シーメンスは6月1日、同社が提供するDX(デジタルトランスフォーメーション)サービスを相談、見学、体験、実証する場として、「デジタルエンタープライズ エクスペリエンスセンター(DEX) Tokyo」を東京都品川の同社オフィス内に開設したことを発表した。

同社は、自社が提供するDXサービスについて、クライアントが100社あれば100通りあるとしたうえで、1社1社最適なソリューションを提供するためにDEX Tokyoがあると、開設の意図を語った。DEX Tokyoでは、展示を通じたシーメンスのソリューションの体験や、同社のエキスパートによる導入した際のシミュレーション、改善提案を受けることができるという。

例えば、「AGV(無人搬送車)を導入したい」というクライアントがいれば、DEX TokyoでシーメンスのAGVソリューションを見学し、プログラミングツールの説明を聞いたり、実際にAGVをプログラミングして動かしたり、工場の見取り図から最適な動線や稼働台数などのシミュレーションを行うといった形で施設が利用されることを想定しているという。

  • シーメンスが目指すDEX Tokyoの役割

    シーメンスが目指すDEX Tokyoの役割(提供:シーメンス)

同施設では、「製造ラインのデジタルツイン」や「AGV」、「ロボットシミュレーション」、「バーチャルトレーニングソリューション」、生産現場から経営層まで対応するコネクティビティソリューションである「IndustrialEdge」や、インダストリアルIoT ソリューションである「MindSphere」のデモなどが体験できるという。

例えば、製造ラインのデジタルツインでは、実在するシーメンスのPLC組み立て工場のラインの一部をディスプレイで展示。ディスプレイの裏では、PLC(Programmable Logic Controller)や表示機のプログラム、メカのCADファイルが格納されたPCが稼働していて、プログラム通りにセンサやモータなどの各アクチュエータがバーチャル上で動作する「バーチャルコミッショニング(仮想試運転)」を表現している。

  • バーチャルコミッショニング

    ディスプレイ上で表現されているバーチャルコミッショニング

同展示の活用事例としては、装置のメカ構成やプログラムを事前確認し、立ち上げ時のトラブルを未然に防ぎ、時間やコストの短縮につなげるということが考えられるという。

また「AGV」の展示では、シーメンスはAGVのシステムを構成する制御パーツを提供しており、プログラムをモジュールごとに提供している。DEX Tokyoではそのプログラムを用いたAGVのデモを体験できるだけでなく、効率の良い車両の通り道を決定したり、最適な稼働台数を算出するなどのシミュレーションも可能だ。

  • DEX TokyoでのAGVのシミュレーションの様子

    DEX TokyoでのAGVのシミュレーションの様子

DXサービスを体験できる施設は、ほかにもあるが、同社施設の強みはどこにあるのだろうか。

同社の代表取締役社長兼CEOの堀田邦彦氏は「さまざまな強みを持つ、シーメンスの他拠点(海外)の事例もみることができるのが大きく差別化できる点だ。例えば、中国のDEXだと、工場も併設されており、工場での実際の動きなども見ることができる。そういった海外の事例もDEX Tokyoからオンラインでつないで見学することなどもできる」とした。

シーメンスは、企業のDX課題に対し、課題の診断や提案、システムの最適化までを提供する「デジタライゼーションコンサルティングサービス」も提供しており、DEX Tokyo と併せてソリューション提案を強化していく方針だ。

なお、DEX Tokyoへの来場の際には事前に予約する必要がある。