楽天グループ傘下で通信インフラ輸出事業を手掛ける楽天シンフォニーは12月20日、楽天モバイルの4Gネットワーク検証環境において、無線アクセスネットワーク(RAN)を管理・制御するインテリジェント機能「RAN Intelligent Controller」(RIC)を活用したOpen RANマルチベンダー接続の実証に成功したことを発表した。

Open RANとは?

Open RANとは、RANを構成する機器の仕様をオープン化し、異なるベンダーの機器を接続しやすくすることで自由度を高める仕組み。特定のベンダーに縛られず、柔軟な設備調達や価格競争により設備投資と運用のコストを削減できる。

そして、RICは、5GのRANを構成するRU(無線機)、DU(分散局)、CU(集約局)などのノードおよび装置上のソフトウエアを管理・制御するコントローラーのこと。

楽天モバイルは2023年2月より、情報通信研究機構(NICT)からの委託研究として、楽天シンフォニーのRICプラットフォーム上で稼働するRICアプリケーションに関する研究開発を進めている。

今回の発表によると、Beyond 5Gに向けたネットワークだけでなく、4GのOpen RANネットワークにおいてもRICを活用したRANの電力制御およびネットワーク全体の消費電力削減ができることを実証したという。

ネットワーク運用の効率化・省電力化を確認

同実証では、RICアプリケーションによる指示に基づき、複数のベンダーから構成される4GのOpen RANをインテリジェントに制御。トラフィック状況などに応じてネットワークを最適化することで、Open RANのパフォーマンス向上につなげることができるほか、ネットワーク運用の効率化・省電力化が可能となることを確認したという。なお、削減量は公表していない。

同実証には楽天シンフォニーが「O-RAN ALLIANCE」の定める仕様に沿って独自に開発している「Symworld」製品のRICプラットフォームを活用。このRICプラットフォームには、RAN制御にかかる処理時間を1秒以上とする非リアルタイムRIC(Non-RT RIC)および処理時間を10ミリ秒から1秒とする準リアルタイムRIC(Near-RT RIC)が含まれるという。

楽天シンフォニーは今後もOpen RANを推進し、多様なベンダーで構築されたOpen RANエコシステムの構築を柔軟にし、通信業界をリードする技術を提供していく考えだ。