凸版印刷と3digは12月21日、高解像実測データを活用したバーチャルヒューマン領域で協業を開始すると発表した。AI(人工知能)が生成した実在しない人物を活用して、企業広告や動画コンテンツなどで肖像権フリーのコンテンツ制作の実現を目指す。

  • 高精細なバーチャルヒューマンのイメージ図

バーチャルヒューマンは、表情や動きの不自然さや、印刷物や高解像度ディスプレイでは粗さが目立つなどの課題が存在する。よりリアルなものにすると制作費用が高くなるだけでなく、表情やしぐさが繊細になるにつれて薄気味悪さを見る人に与えてしまういわゆる「不気味の谷現象」といった課題もあったという。

一方で、実在する人物を起用すると、肖像権などの権利処理やそれに基づくコンテンツの管理で費用を要するだけでなく、起用した人物に問題が発生した場合、そのコンテンツが使用できなくなるというリスクがある。

そこで両社は、安価に作成できるフォトリアルなバーチャルヒューマンの実現に向け協業を開始する。凸版印刷の持つ「トッパンバーチャルヒューマンラボ」内の「ライトステージ」を用いて計測した高精度な人体に関する実測データと、3digの持つAIによるバーチャルヒューマンの自動生成システム「anma」を活用する。

収集した実測データを「人体情報プラットフォーム」上で管理・運用する。また蓄積したデータを教師データとして活用するために、データの分類や適切な形式への加工など、実測データのデータセット化を行う。

また、自動生成システム「anma」に、実測データからなる教師データを用いることで、「不気味の谷現象」を起こさず、ヒトの自然な表情やしぐさを再現したフォトリアルなバーチャルヒューマンを作成することが可能になるとしている。

両社は今後、教師データを構築し、「人体情報プラットフォーム」上でのデータセット運用を2022年に開始。2022年4月までに肖像権フリーでフォトリアルなバーチャルヒューマンを自動作成するプラットフォームを構築し、広告業界や地方自治体に向けに提供することにより、2025年度までに10億円の売上を目指す。