富士通と富士通研究所は3月19日、OpenADRアライアンスの最新規格OpenADR2.0bに準拠したDemand Response Automation Server(DRAS)を開発し、経済産業省と早稲田大学が主導する新宿実証プロジェクトにおける相互接続の実証実験に成功したと発表した。

現在、電力不足の課題を解決し、持続可能な社会を実現するために、再生可能エネルギーによるクリーンで経済的なエネルギーを有効活用でき、電力の効率的な流通を実現できる次世代電力システムが求められている。この次世代電力システムにおいては、電力の需給バランスを維持するためのメカニズムとして、電力供給状況に応じて電力消費者の電力利用を調整する自動デマンド・レスポンス(DR)技術が注目されている。

新宿実証プロジェクトは、早稲田大学EMS新宿実証センターに配置され、電気事業者を模擬したデマンド・レスポンス発動サーバと、富士通事業所内に設置したDRAS間の相互接続検証、および、同事業所内での電力の需要調整対応による電力需給逼迫時を想定した負荷抑制シナリオについて実証した。

実証実験の構成

この結果、電力削減量の算出に必要な消費電力推定技術(ベースライン推定技術)とDRイベントに自動応答する空調用冷水器の制御技術を開発。DRイベントに対応して翌日使用する空調用冷水器の水温設定計画を作成し、需要抑制期間に自動調整、要請された電力抑制を実施する。

今後、富士通、および富士通研究所は、電力小売事業者から提供される電力の需要予測や時間別価格の情報をもとに、エネルギーコスト削減や効率的な電力利用計画を策定できる需要家向けソリューションや、電力小売事業者などが電力削減要請に対して需要家との需要を調整するためのソリューションの提供を目指し、次世代電力システムに関する研究開発を加速していく。