MONET Technologies(MONET)は12月6日、三重県鳥羽市が12月18日から2024年3月末まで実施予定の「鳥羽市医療MaaS実証事業」の実証運行に協力すると発表した。

  • 実証のイメージ

MONETは、トヨタ自動車とソフトバンクの合弁会社。今回の実証では、患者の自宅付近に訪問した車両内でオンライン診療を行う医療MaaSと、通院を必要とする患者を診療所まで移送する患者移送サービスを、1台のマルチタスク車両で提供する。

  • 実証で使用する車両の内部

1台のマルチタスク車両を曜日や時間帯によって用途を変更することで、患者の受診機会の拡大と車両の稼働率の向上を目指すという。移動型の医療サービスと患者移送サービスの1台のマルチタスク車両での併用は、同社によると全国初とのこと。

鳥羽市では、高齢化に伴う免許証の自主返納などにより通院が難しい患者への医療サービスの提供が課題になっていることに加えて、医師の業務効率化に向けた対策の検討が求められているという。

こうした背景から、離島部を含む市立診療所の医師が複数の診療所を受け持つグループ診療が2020年に始まり、医師が離れた場所から患者を診察するなど、ICT(情報通信技術)を活用したオンライン診療を行ってきたとのこと。

  • 診察に使用する機器

同実証では、より充実した医療サービスを遠隔で提供するため、患者の生体情報をリアルタイムに収集・確認できるという「セコムVitalook(バイタルック)」(セコム医療システムが提供)と、離れた場所にいる医師と患者の間で、高画質な映像と音声を共有できるという「Teladoc HEALTH(テラドック ヘルス)」(ウィーメックスが提供)の2種類のシステムを、マルチタスク車両に搭載する。

同実証における医療MaaSでは、同市石鏡地区と今浦地区にマルチタスク車両が訪問し、市立診療所の医師がオンライン診療を行う。患者移送サービスでは、両地区から市立診療所まで患者を移送する。対象者は、慢性疾患などで鏡浦診療所、石鏡分室または今浦分室に通院中の人。

各者の役割は、鳥羽市が実施主体となり、セコム医療システムが遠隔診療支援システムおよび各種医療機器の提供、ウィーメックスが医療機器の提供による支援、三重近鉄タクシーが車両の管理・運行、MONETが実証の企画・運営およびマルチタスク車両やシステムの提供を、それぞれ担う。

同市とMONETは同実証運行の結果を踏まえて、車両を活用した新たな医療体制の構築を検討していく。