「The State of Cybersecurity in Asia-Pacific」(PDF/英文)

セキュリティベンダーのPalo Alto Networksがアジア太平洋地域の企業のセキュリティ対策の現状について報告書「The State of Cybersecurity in Asia-Pacific」(PDF/英文)を公開。同社APAC担当CSO(最高セキュリティ責任者)、Sean Duca氏が報告書のポイントを公式ブログで紹介している。

報告書は同社が行ったオーストラリア、中国、香港、インド、シンガポールの5つの地域、約500名の業界専門家への調査からのレポートだが、世界全体が前例の無いデジタル化へと進みつつあるなか、世界の人口の約6割が集まるこの地域のサイバーセキュリティにおける傾向を抽出している。

コストを投じればよいソリューションが得られる、ということはない

APACの企業は全体として前年比でセキュリティへの投資を増やしているが、最大74%がサイバーセキュリティ向けにかなりの予算(IT支出の5~15%)を割いている。市場で提供されているサイバーセキュリティ製品のうち、アジア太平洋地区(APAC)の企業がよく利用している製品分野は、アンチウイルス(69%)とファイアウォール(67%)が最も多い一方で、2要素認証(27%)、アンチランサムウェア(25%)、バイオメトリクス認証(22%)といった高度なソリューションの導入は低い。

サイバーセキュリティに対するマインドセットに変化が必要

2016-2017年にかけて、52%の企業がサイバーセキュリティ攻撃を受けたと回答している。それだけでなく、攻撃による財務的損失が10万ドルを上回ったと報告した企業は30%にも及んでいる。多くの企業(58%)が、検出して対応するアプローチが予防よりも重要と信じている。しかし、データへの不正アクセスは継続的に増えており、サイバーセキュリティへの考え方を再度進化させる必要がある。

市場が違えば課題も異なる

組織におけるサイバーセキュリティを確実にするための課題として、APAC市場全体として従業員のサイバーセキュリティへの関心が低いことが最も大きな課題、次に多かったのはサードパーティベンダーがもたらすリスクで、36%。デジタル技術の急速な受け入れにより、クラウドへのマイグレーションが3番目に挙がっている。政府はレガシーのITシステムのアップデートが最大のハードルとして重くのしかかっており、技術トレンドの受け入れをより迅速に進める必要がある。