NTT 代表取締役副社長 宇治則孝氏

日本電信電話(以下、NTT)、パナソニック電工、富士ゼロックス、シャープ、日本電気(以下、NEC)、バッファローの6社は、NTTが開発するホームICT向けサービス基盤(以下、ホームICT基盤)の実証実験を共同で実施することを発表した。

ホームICT基盤は、家庭やオフィスの家電機器をネットワークにつなぐためのプラットフォーム。「誰もが使える」、「安心、安全」を基本コンセプトに、メーカー各社の家電機器が混在する環境においても、それらをネットワークにつなぎ、統合的に管理/操作することができる基盤として開発されている。ドアの施錠/開錠や照明のON/OFF、防犯カメラ映像の確認、ビデオの録画、電気使用量の確認、ヘルスケア機器で計測したデータの閲覧などを携帯電話や遠隔地のPCから行えるようなホームICT環境が、同基盤を活用することで容易に構築することができる。

ホームICT環境のイメージ

NTT 取締役 研究企画部門長 篠原弘道氏

ホームICT基盤は主に、家庭/オフィスに設置するゲートウェイと、NTTの拠点や外部プロバイダー等に設置するホームICT基盤サーバによって構成される。ゲートウェイが家庭/オフィス内の家電機器と通信。その情報をホームICT基盤サーバとの間で送受信して、携帯電話やPCなどから制御できるようにする。

ゲートウェイのソフトウェアは、OSGi(Open Service Gateway Initiative)フレームワークをベースに開発されている。同フレームワークの上には、NTT製バンドル(ソフトウェアモジュール)と呼ばれる共通ライブラリが搭載されており、「DLNA(Digital Living Network Alliance)」、「DPnP(Universal Plug and Play)」、「ECHONET」、「ITU-T H.622.1」など、さまざまなプロトコルをサポートしている。プロトコルの変換も自動で行われるため、家電機器メーカーは既存製品に対して特別な対応を施す必要がない。

また、新たなデバイスが追加されればゲートウェイがそれを検知し、必要に応じてサービス事業者が提供するソフトウェアモジュールがホームICT基盤サーバから自動的にダウンロードされる仕組みになっている。そのため、ユーザーは煩雑な設定作業が一切不要だという。なお、このダウンロード機能については、NTTがOSGiに標準化の提案をしており、2010年4月にOSGiフレームワークに正式に取り込まれる予定だ。

ホームICT基盤の概要

NTTでは、検証センターを設置し、ホームICT基盤のテストベッド環境を12月より提供する。パートナー5社は、自社製品との接続性を検証し、同基盤を通じたサービス提供が可能かどうか確認していく。

各社のホームICT基盤に対する取り組みは以下のスライドのとおり。

パナソニック電工の取り組み

富士ゼロックスの取り組み

シャープの取り組み

NECの取り組み

バッファローの取り組み

なお、パナソニック電工では、「エアコン/照明のON/OFF、侵入情報の通知、来客画像の確認を携帯電話やPCから行える『ライフィニティ』をすでに提供しているが、現状では新築住宅にしか提供できなかった」と説明。そのうえで、「ホームICT基盤が実用化されれば、同システムを既築住宅にも安価で簡易に提供できるようになり、ビジネスチャンスが広がる」と、ホームICT基盤のメリットを紹介。他社も同様に、自社で展開してきたサービスが簡単かつ安全に利用できる点などを強調した。

発表会に参加した6社の代表