日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は3月24日、仮想化環境の運用管理を効率的に行い、統合管理を実現するソリューションとして管理ソフトウェア4製品を発表した。

今回発表された4製品は、運用管理プロセスの自動化とツール統合を可能とする「HP Operations Orchestration software 7.60」、ネットワーク管理プロセスの自動化とマルチベンダデバイスの対応を可能とする「HP Network Automation software 7.60」、仮想サーバと物理サーバ環境のシームレスなデータ保護を実現する「HP Data Protector software version 6.11」、仮想サーバと物理サーバ環境のイベント、パフォーマンスを包括監視する「HP Operations Smart Plug-Ins(SPIs) for Virtualization Infrastructure」となっている。4製品のうち、"HP Operations SPIs for Virtualization Infrastructure"が新たに追加されたソフトウェアで、それ以外はバージョンアップという扱いとなる。

日本HPのHPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 マーケティング部部長の樋口裕一氏

こうした製品を提供することについて、日本HPのHPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 マーケティング部部長の樋口裕一氏は、「これまでも運用管理やテストなどを組み合わせることで、IT部門がより高い価値を出せるような取り組みを進めてきたが、今回提供を開始したソリューションを活用することで、マルチベンダ環境に対応することが可能となる。こうした背景には元々はITマネジメントを簡略化し、コスト削減を実現するとしていた仮想化やクラウドの促進により、システム全体の複雑化やコスト増大が進み、結果的にITマネジメント複雑性が生じてきており、これを抑える必要が出てきた」とその背景を説明する。

4製品の主な管理分野は、Operations Orchestration softwareとNetwork Automation softwareが自動化、Operations SPIs for Virtualization Infrastructureが監視、Data Protector softwareがバックアップとなる。

Operations Orchestration softwareは、運用手順やソフトウェアリリース手順の自動化(ランブック・オートメーション)機能を提供する自動化ソリューションで、今回のバージョンではVMware vSphere 4.0/ESX、Microsoft Hyper-Vに対応、物理・仮想化環境を統一したオペレーションの自動化を可能とした。運用手順やソフトウェアリリース手順はワークフローとして管理され、実行状態をGUI上でリアルタイムに表示することが可能となっている。

Network Automation softwareは、マルチベンダネットワークにおける構成およびソフトウェアの変更を追跡、規制、自動化するネットワークソリューション。今回のバージョンでは、VMware ESX環境下における仮想スイッチ(vSwitch)をサポート強化することにより、vSwitchと物理ネットワークデバイス間でシームレスな統合ネットワーク管理を実現することが可能となった。

Data Protector softwareは、仮想化、暗号化、重複排除などの技術を活用したバックアップ、リカバリ環境の構築を可能とするソフトウェア。今回のバージョンでは従来のVMware vSphere 4.0/ESXの仮想環境のサポートに加え、Microsoft Hyper-V環境におけるVSS機能を用いたオンラインバックアップ、さらにHP XP/EVA/LeftHandディスクアレイと組み合わせることによるゼロ・ダウンタイム・バックアップにも対応したほか、Citrix Xen環境においても、プロキシサーバ経由でのオンラインバックアップに対応した。

日本HPのHPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 マーケティング部マーケティングプログラムマネージャーである星野敏彦氏

Operations SPIs for Virtualization Infrastructureは、ITインフラストラクチャ全体を監視し、可用性とパフォーマンスを統合管理するソフトウェア「HP Operations Manager software」のプラグインソフトウェア。物理/仮想、マルチベンダ環境の種類を問わず、同じコンソール上で一元的に監視、管理することが可能となる。VMware vSphere 4.0/ESX、Microsoft Hyper-Vに対応し、仮想化環境で生じたイベントの監視、仮想化環境特有の性能ボトルネックの検知を行うほか、仮想化環境の構成情報を自動的な検出、仮想マシンが移動した際の検知とMAPへの反映などが可能となっている。

「国内外と問わず仮想化を導入した際には3つの課題が生じる」(同社 HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部 マーケティング部マーケティングプログラムマネージャーの星野敏彦氏)という。この3つは、「多様性」「コントロール」「成熟度」で、中でも「最大の問題は仮想化の管理」(同)という。

現在の仮想化環境における課題(左の各種数値は同社が2008年に実施した調査によるものとのこと)

こうした問題解決に向け4製品が提供されるわけだが、星野氏は「こうしたシステムを活用することの目標は"物理と仮想の境界を越えた管理"」としており、こうしたツールを活用してもらうことで、関連したシステム同士が結びつき、よりシームレスに物理・仮想サービス管理が可能になることを強調、物理・仮想環境にまたがる包括的なシームレスな仮想化管理と自動化の推進を行うことで仮想化ROIの最大化を実現してもらえればとの期待を覗かせた。

物理と仮想の境界を越えた管理を行うことで、シームレスなツール連携とプロセスフローを構築することが可能となる

なお、4製品は2010年4月1日より提供され、価格はそれぞれOperations Orchestration softwareが2688万円から、Network Automation softwareが174万7,200円から、Operations SPIs for Virtualization Infrastructureが9万6,600円から、Data Protector softwareが18万4,800円からとなっている。