野村総合研究所(NRI)は、2014年度までのユーザーインタフェース技術の進展とそのインパクトを予測した「ITロードマップ」を発表した。
それによると、現在、ユーザーインタフェース技術には2つの変化が起きており、1つはWebアプリケーションの機能や性能が、OSに直接インストールして利用するアプリケーションソフトと同レベルに向上していく変化で、もう1つは、人にとって自然なユーザーインタフェースの実現が進んでいるという変化だという。
そして今後、音声認識やモーションセンサーのように機械が人の動きを理解する技術や、洋服の肌触りやコーヒー豆の香りなど現実世界で得られる五感を仮想的に再現する触覚インタフェースや嗅覚インタフェースなどの技術が台頭し、ユーザーインタフェースは、人にとって、より自然なものになっていくという。
年代別では、同社では以下のように予測している。
2009-2011年度:黎明期
人が機械に合わせるマウスやキーボードといったユーザーインタフェース技術だけでなく、人にとって自然なユーザーインタフェースが台頭。音声認識やマルチタッチ、モーションキャプチャーなど人の挙動を認識する技術と位置情報など人の状況を認識する技術が先行して普及する。心拍や脳波など生体情報を認識する技術については、医療機関以外でも一部のゲームやマーケティング調査用途で限定的に利用され始める。
2012年度以降:普及期
音声認識やマルチタッチ、モーションキャプチャー、位置情報は汎用的なIT機器に広く搭載されるようになり、企業はアプリケーションにふさわしいユーザーインタフェース技術を自由に選択し組み合わせて提供できるようになる。五感を再現する技術は視覚・聴覚・触覚・嗅覚を組み合わせたマルチモーダルの方向へ進展し、視覚インタフェースは、高精細化が進むとともに3D表示デバイスの普及から、多くのコンテンツが3DCGに切り替わることが予測される。また、触覚インタフェースは徐々に小型化され、一部の消費者に利用されはじめ、嗅覚インタフェースはデジタルサイネージなどでの商用利用が広がる。