「Student Cluster Competition」は、学生たちにクラスタスパコンに関するHands Onの経験をさせようということで始まった競技で、当初はSCだけで行われていたが、現在では6月のISCでも開催されている。

また、中国は熱心で、国内予選やアジア大会などを開催し、そこで勝ち上がったチームがSCに出てくるというシステムになっているようである。

SCでのStudent Cluster Competitionに出場するためには、システムの構成などを記述した提案書を出して応募し、主催者側がそれを審査して出場チームを決める。

競技では、クラスタシステムを構築し、Top500のランキングに使われるHPLで高い性能を実測することと、4つの実アプリケーションを走らせて、その性能を測定する。4つの実アプリの内の3つは、事前に指定されているので、各チームは処理の内容を勉強して理解し、自分たちのクラスタに合わせてコードのチューニングを行ったりという準備を行う。最後の1つはサプライズで、競技の開始時に知らされるので、そこから勉強することになる。また、これらのアプリケーションに入力するデータは、競技の開始時に配布されるので、競技と同じ入力で事前に実行してみることはできない。

チームのメンバーは6人とアドバイザーが1人で、チームメンバーは高校生か学部の大学生で、大学を卒業するとメンバーにはなれない。アドバイザーはそのチームの学校の先生で、事前の準備期間には技術的な教育や指導を行うが、競技が開始されると技術的な助言はしてはならないというルールになっている。

競技に使うクラスタシステムは、使用できる電力は120V 13Aのコンセントが2個という制約の範囲内であれば、機器やOSは何でも良い。なお、コンセントには電力モニタが組み込まれており、1560Wを超えるとアラームが鳴り、減点になる。機器はなんでも良いと言っても、自分たちでスポンサーを見つけて機器を買ったり、貸してもらったりする必要があり、その範囲で調達できる機器でなければならないのは当然である。

このルールの競技はStandard Trackと呼ばれるが、昨年から、Commodity Trackという競技が行われた。こちらは2500ドル以下の機器ということで、より小規模なシステムでの競技となっている。しかし、今年のSC14ではスポンサーが集まらず、資金不足で中止になってしまった。

Student Cluster Competitionに出場するためには、なぜ出場したいかという理由、学校のHPC関係の教育内容、チームの能力などを記述した申込書を出して応募すると、主催者側がそれを審査して出場チームを決める。

SC14でのStandard Trackに参加したのは、次の6カ国12チームである。

  1. The University of Texas - Austin
  2. Illinois Institute of Technology
  3. iVEC - Australia
  4. Friedrich-Alexander-Universitat - Germany
  5. National Tsing Hua University - Taiwan
  6. University of Tennessee - Knoxville
  7. Purdue University/EAFIT - Colombia
  8. The University of Oklahoma
  9. The University of Science and Technology - China
  10. National University of Singapore
  11. Huazhong University of Science and Technology - China
  12. Massachusetts Green Team

開催地のアメリカが最も多く、半分の6チーム、中国が2チームで、オーストラリア、ドイツ、台湾、シンガポールが各1チームという顔ぶれである。

Purdue大のチーム

Texas大Austin校のチーム

Singapore大のチーム

オーストラリアのiVECチーム

Illinois工科大のチーム

中国科学技術大学のチーム

ドイツのFriedrich-Alexander大のチーム

Oklahoma大はGRCの浸漬液冷

大きな槽に5台だけを液浸していた

華中科技大学。メンバーが1人しかブースにいなかった

Tennessee大Knoxville校のチーム

開始直後に撮影したので、多くのメンバーが集まって作戦会議を行っているチームが多かったのであるが、オクラホマ大と華中科技大学のブースには1人しか居なかった。他のメンバーは別のところで作戦会議をしていたのであろうか?

Massachusetts Greenチーム。ボストン大、マサチューセッツ大、MITなどの連合軍

台湾の国立清華大のチーム

競技は48時間ノンストップで行われるが、前半でHPLの結果を出し、その後、4種のアプリの実行に注力する。48時間ノンストップであるから、各チームのメンバーは交代で食事や仮眠をとる。また、アドバイザーは技術的な助言は禁止されているが、飲み物やスナックを買ってきたり、励ましの言葉をかけたりしてチームをサポートする。

今回、HPLでは、台湾の国立清華大が10.07TFlopsをマークして、1位となった。これは6月のISC14でのEdinburgh大が出した10.10TFlopsにはわずかに及ばなかったが、トップクラスのスコアである。

4種のアプリについては、その実行性能だけでなく、審査員がメンバーに質問して、クラスタやアプリに対する理解度を測り、それも得点に換算される。そしてHPLの結果も総合して順位が決められる。

今回のStudent Cluster Competitionの総合1位はTexas大Austin校で、テキサス大はこれで3連覇である。また、今回はGPUなどのアクセラレータを使わないシステムでの勝利であり、注目に値する。

そして、 Tennessee大Knoxville校が2位を獲得した。