クボタは10月10日、日本電信電話(NTT)と共同でICT/AI技術を利用する新たなサービスと実証実験を開始すると発表した。農業および水環境の2分野で新たな取り組みを進め、このうち水田センサーについては、2018年をめどに販売を開始する予定だ。

水田センサーの様子

今回、新たに農業分野において「my天気予報」機能追加と、水田センサーの実証実験開始の2点に取り組む。my天気予報は、クボタの営農支援システム「KSAS:クボタスマートアグリシステム」に、農業に必要不可欠な気象予報を提供する機能であり、2017年6月から新たなサービスを開始している。

同サービスでは、NTTグループの気象会社であるハレックスから提供を受けている1km単位・1日48回更新の詳細な気象情報を基に、降雨量や風向・風量などを加えた緻密な作業指示により、作業の効率化を目指す。

また、水田センサーの実証実験は稲作に必要な水位管理において2017年8月から開始している。NTTグループが持つLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークを利用し、スマートフォンなどで遠隔から水位・水温のデータを把握することにより、稲作地帯という広範囲エリアにおける水田見回り作業の削減や省力化の可能性を確認するという。

クボタは実証実験の結果に基づき、水田センサーで収集した情報をKSASに取り込み、圃場の可視化を進める。NTTグループが提供する水田センサーは、クボタの農業機械販売網において2018年をめどに販売開始を予定している。

水田センサーから収集したデータの連係イメージ

今後、遠隔監視下における無人状態での農業機械の自動走行や各種データ解析による営農支援サービスについて両社が連携して取り組みを進め、超省力・軽労化による農家の人手不足の解消や高収量・高品質の実現を目指すとしている。

一方、水環境分野では民間の排水処理施設に設置してある液中膜の監視について、監視の効率化と精度向上に向けて2017年8月から共同研究を開始している。研究内容は、NTT研究所が持つAI技術「corevo」の異常検知技術とオープンソース機械学習処理基盤である「Jubatus」を使用し、従来は人手をかけて監視していた液中膜にかかる圧力や運転稼動情報などのデータを解析するものとなる。

Jubatusによる液中膜監視の省力化イメージ

今回、このデータ解析技術の早期商用化を目指し、実稼働データによる実証試験を開始する。液中膜に加え、多様な設備のAIによる監視技術を確立し、さらなる効率化と安心・安全なインフラの提供を目指す考えだ。両社は、今後も社会が抱える課題解決に向けて連携し、新たなイノベーション創出につながるサービスや技術開発を進めていく。