東芝、神戸製鋼所(神戸製鋼)、慶應義塾大学(慶応大)の3者は9月11日、環境省が2012年5月に公募した「平成24年度地球温暖化対策技術開発・実証研究事業(補助事業)」に関して、「風車・太陽熱・バイオマスボイラを組み合わせたバイナリー発電に関する技術開発」の補助事業先に採択されたことを発表した。

研究期間は2012年9月(予定)から2014年度末まで、技術開発サイトの建設地は兵庫県南あわじ市阿万西町1062-1。総工費は約6億8000万円。そのうち約半分を補助金として環境省からの交付を受ける予定としている。

今回開発するシステムは、再生可能エネルギーである風力・太陽熱・バイオマスを熱エネルギー源として組み合わせ、沸点の低い媒体を加熱・蒸発させてその蒸気でタービンを回す「バイナリー発電」を行うことにより、自然条件の変化に関わらず、安定した電力に加え、温水の供給を可能とすることを目指すというものだ。

ただし、風力・太陽熱などの再生可能エネルギーは、気象条件などによって発電出力の変動が大きく、送電網への影響が大きいという課題があるのはご存じの通り。そこで、今回の技術開発では、風力・太陽熱の不安定さを解消するため、バイオマスを利用する仕組みだ。

3者の担当の内訳だが、東芝は太陽熱集熱装置、および発電システム全体を制御するシステム制御開発に加え、開発全体の取りまとめを行う。風力発電設備は、1.5MWの既存の風力発電設備の出力を流用し、新たな風車建設は行わない。

慶応大は東芝と共同で、風力発電の変動を抑えるソフトウェアを開発し、不安定な風力発電の出力を平準化する制御技術開発を行うと共に、風力発電による電力の変動分を太陽熱集熱装置の出力に加算するシステムを開発する。開発を担当するのは、理工学部 物理情報工学科の足立修一教授と小野雅裕助教だ。

そして神戸製鋼は、太陽熱集熱装置と木質バイオマスを熱源とするバイナリー発電システムの開発を行う。

3者によるこれら技術開発により、自然条件の変化に関わらず、安定した電力と温水の供給を可能とするシステムの開発を目指すというわけだ。

なお、今回のシステムは、兵庫県、洲本市、南あわじ市および淡路市が推進する地域活性化総合特区「あわじ環境未来島特区」事業の一環として、南あわじ市に建設ことになる。

2012年度は土地の整地などを行い、2013年度春から順次システムを据付稼働し、2014年度末まで実証試験を行う予定だ。なお、地元自治体である兵庫県および南あわじ市から、今回の研究開発に関する協力を得る予定としている。

画像1。今回の技術開発のイメージ