さて、予算の枠内で考えられる理想的なシステムと判断して導入したWindows Server 2008 R2 + Hyper-V + Citrix Xen Desktopという環境ですが、実際に導入してみると不満な点もありました。

ログオン時間

シンクライアントを起動してから、さらにXen Desktopにログオンするという二度手間になる点、まれにXen Desktopへのログオンに数分かかる点が、エンドユーザーから不評です。

Xen Desktopは仮想PCグループから未使用の仮想PCをログオンユーザーに割り当てます。そのとき、割り当てる仮想PCが停止状態だったり再起動状態だったりすると、仮想PCのOSの起動を待たなければならず、かなりの待ち時間になります(仮想PC環境をクリーンにするため、Xen Desktopは状況に応じて自動的に仮想PCを再起動します)。

仕様ではあるのですが、エンドユーザーには不評です。

また、希に、何度リトライしてもXen Desktopから仮想PCに接続できないことがあり、サーバーの管理コンソールから手動で仮想PCを再起動する必要があります。今のところこの原因は不明です。

レスポンス

仮想PCなのでもともと高速なレスポンスは期待していませんでしたが、まずまず実用的な体感速度を得られています。ただし、ときどき、数秒間~数十秒間…まるでフリーズしたかのように停止してしまうことがあります。プロセッサの負荷を確認すると、プロセッサ稼働率は半分にも満たず、プロセッサ負荷の問題ではありません。一方、メモリに関してはほぼ使い切っている状態なので、メモリ不足によるディスクスワップが発生してレスポンスを落としているのかとも思えます。

Windows Server 2008 R2 Service Pack 1では動的に仮想PCに必要なメモリを割り合ってることができるため、Service Pack 1に期待しています(本記事執筆時点で、まだService Pack 1の検証が済んでいないため、Service Pack 1未適用)。

フォルダリダイレクトとユーザープロファイル

ユーザー毎のドキュメントフォルダをフォルダリダイレクトでファイルサーバーに保存し、それ以外の個人情報も移動プロファイルでファイルサーバーに保存するようにしています。しかし、それでもなお、アプリケーションによってはユーザー設定環境を完全に保存することができず、ユーザーにはストレスになっています。

ライセンス認証の警告

Microsoft Officeを起動するとき、いちいちライセンスの警告を表示します。ライセンス管理サーバーを立てればいいのですが、そこまでのコストをかけるべきか悩ましいところです。気にしなければいいことではありますが、ユーザーにはうっとうしいストレスになります。

ライセンスに違反しているわけではありませんし、こうした問題はマイクロソフトに早急に解決してもらいたいところです。

図12 : Officeアプリケーションを起動する度にライセンス認証のウィンドウを表示します。これは、Xen Desktopが仮想PCを再起動する都度、仮想PC環境がクリアされ、Officeアプリケーションからは「新規インストールのPC」として認識されてしまうことに原因があるようです。

と、想定外の問題が悩ましいところではありますが、一方で、導入前から期待したメリットも十分享受できています。仮想化した各サーバー、クライアントを1台のサーバーPCに詰め込んでいますので、必要台数のサーバーPCやクライアントPCを購入するよりも、場所を取らず、節電でき、ライセンス料も安価に抑えることができています。

また、マスター仮想PCをメンテナンスして「更新」すれば対応するクライアント仮想PCを一括更新できますので、クライアント管理を大幅に省力化できました。

今後のシステム調整でどこまで快適な環境にできるか、これからが正念場です。