ユナイテッドアローズとビームスのOMO責任者が退任 藤原氏と矢嶋氏の新天地は?

ユナイテッドアローズの執行役員 CDO 兼 OMO本部 本部長の藤原義昭氏は3月29日、3月31日付で同社を退任することを明らかにした。同28日には、ビームスの執行役員 DX推進室長を務めている矢嶋正明氏も3月31日付で同社を退任することを明にしていた。セレクトショップ大手2社のECやOMOで陣頭指揮を執っていた2人が同時に退任することになった。

藤原氏は2021年4月にユナイテッドアローズの執行役員DX推進センター担当本部長CDOに就任した。ECサイトのリプレイスにおいて障害が発生し、管理体制の見直しを迫られていたユナイテッドアローズは、コメ兵でECやオムニチャネルの体制構築において実績のある藤原氏を招へいした。藤原氏はユナイテッドアローズ入社後、ECサイトのリニューアルプロジェクトを推進し、リプレイスを大きな問題なく遂行した。その後もOMOの体制構築や会員プログラムの刷新などで辣腕を振るった。

一方、矢嶋氏は1998年にアルバイト販売員としてビームスに携わり、2000年に入社した。店舗での販売スタッフを経て、2005年からEC部門の責任者に就任した。自社ECサイトの立ち上げや直営化を実施。ECだけにとどまらず、オムニチャネル化を推進を任され、執行役員 DX推進室長としてビームスのEC事業拡大やOMO体制の構築に大きな役割を担っていた。

藤原氏はユナイテッドアローズにおいて後進が育っていることを背景に、自らの役割に一区切りを付け、退任に至ったようだ。退任後の去就は明らかにしていないが、しばらくの期間を空けたのち、新たな活躍の場に身を置くものとみられる。

矢嶋氏はビームス入社から25年経ったことを区切りと考え、新たな挑戦に進むという。4月以降はオートバイやバイク部品などを扱う企業を事業承継し、代表に就任するようだ。EC事業の経験を生かし、事業拡大を図る見通しだ。

日本流通産業新聞社では2022年に展示会「通販・EC EXPO」で藤原氏と矢嶋氏のトークセッションを実施した。企業全体のサービス品質にこだわるユナイテッドアローズと、店舗スタッフの個性を重視するビームスの考え方が、OMO戦略の違いにも表れており、とても興味深い内容となった。

アパレルEC、OMOの第一線で活躍している両氏の今後の動向にも注目していきたい。