NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は4月13日、事業戦略説明会を開催した。説明会には代表取締役社長の庄司哲也氏が登壇し、コーポレートビジョン、サービスビジョン、今後の事業展開について説明した。

NTTコミュニケーションズ 代表取締役社長 庄司哲也氏

同社は2016年度から2020年度にかけて、コーポレートビジョンとして「ビジョン2020」を、ビジョン2020の達成に向け、毎年サービスビジョンを掲げる。2016年度はサービスビジョンとして「グローバルクラウドビジョン2016」を設ける。

ビジョン2020では、2020年度の収益目標を1.5兆円、グローバル事業収益は40%の6000億円2015年度の計画では、グローバル事業の収益は27%としており、グローバル事業の比率を押し上げる計画だ。

庄治氏は、グローバル事業の拡大について「われわれはグローバル市場ではチャレンジャー。現在は、日系企業の海外進出のサポートがメインとなっているが、今後はローカル企業のサポートや海外企業の日本進出などを手がけていきたい」と述べた。

ビジョン2020

グローバルクラウドビジョン

2016年においては、Software Defined(SD)技術の活用やマネージドサービスの強化により、グローバルシームレスをサービスを拡充する構えだ。庄司氏は、こうした強化策に取り組んでいくにあたり、クラウド、コロケーション、ネットワークをグロバールレベルで保有しており、フルスタックで提供できるという同社の強みを生かせるとした。

グローバルクラウドビジョン2016

SD関連のソリューションとしては、新たに「SD-WAN」「SD-LAN」「SD-Exchange」を開発・提供していく。

SD関連の3つのサービスの概要

SD-WANのソリューションは2種類の提供が予定されている。1つは、SDNにより、Arcstar Universal Oneとインターネットへ通信を振り分けるサービスで、業務繁忙時の通信料増加によるネットワークの混雑解消を目的としている。もう1つは、カスタマーポータルから複数拠点のネットワーク機器に対する一元的な設定を可能にするサービスで、各拠点におけるネットワーク機器の設定変更に要する手間と時間を削減する。

SD-LANのソリューションは、SD-WANソリューションと同様に、カスタマーポータルからネットワークセグメント構成や通信経路の設定を一元的に変更できるもの、カスタマーポータルからネットワークセグメント構成や運用状況を可視化できるものの提供が予定されている。

SD-Exchangeはシステム間通信において、各システムが必要とする帯域や品質に応じ、SDNと既存ネットワークを組み合わせた最適なプランをオンデマンドで選択可能にするもの。サービス開発中ということで、コンセプトのみが示された。

SD-Exchangeの概要

一方、マネージドサービスの強化としては、「Global Management One」において、Atlasを直接子会社として(今年4月にNTT Com Managed Servicesに改称)、設計・設定メニューをグローバルで強化・拡充していく。

さらに、今年のITトレンドの1つであるIoTについても取り組みを推進する。具体的には、デバイスからデータを収集して分析するプラットフォームまでをグローバルでワンストップで提供する。現在、3つのサービスが開発中だという。

IoTプラットフォーム

IoTプラットフォームのサービスのラインアップ

1つは製造業向けのサービスで、工場内の各種センターデータの収集・可視化・分析するもの。国内の提供は5月に予定されている。2つ目のサービスは自動車を対象としたもので、車両稼働状況などの分析を行う。国内の提供は7月に予定されている。3つ目のサービスは各種機器・製品を対象としたもので、機器・製品のデータ収集・可視化・分析を行う。提供は今年9月に予定されている。

庄司氏は、IoT関連のサービスについて、「われわれはIoTプラットフォームとして使いやすい形で提供する。強みは、グローバルでカバーできるとともに、セキュアな形でサービスを乗せられること。また、IoT関連のサービスを提供するにあたっては、パートナーが重要」と説明した。