「XHTML/HTML+CSSスーパーレシピブック」を読む

書籍「HTML/HTML+CSSスーパーレシピブック」 エ・ビスコム・テック・ラボ著
2,940円

エ・ビスコム・テック・ラボの新作「XHTML/HTML+CSSスーパーレシピブック」は、イマドキのWebデザイナーは避けて通れないXHTMLとCSSによるWebページのコーディングについて300ページに渡ってじっくりと解説された技術書だ。Webページは、様々なブラウザから閲覧される。ちゃんとコーディングしたつもりが、他のブラウザで見たら崩れていたという経験はWebデザイナーなら、一度や二度ではないはずだ。これら様々なブラウザの特性を経験的に知っているベテランのWebデザイナーならともかく、全てを把握するのは困難だし、それぞれのブラウザで検証を行なっていくのは少々しんどい。この書籍に書かれているような、先人の知恵を使うほうが効率的というものだ。

XHTML/HTML+CSSスーパーレシピブックには、最近では閲覧対応環境としてサポート外とされることも多いInternet Explorer 5も対象に含めた様々なチップスが掲載されている。本書は、XHTMLとCSSについて一から学べるというタイプの教科書ではない。どちらかというと「やりたいことが既にあり、それを実現するにはどうしたらよいか」というWebデザイナーが見ると役立つ実践的な書籍だ。対応ブラウザや下位互換についてのコラムも掲載されており、ある程度スキルや経験のあるWebデザイナーが復習の意味を含めて読み返すのにも適している。本書の構成は、レイアウト、テキスト、画像、テーブル、フォームなど、Webページを構成するパーツごとに章立てされているため、逆引きも行ないやすい。

誌面は様々な工夫が凝らされている。何が出来るかだけでなく、どれが何に対応しているかも含めてチェックしておこう

HTML5とCSS3のビジュアルに関して「使える」ブラウザ実装を掲載

この書籍の魅力は、従来のコーディング手法を目的別に逆引きできる他に、HTML5とCSS3にも対応しているという部分。HTML5といえば現在も仕様策定中であり、CSS3も同様にまだブラウザごとの個別先行実装が行なわれているのみという状況。本書ではいくつかのブラウザで対応している今すぐ使えるCSS3のみを掲載しており、安心して使用することができる。例えば文字に影をつける「ドロップシャドウ」や角丸を実現する「ボーダーレイディアス」といった機能は現在も多くのサイトで使用されており、これらを多くのブラウザ対応にするためにはどうすればいいのかが、すぐにわかるようになっている。

CSS3は対応ブラウザが少ないが、複数ブラウザ対応にするにはどうしたらいいかがソースとともに掲載されている

HTML5のコラムでは、従来のHTMLとの互換性や新しく増えたタグなどの情報もある

本書を使った初心者向けの学習方法とは?

この本はあるタイプのWebデザイン初心者にも向いている。あるタイプとは、「とにかくやってみないとわからない」という手を動かして覚えるタイプの人だ。学習方法というのは人それぞれだが、実際にやって経験しないとわからないという人にとっては、多くのサンプルが詳細な解説とともにあるほうが学習を進めやすい。ただし、本書は1ページ目から読んで勉強するという構成になっていない。Webデザイン初心者は、テキスト、画像、背景、ヘッダー、フッター、レイアウト、メニュー、テーブル、フォームの順でサンプルをこなしていくといいだろう。最後まで行くと、HTML5やCSS3まで含めてある程度の制作ノウハウが身に付くのではないだろうか。

「ベテランだから」こそ見ておくべき内容

この書籍、実はベテランにこそ見てほしいと筆者は思っている。筆者の場合、Web制作を始めたのが1998年からなので、既に10年以上業界歴があり、ベテランともいえると思う。だが、ベテランのWebデザイナーは経験こそ多いものの、比較的最近の知識については積極的に吸収していないケースが多い。駆け出しの頃は必死で様々な情報を追いかけていたのだが、ある程度のことがこなせるようになると、自分の中に既にある技術だけで、制作を完結させてしまいがちだ。もし、あなたも心当たりがあるなら、本書を活用して、これまでのWeb制作知識の補完をし、HTML5やCSS3といった新しい仕様を理解しては、いかがだろうか。

ベテランのWebデザイナーには、巻末のTIPS INDEXが役立つ