NECと北原病院グループのKNIは2月28日、AI技術を活用して患者に最適なリハビリテーション(リハビリ)介入プログラムを作成する技術実証を実施したと発表した。

リハビリの計画を作成する業務では、「患者の回復度の予測」「リハビリ目標の設定」「リハビリ介入プログラム作成」の3つのプロセスがある。今回の実証実験では、「リハビリ介入プログラム作成」にAI技術を活用し、業務負荷の軽減についての検証を行った。

具体的には北原リハビリテーション病院に蓄積されているリハビリ介入プログラムの実施事例データベースに、熟練者の経験に即した行動を学習して再現する「模倣学習技術」を適用して回復効果が高かったリハビリ介入プログラムの実施事例を模倣することで、患者の状態に最適と思われるリハビリ介入プログラムの候補を表示した。

  • 模倣学習技術により出力したリハビリ介入プログラム(イメージ)

経験の浅いスタッフが表示された候補を参考にリハビリ介入プログラムを立案したところ、プログラムの正しさが46%向上したという。同技術を活用することで、経験の浅いスタッフが作成するリハビリ計画の質が向上し、指導するベテランスタッフの業務負荷を軽減することが期待できる。

リハビリではQOL(Quality of life)向上にも繋がる患者の早期在宅復帰や介護予防が求められるため、短い期間で最大限に患者の日常生活動作(ADL)能力の回復を促す取り組みが重要となる。だが、医療機関のスタッフによるリハビリ介入は、スタッフ個人の経験に依存する作業が多く標準化が難しいため、効率的にノウハウを伝承して経験の浅いスタッフでも質の高いリハビリ計画を作成できる仕組みの構築が望まれている。