米IBMは10月14日、スイスの電力会社EKZと共同で、モバイル端末を活用して電気自動車充電管理の利便性向上を図るパイロット・プロジェクトを実施することを発表した。

同プロジェクトでは、IBMチューリッヒ研究所で開発されたWebベースアプリケーションと、ZHAW(チューリッヒ応用科学大学)が開発したデータ記録端末を活用。電気自動車に端末を搭載し、充電レベルや現在地などの情報を収集してIBMのクラウドに送る。アプリケーション側ではスマートフォンやWebブラウザからバッテリ残量や走行距離、現在地などをリアルタイムで閲覧することができる。

車の持ち主は遠隔地から充電の予約ができるほか、充電管理を電力会社に委任することができる。これは、電力会社が太陽光や風力等の再生可能エネルギーによる発電状況に応じて充電スケジュールを決定できるようにするためのもの。電気自動車が普及した際に想定される送電網の負荷調整を目的としている。

同プロジェクトでは、このプロセスを分析する目的で、EKZの施設にある太陽光発電パネルから発電量をリアルタイムで取得し、クラウドに提供。電気自動車は太陽光発電が行われている時間帯に充電される形となる。

EKZのEnergy Distribution部門長・経営幹部のPeter Franken氏は「当プロジェクトで、スマートグリッドの電力需給バランスを電気自動車で調整する仕組みを確立できると期待しています」と述べている。

画面上の4つのボタンから、バッテリー残量・走行距離・現在地・充電スケジュールなどがわかる

ルノー トゥインゴなど数台の電気自動車に端末を搭載