予定としている。また、欧州委員会は2024年2月6日に、EUにて2040年までにCO2排出量を1990年比で90%削減する必要があると発表しており、こうしたCO2削減や気候変動問題に対する国家レベルの規制強化に伴い、化学・運送・農産業などを中心に環境を守りながら、経済活動を可能とするグリーンアンモニアのニーズは高まりをみせている。

つばめBHBが提供する小型分散型アンモニア製造技術

つばめBHBが提供するエレクトライド触媒を活用したアンモニア合成触媒は、低温・低圧で合成が可能なため、小型アンモニア製造プラントでの地産地消が可能だという。アンモニアプラントは従来、大電力が必要ということもあり大型のものが多く、かつコストがかかるため、製造プラントを保有していない国も多くあるが、同社の小型アンモニア製造プラントを活用すれば、そうした国でもアンモニアを製造することができるようになる。

これは石油化学コンビナートで大量生産されたものを調達する現行方式に比べて輸送や保管のプロセスが減ることにもつながるため、それに伴うCO2排出量も削減できるメリットもあるとと同社では説明している。

新たに53億円の資金調達を実施

グリーンアンモニアニーズの高まりを受け、シリーズCの第2ラウンドでは同社初の海外投資家として、ドイツのハーナウを本拠地とする Heraeus Beteiligungsverwaltungsgesellschaft(へレウス社)が参画。へレウス社は、多角的かつグローバルに展開する大手ファミリー経営のテクノロジー企業で、金属・リサイクルやヘルスケア、半導体・エレクトロニクス、そして産業というビジネスプラットフォームにおいてさまざまな活動を展開しており、世界40ヵ国、約1万7200名の社員が在籍している。

つばめBHBはヘレウス社と連携することで、小型分散型オンサイトアンモニアプラントによるアンモニア生産のローカライズ化、再生可能エネルギーを活用したグリーンアンモニア生産、水素アンモニアの製造といったヨーロッパを中心としたアンモニアの事業開発やサプライチェーン強化をしていきたいとしている。

さらに、国内からの新規投資家として、横河電機、環境エネルギー投資が引受先として名を連ねており、これらの資金調達先から得たこれまでの累計資金調達額は76億円となったとする。なお、今回調達した資金は、さらなる小型分散型アンモニアプラントのコスト低減、中規模プラントの商用化に向けた研究・開発の促進、大型化を見据えた次世代触媒の技術開発費、事業において特に重要である人材の採用費・人件費に活用し、日本発の小規模アンモニア生産プラントの商用化に向けて推進していくとしている。