電通が1月22日に発表した「エネルギー自由化に関する生活者意識調査」の結果によると、電力の小売自由化が4月1日から実施予定だが、一般利用者の認知度は6割強にとどまり、内容の理解度もあまり進んでいない。

同調査は同社が、2015年11月6日~13日にかけて沖縄電力を除く9電力会社の管内において、世帯主または世帯主の配偶者であり自分または配偶者が電気料金を支払っている20~69歳の男女5,000人を対象に、インターネットを通じて実施したもの。

電力小売自由化の認知度を見ると、「内容まで知っている」が8.9%、「内容は分からないが、自由化されることは確かに知っている」が53.3%であり、認知度は計62.2%となった。2014年12月に実施した第1回調査と比べて15.3ポイント増加しており、電力の購入先が選べるようになることが広く浸透してきていることが伺えるという。

一方、内容の認知度は第1回調査から2.4ポイント増にとどまり、参入企業や自由化のメリットなどの内容についての理解はあまり進んでいないと同社は見る。

電力小売自由化の認知度

電力の購入先を変更したいかどうか尋ねたところ、「すぐにでも変更したい」が3.9%、「変更する方向で検討したい」が17.1%であり、これに「検討するが、変更するかどうかはわからない」(59.0%)という検討意向までを含めると、変更を考えている回答者は80.0%に上る。電力自由化への関心は着実に高まってきているものの、具体的な検討については購入先や商品内容などが明らかになってからと考える人が多い。

事前申込をするかどうか尋ねると、「必ず事前申込」が2%、「事前申込する方向で検討」が9%で計11%となり、変更意向全体(21%)の約半数に上る。

電力購入先の変更意向

また、現在の電気料金から月額500円の値下げで変更を検討する人は変更意向全体の29%であり、月額1,000円の値下げになる場合は56%となった。なお、事前申込で変更したいという回答者(全体の11%)には、未就学児や小学生の子どもがいる4人家族が多い。

事前申込で購入先企業に求めるイメージでは「安心できる」「チャレンジ精神」「個性的・ユニーク」が、電力購入先企業に対して重視することでは「電力供給が安定している」「再生可能エネルギー」などを挙げる回答者が多かった。

既存電力会社と新規電力会社のイメージ比較

既存の電力会社と新規の電力会社とでイメージを比較すると、既存電力会社は「信頼できる」(37%)、「安心できる」(29%)、「技術力がある」(28%)、「誠実・まじめな」(14%)、「品質の良い」(9%)、「規模が大きい」(22%)といった要素で新電力会社を上回る。

新規電力会社は「将来性がある」(15%)、「成長力がある」(13%)、「好感が持てる」(10%)の各点で電力会社を上回った。

同じく、それぞれの長所を尋ねたところ、既存電力会社は「安定供給」(35%)、「日常の点検やメンテナンス」(23%)、「災害時の迅速な対応」(18%)といった点で新電力会社を大きく上回っている。新電力会社は「月々の電気料金が安い」(15%)が既存電力会社を大きく上回った。

エネルギーに関して今後起こってほしいことを尋ねると、「各家庭の電気料金が下がる」(88%)、「長期契約によって割引となる料金メニューが普及する」(45%)、「各家庭の省エネ化が進む」(45%)が多い。今後起こると思うことでは、「各家庭の電気料金が下がる」(55%)、「長期契約によって割引となる料金メニューが普及する」(27%)、「価格比較サイトでの電力比較が普及する」(25%)という回答が多い。

「各家庭の電気料金が下がる」と「長期契約によって割引となる料金メニューが普及する」の2つは、「今後起こってほしいこと」と「今後起こると思うこと」の両方で上位にあり、生活者の電気料金に対する関心の高さが伺えると同社は見る。

ガスの小売自由化について「内容まで知っている」「内容は分からないが、自由化されることは確かに知っている」と答えた人は合わせて28.7%、「内容まで知っている」人は3.6%に過ぎない。電力小売自由化の現在の認知度(62.2%)や、2014年12月時点での認知度(46.9%)に比べても低く、電力と比べて認知はまだ進んでいない状況だ。

ガスと電力の小売自由化の認知度比較

ガスの変更意向は「すぐにでも変更したい」「変更する方向で検討したい」を合わせて15.0%であり、自由化1年前である2014年12月における電力変更意向(16.9%)と比べてやや低いという結果になった。