LINEヤフー、「デジタル時代における民主主義を考える有識者会議」からデジタルプラットフォームの在り方について提言

LINEヤフーは3月15日、2021年1月に設置した「デジタル時代における民主主義を考える有識者会議」より、デジタル時代における健全な民主主義を実現するために、デジタルプラットフォーム事業者に期待されることをまとめた最終報告書を受領し、「偽・誤情報対策へ継続的に関与する」など、デジタルプラットフォーム事業者に期待される9つの提言があったと発表した。デジタルプラットフォーム事業者の役割を認識するとともに、自社の取組み強化も含めて対策の検討を推進する考えを示した。

2020年2月から拡大した新型コロナウイルスや、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、2023年10月のイスラエル・パレスチナ紛争等を経て、デジタルプラットフォームを通じて拡散される偽・誤情報は、人間の認識・判断を脅かし、社会の混乱を招く要因となっていることが改めて認識されるようになった。

こうした状況を受けLINEヤフーは、情報の流通基盤であるプラットフォーム事業を営むデジタルプラットフォーム事業者が、デジタル時代における健全な民主主義を実現するために果たすべき役割や行動規範を検討することを目的として、2021年1月に「デジタル時代における民主主義を考える有識者会議」を設置。外部有識者の意見を取り入れながら継続した議論を行っており、2022年6月には、フェイクニュースの実情やファクトチェックの在り方等に関する提言がまとめられた「中間報告書」を本有識者会議から受領した。

さらにこのほど、2024年3月15日に、「中間報告書」以降の議論・検討の成果として、デジタル時代における健全な民主主義を実現するために、デジタルプラットフォーム事業者に期待されることをまとめた最終報告書を受領した。

本最終報告書では、デジタル化によって情報流通の在り方や情報空間そのものが大きく変化したことを踏まえ、デジタルプラットフォーム事業者に期待する以下の9つの提言がなされた。

【本報告書で示されたデジタルプラットフォーム事業者に対する新たな提言 】

・民主主義に対する外部からの攻撃がデジタルプラットフォームを介して行われることを認識し、政府等のステークホルダーとともに適切な防衛策を講じる

・偽・誤情報対策へ継続的に関与する

・政府に対する情報開示についての社内ガイドラインを整備し、ステークホルダーに向けて透明性レポート等を通じた情報開示を行う

・サイバーセキュリティやインテリジェンスにおける、官民の人的交流を促す

・誹謗中傷やクリックベイト等の有害なコンテンツに対し、業界基準や自主基準に基づく利益配分の傾斜付けや非表示、削除等を通じたコンテンツモデレーションを実施する

・ユーザーが発信者の信頼性を判断する際の補助となる情報を公開する

・ユーザーが報道機関や公的機関の発信とそうでない発信とを判別しやすいようにする

・発信者に対して良質なコンテンツの作成を促すため、PV以外の評価指標を導入する

・受信者(ユーザー)に対して良質な情報へのアクセスを促すための、インセンティブ付与やリテラシー向上のための施策を行う

これらの提言を実施していくためにも、デジタルプラットフォーム事業者は、政府をはじめとするステークホルダーとの議論を進めていく必要があるとされている。また、デジタルプラットフォームが民主主義、すなわち「基本的事実に基づく議論を通じた合意の形成」を行う場として発展していくためには、政府から市民まで、社会全体からの信頼を獲得する必要があり、デジタルプラットフォーム事業者は、表現の自由や通信の秘密といった基本的人権を守りながら、必要なルールの策定や高い透明性の確保が求められると提唱されている。

本提言書を踏まえ、LINEヤフーはデジタルプラットフォーム事業者として、情報空間のエコシステムの健全性、信頼性を確保するための取組みを引き続き検討、実践していく考えを示した。