他社ストレージからのデータ移行を稼働状態で実現

日本アイ・ビー・エム システム製品テクニカル・セールス Storage テクニカル・セールス ICPアドバイサリーITアーキテクト 佐藤龍一氏

「IBM Storwize V7000は、ミッドレンジモデルにハイエンドモデル向けの機能を取り入れた戦略的な製品です。現在、ミッドレンジストレージの需要は伸びていますが、従来のミッドレンジクラスが提供する機能だけでは戦えない市場になってきています。そこで、"コンパクトでありながらハイエンドの機能を搭載"というユーザーメリットを追求したモデルを送り出したのです」と語るのは、日本アイ・ビー・エム システム製品テクニカル・セールス Storage テクニカル・セールスのICPアドバイサリーITアーキテクト 佐藤龍一氏だ。

同製品に採用されたハイエンドモデル向けの機能とは、ストレージ仮想化機能と自動階層化機能だ。特にSANボリュームコントローラーの機能をそのまま取り込んだストレージ仮想化機能は、現在の企業が抱える問題を一挙に解決できそうなものとなっている。

「現在、企業ではさまざまなストレージが導入されています。性能に合わせて導入していることもあれば、価格で選択していることもあるでしょう。管理の平易さを特徴としているストレージもありますが、残念ながら現実にはメーカーごとに管理方法の差異があり、現場の負担になっています。IBM Storwize V7000は各種ストレージからのスムーズな移行と管理を実現する、真のマルチベンダーストレージです」と同氏。

同製品は単独で高機能なミッドレンジストレージとして利用することに加えて、稼働中のサーバを接続して統合環境で管理することもできる。管理用コマンドの統一など、管理が一元化されることで、管理負荷が大きく低減される仕組みだ。また、接続したサーバからIBM Storwize V7000の内蔵ディスクへとデータを移行することも可能。このデータ移行はサーバを稼働させたまま行えるため、OS標準のドライバーを使用していれば、サーバから参照するストレージを変更するだけで移行が完了するのだ。

移行後はFlashCopyなどの高速コピー機能を用いて、空いた既存のディスクをバックアップストレージとして使うこともできるから、既存資産の有効活用も実現される。

自動階層化機能「Easy Tier」でチューニングの負担から解放

自動階層化機能「Easy Tier(TM)」は、ストレージのチューニング作業を自動化してくれる。内蔵ディスクだけでなく外部ディスクも含め、同製品の管理下にあるすべてのディスクにおいてデータを最適配置してくれるのだ。

高価ではあるが高速なSSD、安価ではあるがアクセス速度の遅いニアラインSAS、コストとパフォーマンスのバランスがとれているSASをそれぞれ異なるストレージプールとし、業務を続けたまま動的にデータを移動したり、SSDとSASを自動的に見分けてアクセス頻度によってデータを配置したりすることも可能だ。後者の自動再配置機能を使用すれば、アクセス頻度が途中で変わっても自動的に配置の調整が行われるため、管理者はチューニング作業から解放されるのが魅力だ。

「頻繁にアクセスされるデータというのは、実は少ないものです。SSDをキャッシュ置き場のように使うことで、快適なデータアクセスが実現します。しかも最小でSSD3台から利用できるので、ハイエンドストレージよりも高機能と言えるかもしれません」と、同氏は語る。データの管理単位はチューニングできるが、最小で16MBの設定が行える。

本体サイズは2Uとコンパクトで、3.5インチドライブを搭載するモデルと2.5インチドライブを搭載するモデルの2種が用意されている。最小でディスク3台から利用を始め、状況に応じて拡張していく"スモールスタート"も可能だ。シン・プロビジョニングにも対応しているから、システムを停止せずにディスクの拡張・縮小を行うことができる。ムダのないストレージ利用と簡便な管理を求めている企業には最適なモデルだ。

「IBM Storwize V7000」

機能優先でハイエンドストレージを利用していた企業の新たな選択肢に

自動階層化機能やマルチベンダー環境の統合管理など、ハイエンドストレージでしか使えなかった機能を同製品は持っている。しかし、従来のハイエンドストレージへの需要をすべて吸収できるわけではない。

ハイエンド製品との違いは、「どれだけミッションクリティカルな用途に採用するか」というところにある。「きわめて高いパフォーマンスや可用性を求めるなら、やはりハイエンド製品を選択したほうが良いでしょう。また、充実した保守を求める場合もハイエンド製品が向いています」と、同氏は選択のポイントを語る。

ミッドレンジと呼ばれる枠をさらに細かく区分した場合、同製品はミッドレンジ中のミッドレンジという位置付けになる。ちなみに、ミッドレンジ層のローエンドになる「ミッド・ロー」という区分には「IBM System Storage(R) DS3500」が当てはまる。

「ミッド・ローの製品には、ある程度の機能を持っていながら低コストであることが求められます。これに対し、ミッド・ミッドでは機能が重視されます。IBM Storwize V7000は他社のミッド・ミッド製品と比較した場合、価格は同程度ですが機能で勝っています。ミッド・ハイを凌ぐ機能もありますし、別付けの制御装置も不要なため、19インチラックにすっきりと収まります」

IBM Storwize V7000はハイエンドストレージ向けの各種機能が、基本的に標準ライセンスで利用できるのも魅力的だ。災害対策のための遠隔ミラー機能、および外部ストレージのデータをすべて取り込み、常時運用する場合のみ仮想化するストレージ数に応じた追加ライセンスが必要となる。

「データ移行のために短期間外部ストレージを接続する場合は追加ライセンスは不要です。必要な機能は追加ライセンスなしですぐに使えるのも、IBM Storwize V7000のアドバンテージでしょう」と、同氏は語る

これまで、マルチベンダのストレージ装置が混在する環境で管理に苦労してきたという企業はもちろん、特定の機能を使いたいがためにオーバースペックなハイエンドストレージ装置を採用してきたという企業も、IBM Storwize V7000の導入を検討してみてほしい。