米アナログ・デバイセズは8月23日(現地時間)、The Cornucopia Project(コルヌーコピア・プロジェクト)およびripe.ioと協力して、地域の食品サプライチェーンを検証し、米ニューハンプシャー州の高校や地元農家に21世紀型農業技術の教育を行っていくことを発表した。この活動では、農業技術を学ぶ学生にIoTやブロックチェーン技術を活用して作物の生育状況や「Farm to Fork(農場から食卓まで)」の生産活動を追跡して、品質や収穫量、収益性の向上につなげ、ADIとripe.ioは資金ならびに技術トレーニングを提供するという。

ADIは、農家が散水量や施肥の量とタイミング、害虫対策、収穫時期などを適切に見極めるための環境要因を計測できる農作物監視ソリューションの試作版を提供する。センサからクラウドまでカバーするADIのIoTソリューションは、ほぼリアルタイムでモニタリングした情報を蓄積することで、農家は適切な判断を下すことができるという。24時間行われる測定と近赤外(NIR)小型分光器を組み合わせることで、これまでの農場環境では実現できなかった食品の非破壊品質分析を行う。

Cornucopia Projectは、米ニューハンプシャー州ピーターボロにある非営利団体で、小学生から高校生を対象にガーデニングや農業を学ぶプログラムを提供している。Farm to Forkプログラムに参加する生徒たちは、温室内に設置された高度なセンサ機器類の使い方を学び、これらの機器から得られる貴重なデータを利用したトマトの品質の見極め方や、環境データと作物の味・品質との連関を学ぶ。プログラムでは農作物のサプライチェーン全体を通じて作物を追跡することで、食物の品質や環境維持、トレーサビリティ、栄養にどのように役立てられるのかも学ぶという。

ripe.ioは、ブロックチェーン技術を活用して農作物の栽培、流通、保存状況に至るまでのデータをまとめ、生鮮食品のサプライチェーン全体をモデル化を試みている。ブロックチェーンは分散型台帳技術とも呼ばれ、連続的に増加するリストの履歴を維持するために用いられるコンセンサスデータ技術で、種から消費者の食卓に届くまでの農作物のライフサイクル全体を追跡し、農業サプライチェーンに透明性とアカウンタビリティをもたらすという。