2012年にヤフー社との提携を皮切りに第三者配信システムベンダーとしてさらに業績を伸ばし続けているサイズミック・テクノロジーズ株式会社。この急速に伸びているアドテク市場の中でも、古くからデータと向き合い広告主の戦力となってきたサイズミック社が、現在どんなソリューションを提供しているのか、そしてどんなことを考えているのかを、日本法人代表の布施さんとシニアセールスマネージャーの渡邉さんに伺いました!

サイズミック・テクノロジーズ株式会社はどんな会社ですか?

サイズミックは、現在71か国でサービスを提供する独立系の第三者配信ベンダーです。独立系の中立的な第三者配信ベンダーとしてグローバルで事業を展開しています。サイズミックのように、グローバルの独立系として第三者配信を提供しているベンダーはサイズミック以外にないと思っています。例えばDouble Click社はGoogle社に買収され、Atlas社はMicrosoft社に買収された後にFacebook社に買収されました。我々はこの2社と常に比較されながら各マーケットに根ざし、日本においては10年以上もの歴史の中で事業成長を進めてまいりました。

私たちは、世間では”世界中に拠点を置く技術力のあるテクノロジーベンダー”と認知されているようです。企業として大切にしていることは、テクノロジーベンダーでありながらも顧客志向であることです。どんなに優れた技術を持っていても活用頂けなければそれはゴミ同然なので、お客様が今必要なもの、半年後に必要になりそうなものというのを意識しながらサービスを提供しています。

「Sizmek MDX」は広告主の武器となるツール

第三者配信システム「Sizmek MDX」とはどんなツールですか?

まずは上図をご覧ください。まずはじめに広告主はSizmek MDXを利用することで、純広告、ノンプレミアムなリターゲティング広告、アドネットワーク広告、等の様々な広告メニューを1つの管理画面から配信することが可能となります。また昨今利用が増えているソーシャルメディアへの広告配信もすでにサポートしています。

そして広告主は、Sizmek MDXを利用することで、広告配信を行った結果得られる様々なパフォーマンスデータを自社のマーケティングに利用することが可能となります。Sizmek MDXが提供する広告配信のパフォーマンスデータと、すでにお使いのアクセス解析のデータを連結させることで、例えば「動画広告の視聴を完了した人がサイトでの直帰率が低い」など、様々な分析を行い、次のアクションにつなげることができるわけです。たとえば、お客様がすでに使っているプライベートDMPでのセグメンテーションに利用いただき、そのセグメントに対し広告クリエイティブの出し分けを行うなどが一般的な利用方法です。

Sizmek MDXを利用することで、広告主は様々な広告の配信を1つの管理画面で行い、配信で得られたパフォーマンスデータをDMP内に入れてセグメントを作成し、そのセグメントに対し、最適なクリエイティブを配信する、この一連のPDCAサイクルをしっかりと回すことが可能になります。

これまでデータを使ったこれらのデータドリブンマーケティングは代理店さんが行うことが一般的でしたが、最近では、自社でナレッジを貯めたいという広告主さまも多く、社内で運用体制を整える企業様も増えてきています。一方で、データを集めても活用出来ていない企業さまがとても多いのが現状です。弊社の第三者配信のプラットフォームを活用して、配信に役立つデータを使って高速にPDCAを回すというところに注力して頂きたいと思っています。

大切なのはデータドリブンマーケティングに真剣に向き合えるかどうか

「Sizmek MDX」はどんなクライアントにマッチするツールなのでしょうか?

まず弊社のクライアントの特徴は、データドリブンマーケティングに対し、真剣に向き合っている企業様が多いということです。その”真剣に”の意味合いは2つあり、1つはデータを活用するための社内リソース確保やチーム編成を行うことが出来ること、2つ目が広告配信の予算確保が出来ることです。この2つが出来ないと、様々なデータを繋げ、仮説を立てたとしても、目標に向かって進めることが出来ません。

具体的に多くご利用いただいているクライアントさま業種は、グローバルではLTVを重視するような自動車系、旅行系、不動産系、金融系のお客様がとても多いです。日本というローカルで見るとそれほど業種に偏りはありませんが、データをマーケティングに活用することが競争力の源泉となるという危機感をいだかれている点が共通項となります。また、新しい事例を作っていく、他社がやっていることと同じことをやっても意味がない、という気概に富んだお客様であることも共通している部分になります。

お客様がMDX導入に至るのにはどういった経緯が多いのですか?

最近は、「DMPを導入したんだけど、配信先のプラットフォームに制限がある」、「DSPをたくさん使っていて絞り込みたいがそれを判定する手段がない」といった課題が弊社にお問い合わせをいただくモチベーションとなっていることが多いです。本来の使い方ではないですが、「Sizmek MDX」を使って、AというDSPで配信をした人には、B、C、DのDSPでは配信しないといった広告の出し分けが可能なので、同一ユーザーへの複数DSPからの重複入札を回避したいといったご要望にもお応えできます

やはりそういったことができる弊社のようなプラットフォーマーが間にいないと、DMPのデータをDSPで配信する際に、配信先の重複や、データの取得方法の差異が生まれ、きちんとした分析ができず、結局マーケティングに生かすことができません。つまり、弊社のようなプラットフォームが間に必ず必要になってくると思います。

現在はDSPをデバイスごと使い分けているケースも多く、動画配信のDSP、一般的なディスプレイ配信DSP、アプリ専用のDSPなど目的別に使い分けていたり、ディスプレイ広告を配信するDSPだけでも2-3社を使い分けていたりと、どうしても複数のDSPの運用をしなければいけない状態です。そうすると入札の重複や、いちDSPから得られるデータが本当に正しいのかが分からなくなります。そこを弊社が中立的な立場で分析していく必要があります。

Yahoo!のリッチメディア開発の知見をモバイルにも生かす

2012年にYahoo社と提携されたと思いますが、具体的にどんなことをしているのですか?

まず今回のヤフーさんとの提携は、ヤフーさんの第三者配信のデータの受け入れ先として弊社が選ばれ、Yahoo!トップページのリッチメディアの開発を弊社が行っていくという内容です。私たちのミッションは1インプレッションの価値をどれだけ高められるかという部分なので、1インプレッションのエンゲージメントを高められるような広告フォーマットを日々苦心しながら開発しています。

ヤフー社との提携以前は、プレミアムな広告メニューの開発や、代理店様から依頼されるアトリビューション分析などの業務を媒体社様や代理店の黒子として行っていました。しかしその後のヤフー社との提携をきっかけに、現在では直接お問い合わせを頂く機会が急激に増えました。また、現在ではデータ活用に関しても注目度が高いので、弊社のようなデータを扱うベンダーへの期待値も上がってきているように感じます。

モバイルのマネタイズで注力していることはありますか?

10年にわたって培ったリッチメディアの知見を、今度はスマートフォンでのリッチメディアで生かし、テンプレート開発のお手伝いをしています。

それと合わせ、スマートフォンにはCookieの問題がはらんでいるため、デバイス推定技術の「AdTruth」とパートナーシップを組んだり、昨年は、ECサイト向けにモバイルトラッキングのソリューションを提供していた「Aerify Media」という「AdTruth」とは別のモバイルトラッキングベンダーを買収しました。この「AdTruth」、「Aerify Media」の独自技術を用いることで、よりユニークにAndroid、iOSのユーザーを見分け、配信の重複を防いだり、配信の制御が出来るようにしていきます。「Aerify Media」に関しては昨年8月に買収しインテグレーション中ですので、いつ本格的にサービス提供が可能か公表していませんが、技術的な土壌を整えている最中です。

ポイントソリューションではなく、本当の成功ソリューションを提供したい

導入を検討されている方に何かメッセージはありますか?

ここ3、4年でやっとアドテクが注目されてきて、弊社のソリューションも認知されるようになってきました。ただ、アドテクが注目されている分、ポイントソリューション的な事業社が増えては統廃合を繰り返すので、それに混乱するクライアントさまも多いと思います。そんな不信感を我々は払しょくしたいと思っています。我々はテクノロジーとサービスの両面からクライアントの成功を最大限サポートします。クライアントさまからは様々なご要望を頂きますが、それを局所的に解決するのではなく、実際に成功するためにはAとBとCすべてを解決していく必要があります、なのでこうしましょう、と提案します。成功に必要であれば、社内体制にも口を出します。テクノロジーが進化段階であるアドテクなので、一緒にトライ&エラーをしながら、成功を目指していきましょう。

今後に、サイズミック社の今後の展望を教えてください。

まだまだ私たちのようなサービスを使ってデータドリブンマーケティングを戦略的に行うお客様は限られています。先進的な企業さまの導入が大半です。しかし最近では、先進的な企業様がリードしつつ、その後ろのフォロワーとなるアーリーアダプター層を増やしていくことが今の事業ステージには求められているのかなと思います。目標としては、弊社だけでなく第三者配信の浸透率が欧米のように90%以上に引き上がることです

弊社はグローバル企業だということを強みに、今後の日本企業のグローバル進出のサポートを積極的に行いたいと思っています。さらにそれを日本の市場に根づいた形で、マーケティング支援が出来るようにサービスの提供を行ってまいります。

adingo Marketing Magazineは、SSP・プライベートDMPを提供するadingoが運営するアドテク・マーケティング界の情報マガジンです。
アドテク事業をおこなっているadingoが運営するからこそ可能なコンテンツ作りを目指して、本当に聞きたいこと、知りたいことにずばっと切り込み、インターネット広告事情から、マーケティング業界の最先端を走る担当者のインタビューなど盛り沢山な情報をお届けします。

本稿は、adingo Marketing Magazineに掲載された記事を転載したものです。