野村総合研究所(NRI)は10月17日、国内で5ヵ所目となる東京第一データセンターの建設を完了したことを発表した。同センターはアウトソーシング事業やクラウドサービスなどの中核地点として、11月21日から営業を開始する予定になっている。

東京第一データセンター外観イメージ

同センターでは、クラウド技術や将来のサーバー機器の技術変化に柔軟に対応するため、「ダブルデッキシステム」が採用されている。ダブルデッキシステムでは、1フロアを上下に分割して上層はサーバーを設置する「コンピュータエリア」、下層は空調機などの設備機器を設置する「メンテナンスエリア」に区分する。これにより、データセンターの安全性、拡張性、環境性能が大きく向上するという。

ダブルデッキシステム(上層) コンピュータエリア

ダブルデッキシステム(下層) メンテナンスエリア

同センターは建物全体が免震構造になっており、地震時の水平方向の揺れを1/3程度に低減することができるという。さらに、上層のコンピュータエリアを支える下層側の鉄骨の間に設置された縦揺れ制振ダンパーにより、コンピュータエリアにおける垂直方向の揺れが20~40%程度抑えられるようになっている。

縦揺れ制振ダンパー

また、空調機器をダブルデッキシステムの下層部に配置することにより、サーバーを直接冷却可能で、サーバーラック領域(タスク域)に集中して冷却を行うタスク&アンビエント空調方式の採用などにより、空調効率が従来型より50%向上。これにより同センターでは30kWの発熱量を持つ高密度ラックも設置できるようになった。電源・通信ケーブルも、上下二層の空間を有効活用して空調環境を阻害することなく適切に敷設でき、将来の増設や更新への対応が容易という特徴もある。

タスク&アンビエント空調方式のイメージ。データセンター内の空間をサーバーラック領域(タスク域)と周辺領域(アンビエント域)に分割し、タスク域に集中して冷却を行う