東京商工リサーチは4月24日、2014年の「全国女性社長」調査結果を発表した。それによると、全国267万社のうち女性社長は2010年の調査開始以来で最多の31万55人となり、全国平均が11.5%になったという。

女性社長数と女性社長率の推移

同調査は、同社が持つ2014年12月時点で267万社の個人企業を含む経営者情報から、病院や生協などの理事長を含む女性社長データ31万55人を抽出したもので、調査は2010年から数えて5回目。

社長が多い都道府県は?

都道府県別の女性社長率では西日本が東日本より比率が高い「西高東低」の傾向が見られ、産業別では飲食業や介護事業などのサービス業他が全体の4割を占めた。

都道府県別で女性社長数が最も多かったのは、東京都の7万9,880人(前年7万2,109人)で5年連続の1位。以下、大阪府2万7,678人(同2万5,315人)、神奈川県2万598人(同1万9,283人)、愛知県1万4,898人(同1万4,013人)、埼玉県1万2,891人(同1万1,490人)の順だった。

逆に、女性社長数が少ないのは、鳥取県1,218人、島根県1,289人、福井県1,513人の順だった。

女性社長数と企業数を対比した女性社長率を見ると、全国平均が11.5%で前年(11.1%)と比べて0.4ポイント上昇し、都道府県別で全国平均を上回ったのは12都府県だった。

女性社長率が最も高かったのは東京都の14.0%(前年13.5%)であり、以下、神奈川県12.86%、福岡県12.80%、兵庫県12.6%、大阪府12.5%と大都市圏が続く。

女性社長比率が高い上位20位には西日本の15府県(九州・沖縄6県、近畿4府県、四国3県、中国2県)がランク入りし、西高東低の傾向が見られた。これに対して比率が低かったのは、岐阜県7.6%、新潟県7.7%、山形県8.003%、石川県8.007%、福井県8.05%の順だった。

総じて1世帯当たりの構成人員が多いところが目立ち、同居家族の多い地域ほど家事・育児・介護などとの両立が女性の起業や就業の課題になっていることがうかがえると、同社は分析する。

産業別、出身大学別では?

産業別では、宿泊業、飲食業、介護事業、教育関連などを含むサービス業他の12万5,388社(構成比40.4%)が最も多かった。また、産業別の女性社長率で最も高かったのは不動産業の21.0%で、5人に1人の割合を占めた。

出身大学別では日本大学の272人(前年265人)が最多で、5年連続の1位となった。2位は東京女子医科大学232人(同209人)で前年3位から上昇、3位は慶応義塾大学の228人(同216人)だった。以下、早稲田大学200人、青山学院大学187人、日本女子大学162人、同志社大学136人、共立女子大学110人と続く。

国公立大学は、13位に東京大学が93人(前年84人)、26位に広島大学62人(同60人)、28位に北海道大学が60人(同59人)、37位に京都大学50人(同49人)だった。上位30位では女子大学が9校(前年10校)ランク入りした。

社長に多い名前は?

女性社長の名前では、1位が「和子」の4,080人で5年連続トップ。2位が「洋子」3,380人、3位は「幸子」3,366人でトップ3は前年と変わらず。以下、「裕子」2,601人、「京子」2,318人、「恵子」2,251人、「久美子」2,210人の順。

トップの「和子」は、昭和の始まりから昭和27年(1952年)頃まで、女性の生まれ年別の名前ランキングで常にトップを占めたことも影響したと、同社は見ている。

上位20位では「子」がつく名前が大半の中で、唯一19位に「明美」(1,372人)がランク入りし、世代交代の兆しもうかがえるという。

売上高別の上位5社では、1位がインテル(東京都、江田麻季子社長)、2位が日本マクドナルド(東京都、サラ・エル・カサノバ社長)、3位がイオングループの食品メーカーであるイオンフードサプライ(千葉県・間處博子社長)、4位がリクルートスタッフィング(東京都、渡邊由紀子社長)、5位が日本トイザらス(神奈川県、モニカ・メルツ社長)だった。

代表執行役を含む女性社長の上場企業は29社(判明分、2014年12月現在)だった。産業別では、最多がトレンドマイクロやネットイヤーグループなど情報・通信業の5社、日本マクドナルドホールディングスなど小売業の5社、化粧品メーカーなどを含む化学の5社だった。

全国の女性社長数は、2010年の21万人から2014年には31万人に増加した。政府の成長戦略の柱の一つに「女性の活躍推進」が位置付けられるなど追い風が吹いていることから、今後も増えていく見込みという。また、これまで女性社長は親や配偶者などから事業を引き継ぐ同族継承パターンが多かったが、最近は高い専門性を持った意欲ある女性の起業が目立つとのこと。

同社は、女性の起業増加は経済活性化につながるため、起業支援だけでなく起業後も国の実効あるサポートが求められると指摘している。