NTT東日本とNTT西日本は3月22日、特殊詐欺犯罪の防止に向け、新たな取り組みとして、3つの施策を実施すると発表した。

NTT東日本 代表取締役副社長 副社長執行役員の北村亮太氏は、今回の取り組みを実施する背景について、「特殊詐欺犯罪は現在、深刻な社会課題となっており、残念な状況にある。われわれはこれまでも特殊詐欺の防止に取り組んできたが、これからも固定電話サービスを安全に利用してもらうために、新たな施策を実施することにした」と説明した。

  • NTT東日本とNTT西日本が特殊詐欺犯罪の防止に向け行う施策

高齢者を対象とした、ナンバー・ディスプレイおよびナンバー・リクエストの無償化

1つ目の施策は、高齢者を対象とした、ナンバー・ディスプレイおよびナンバー・リクエストの無償化だ。ナンバー・ディスプレイとは、かけてきた相手の電話番号が、電話に出る前に電話機等のディスプレイに表示されるサービス。また、ナンバー・リクエストは、ナンバー・ディスプレイのオプションで、電話番号を通知しないでかけてきた相手に、電話番号を通知してかけ直すよう音声メッセージで 応答するサービス。

特殊詐欺犯の被害者の9割が70代以上であることから、70 歳以上の契約者、または 70 歳以上の方と同居している契約者の回線について、合致するナンバー・ディスプレイおよびナンバー・リクエストの月額利用料および工事費を無償化する。

ナンバー・ディスプレイの料金は400円、ナンバー・リクエストの料金は200円、また、工事費がナンバー・ディスプレイのみの場合が2000円、両サービスを契約する場合は3000円となっている。今回の施策により、これらを無償としてサービスが提供される。

受付および適用開始日は5月1日を予定しているが、北村氏によると、前倒しての提供も検討しているという。

  • ナンバー・ディスプレイの利用イメージ

特殊詐欺対策サービスの無償化

2つ目の施策は、2023年5月1日から2025年3月31日にかけて、特殊詐欺対策サービスの月額利用料と工事費を無償化にするものだ。同サービスは、両社が提供する住宅用電話サービスとセットで契約することで、通話録音機能付き端末から録音した通話内容をクラウド上に転送し、AIが通話内容を解析するもので、2020年11月に提供を開始した。

5月1日から3月31日まで申し込みを受け付けるが、両社の申し込みがそれぞれ5000名に達し次第、受付を終了する。というのも、専用の端末を両社が用意する必要があるため、台数を制限するという。

同サービスを利用するにあたっては、各種工事にかかる初期費用、月額利用料、通話料がかかる。初期費用は、特殊詐欺対策アダプタを利用者が設置するか、同社が設置するかで変わってくる。

同サービスのユーザーはまだ少なく、工事費がネックとなっていることから、今回の施策を実施するとのことだ。

同サービスも受付および適用開始日は5月1日を予定しているが、前倒しての提供も検討しているとのことだ。

電話番号の変更に関する工事費の無償化

特殊詐欺等の犯罪被害を受けた場合、または、受けるおそれがある場合、電話番号変更の工事費を無償で受ける。電話番号を変更することで、犯罪目的の電話が繰り返しかかってくるような被害の抑止が可能になるとしている。