NECは3月7日、長岡技術科学大学の協力により、人間の耳穴の形状によって決まる音の反響を用いたバイオメトリクス(生体)個人認証技術を開発したと発表した。

同技術は、マイクロホン一体型イヤホンを耳に装着し、耳の穴で反響したイヤホンの音をマイクから収集することで、個人特有の耳の形状によって決まる音響特性を1秒程度で瞬時に測定する。

音響特性の測定イメージ

耳の各部のサイズや形状は人によって異なるため、個人の判別に有効だという。実験の結果、一般に音響信号は外耳道から鼓膜に達し、さらに中耳、内耳へと進むが、特に外耳道を通って鼓膜で反射して返ってくる信号成分、鼓膜を通過してさらに奥で反射して返ってくる信号成分が重要であることがわかったとしている。

同技術は、これら2種類の信号成分に対応する周波数帯を含む少数の特徴量を抽出。その特徴量により、少ない計算量での動作が可能になるとともに、外的環境の影響を排除することで、安定して高精度な認証(99%以上)を実現するという。

個人によって異なる耳穴の音響特性

同社は、同技術について、高い認証精度に加え、耳の音響特性を用いて、利用者に負担をかけずに音を聞くような自然な動作で常時認証を実現するうえ、移動や作業をしながらでも個人認証が可能で、秘匿性を守ることができるなど、生体認証の活用の幅を広げる技術としている。