Webオーサリングツール「BiND for WebLiFE*」の最新バージョン「5」(以下BiND5)が9月に発売された。テンプレートから簡単に、かつHTML5やCSS3に対応したWebサイトを制作できる生産性の高いソフトとして定評がある。生まれ変わったBiND5について解説する。

●商品名
BiND for WebLiFE* 5
●動作環境
Windows XP(SP3)/Vista(SP2)/7(SP1)
Mac OS X v10.6.8/10.7
●価格
スタンダード版:1万9,800円
プロフェッショナル版:2万9,800円

BiND Server Basic コース
スタンダード版:6カ月無料
プロフェッショナル版:24カ月無料
※無料期間終了後は月額980円
BiND Server Premiumコース
スタンダード版:1カ月無料の後、初期費用5,000円+月額2,980円
プロフェッショナル版:3カ月無料の後、月額2,980円
※ショッピングカート+独自ドメイン+携帯サイトに対応
※そのほか、詳細は以下を参照
http://www.digitalstage.jp/bind/server/premium/
●表示閲覧互換性
【Windows】Internet Explorer 8 / 9、Firefox 5、Google Chrome 12【Macintosh】Safari 5、Firefox 5、Google Chrome 12【iPad, iPhone】※内蔵された「Safari」でPCサイトとして閲覧可能、一部コンテンツは非表示

外部メディアとの連携強化で、より集客力のあるWebを構築可能に

手書きでHTMLタグを打つことなく制作することで、効率的で生産性の高いWebオーサリングソフトウェアとして定評のある「BiND」の新バージョン「5」が登場した。今回は、各種ソーシャルメディアとの連携ツールをはじめ、クラウドサービスとの連携など、外部メディアを積極的に利用できるツールを多く搭載するようになった。Web制作ソフトという範疇を越えて、Webの運営に必要な機能が充実し、「集客できるWebサイト制作」を目的としたオーサリングソフトへと進化を遂げた。ここからは、「集客性を高める」というキーテーマに沿って、新機能の解説とともにBiND5の変貌ぶりを見ていこう。

ソーシャルメディアとの連携機能が充実

現在のインターネットの世界は、ソーシャルメディアとの関わりを抜きにしては考えられない。そうした背景の中で、検索エンジンからの一方的なアクセスだけではなく、同じ趣味や嗜好のユーザーが集まりやすいソーシャルメディアやコミュニティへの情報拡散が、サイトの集客力アップに欠かせない。そうした時代のニーズに対応した機能が「ソーシャル・コネクト」だ。

Twitter、Facebook、mixi、Google +1との連携ボタンの設置はもちろんのこと、更新情報を告知するための機能を実装している。ソーシャル・コネクトを利用すれば、コンテンツを更新するたびにフォロワーに知らせることが可能となるほか、アクセス結果も解析できる。また、サイトの各ページにコメント欄を設けたり、FacebookのLikeボックスを貼り付けることもできるほか、Twitterはタイムラインや「Follow me」バッジの設置も可能だ。そのほか、起動直後のサイトシアター画面で、サイトの解析状況を確認できるようになった。

ソーシャルメディアへの連携は「SYNC for WebLiFE 5」で設定を行う TwitterやFacebook、mixi、Google +1との連携ボタンや、「Follow me」バッジなども簡単に実装できる
サイトにFacebookページのLikeボックスの貼り付けも可能になった サイトシアターでアクセス数をグラフで確認できる。Google Analyticsと連携し、BiNDオリジナルのエンジンで表示させている

FacebookオリジナルページをBiNDベースで作成可能に

プロフェッショナル版には、オリジナルのFacebookページを作成、編集できる専用のテンプレートが収録された。BiNDでサイトを制作するのと同じ要領で、デザイン性の高いリッチなFacebookページを制作できる。

自前で制作する場合、iFrameを使えばHTMLベースのページを組み込めるものの、別途アプリが必要だったりデベロッパ登録などの煩雑な作業が生じる。BiNDであれば、テンプレートをベースに使いながら、BiNDのインタラクティブな機能をそのまま組み込めるので、大幅に作業時間を短縮できる点も大きな魅力だ。

Facebookページの作成には、起動後の画面「サイトシアター」に用意されたテンプレートを使用する。編集画面は通常のBiNDと変わらない。ただし、Facebookに組み込むには「BiNDサーバー」との契約が必要だ
Facebookページのサンプル例。「BiNDサーバー」にアップロード後、BiNDサーバーのコントロールパネルから、Facebook側にアップロードできる

レイヤー機能を新搭載した画像編集ツール「SiGN Pro」

BiND内蔵の画像編集ソフトSiGNが、「Pro」へとバージョンアップしたことも心強い変化だ。新たにレイヤー機能の追加、サイズの自由設定や縦書き入力が可能となっており、外部の画像編集ソフトなどに頼らず、SiGN Proの使用のみでも複雑な画像制作が可能だ。

特にレイヤーは各オブジェクトで「画像」「シェイプ」「テキスト」と、今回追加された「スタンプ」に分かれて表示される。Web専用のパーツ制作に特化した機能なので、エントリーユーザーはもちろん、ハイエンドユーザーにとっても素早く手軽にデザインできるツールだ。シェイプやテキストなど各レイヤーのオブジェクトを重ねた状態でも表示可能だ。また、各種テンプレートからの画像編集も行うことができるし、読み込んだテンプレートに対してもレイヤーの追加や削除が可能だ。

「SiGN Pro」の編集画面では、レイヤーの追加やレイヤー操作が可能 編集したいレイヤーの画像をクリックすると、各レイヤーの編集画面に遷移
デザインテンプレート(左)から、テキストやシェイプ、画像を置換して制作したサンプル画像(右)。画像の回転も可能になった
SiGN Proを使ってゼロから画像作成を行ってみた。レイヤーを駆使すると、文字の縁取りも可能だ

オフィス機能などとの連携も充実してクライアントとの折衝も効率的に

ほかにもWordやExcelといったMicrosoft Officeデータを、そのままのファイル形式でインポートができる「BiNDオフィス・インポーター」を実装した。たとえば、クライアントに原稿やグラフデータなどをオフィスデータで用意してもらった場合に、BiND5があれば、データを活用しながら効率よくHTML化できる。

EvernoteやDropboxといったストレージサービスとも連携できる点もうれしい。これらのサービスを上手に活用できれば、クライアントとの折衝上、原稿などのテキストデータや写真素材などの画像データを手配するにも、メールによる煩雑な作業を簡略化できるようになるだろう。こうした「使ってみないと気づかない」「一度知ると便利で助かる」機能がBiND5の特徴だろう。

「BiNDオフィス・インポーター」を使用し、Wordファイル(左)をコピー&ペーストでHTML化(右)
Excelにも対応しており、グラフの取り込みも可能
「サイトエディタ」画面の左下に「Evernote を開く」「ノートを作成」ボタンがある(左)。Evernote上では、サイトごとにフォルダが作成され、ページごとにノートが作成される
サイトデータの保存先をローカルかDropboxのどちらかを選べる。保存されたサイトは、ローカルとDropboxのサーバ上にアップロードされる
執筆:ななきち(よしむらなな)


(Web Designing10月号より転載)