ティントリジャパン SEマネージャーの東 一欣氏

ティントリジャパンは10月24日、ネットワールドが東京・品川で開催したイベント「Networld .next 2016」に出展。SEマネージャーの東 一欣氏が「ストレージの初期設定からVDI環境構築までセッション時間60分以内でやってしまうという無謀とも思える企画」と題するセッションを行った。

ティントリが提供する仮想化専用フラッシュストレージは、アプライアンス型で提供され、アプリケーションのワークロードを見て自動的に性能が最適化されるなど、管理の手間がほとんどかからないことが特徴だ。セットアップも30分もかからずにVDI(仮想デスクトップ)環境を構築することができるという。

米Tintriではこうした環境構築の簡単さをアピールするために、宅配ピザとタイムトライアルを行う動画 を公開している。宅配ピザへ電話をしてからセットアップ作業を開始すると、ピザが届くころには初期導入がすべて終了するという趣向だ。


登壇した東氏は「本当に宅配ピザよりも早いのか、チャレンジしたいと思います」と切り出し、実際にピザを電話注文。講演会場にピザが届くまでに、実機を使ってリアルタイムでVDI環境を構築してみせると宣言した。

講演会場で、アシスタントの女性が実際にピザを注文し、チャレンジは開始された

VDI環境を構築する実機は、ティントリジャパンの東京ラボに設置した「Tintri VMstore T820」だ。T820は、SSDとHDDで構築したハイブリッドシリーズのエントリーモデルで、論理実効容量23TB、750VMまでの仮想マシンをサポートする。

また、VDI構築ソフトにはVMware Horizon Viewを利用。View Connection ServerやActive Directoryといったサーバ側の設定、およびデプロイするリンククローンの元イメージの作成はすでに済ませている。デモはWeb会議でラボとを結び、電源入後のセットアップ作業をリモートデスクトップ接続で行ういう条件下だ。

デモ環境

VDI構築環境の構成

目標は、以下の3ステップの作業をピザ到着よりも早く行うことだ。

1. VMstoreの初期設定
2. VMstoreをESXiのデータストアとして登録
3. Viewのリンククローンで100台の仮想マシンをVDIに展開

「Tintri1筐体がVMwareの1データストアとして登録されます。データストアとして登録したあとは、とにかくそこにデータをボンボン放り込めば、あとはTintriがうまく管理してくれます。VDI環境も同様です。仮想デスクトップのイメージを作成しTintriにデプロイすれば、それぞれの仮想マシンのワークロードを見ながら、パフォーマンスを最適化します」と、東氏は手順を説明。

つまり、ステップ3の「ViewのリンククローンをVDIに展開」までできてしまえば、あとは、ほぼ管理することなくVDI環境の運用が可能になるということだ。実際、どうなったか。順を追って見ていこう。

「1. VMstoreの初期設定」では、まず、電源を投入後のネットワーク設定(VMstoreの管理用IPアドレス、ホスト名設定)を行う(写真1)。

写真1:ネットワーク設定

その後、設定したIPアドレスにブラウザからアクセスして、amdin/初期設定パスワードでログイン(写真2)すると、ブラウザ上で「Initial Setup」画面が表示されるので、必要な項目を入力していく。

写真2:amdin/初期設定パスワードでログイン

設定する項目は、VMstoreのIPアドレス(データストアとしてマウントするためのIP)、管理ソフトのIPアドレス(ここではvCenterのIPアドレス)、アラートの転送先(管理者のメールアドレス)、NTPサーバ、DNSサーバだけだ(写真3)。

写真3:「Initial Setup」画面

必要な項目を設定し終わったら、VMstoreのIPアドレスにブラウザでアクセスする。すると、以下のような画面が表示される(写真4)。

写真4:Tintriのダッシュボード画面

基本的には、初期設定はこれだけだ。途中、設定項目がうまく反映されずやり直すシーンもあったが、手続き上、難解な点はない。電源投入から実質的にかかった時間は約10分だ。宅配ピザに注文してから背景の解説などを行っていた時間も含めても20分かかっていない。

続いて、「2. VMstoreをESXiのデータストアとして登録」する。これは、通常のデータストア登録と同じだ。vShpere Web ClientかvSpehre Clientから、VMstoreのIPアドレスにアクセスし、名前、タイプ(NFS)、IPアドレス、フォルダ名(/tintri)などを入力する(写真5)。最初、Web Clientからの設定が反映されず、vSpehre Clientからやり直したが、あわせても3分程度しかかからなかった。

写真5:データストアの登録画面

最後に、「3. Viewのリンククローンを使って100台の仮想マシンを展開」した。Horizon 7 Administratorから、「自動化されたデスクトップツール」「View Composerのリンククローン」を選択し、必要な項目を入力していく。ここではIDを「zNEXT2016」とし、作成済みのイメージをもとに、zNEXT2016-1からzNEXT2016-100までの名前がついた仮想マシン100台を作成した(写真6)。実際にプロビジョニングを実行すると、イメージをもとに自動で次々とマシンが作成され、順に起動していった。100台で展開し終わるまでには、10分程度しかかからかった。

写真6:仮想マシン100台を作成中

展開した100台のうち、残り数台が起動し終わるかどうか、というところで、ピザが会場に到着。「100台の展開までということで、チャレンジは成功です」(東氏)とあいなった。

その後東氏は、展開した100台の仮想マシンの構成を変更するデモも披露した。事前に作成されたイメージは1vCPUだったが、これを2vCPUで脆弱性の修正プログラムを適用したイメージに100台まとめてアップデートするというものだ。このデモでも、すべてのマシンがアップデートされるまで10分程度しかかからなかった。

そのうえで東氏は、Tintri VMstoreは「FlashFirst」と呼ばれるフラッシュやSSDの長所を引き出すテクノロジーを備えており、VDIで課題になりがちなストームやノイジーネイバーを解消していると説明。また、VMwareのVCAI(View Composer Array Integration)に対応し、ストレージ側でネイティブにクローニングなどを行うので、展開や再構築が高速だと秘密を明かした。

「FlashFirst」

製品の特徴としては、仮想マシンごとの稼働状況を分析して最適な性能を動的に割り当てる「仮想マシンの自動QoS」、仮想マシン単位で上限IOPSと下限IOPSを設定する「QoSパフォーマンス保証」、仮想マシンごとにネットワークやストレージでどのくらいレイテンシーが発生しているかまで把握できる「エンドツーエンドの可視化」、仮想マシンを最適な筐体にロードバランスする「VMスケールアウト」などを挙げた。

「仮想マシンの自動QoS」

このうち、展開した100台の仮想マシンの環境について、実行容量がどのくらいあるか、レイテンシーが仮想マシンごとにどのくらい発生しているかを管理画面上で可視化できることも示した(写真7)。

写真7:仮想マシンごとのレイテンシーの確認

最後に東氏は「管理画面でパフォーマンスを多面的に分析して、運用に生かすことできます。仮想マシンの展開や、パッチ適用の際の仮想マシン再構築も高速です。TIntriは、日々の運用管理の負担を大幅に下げることができます」とアピールした。