リクルートが運営するサイト「リクナビNEXT Tech総研」は10月1日、技術系職種を大きく8つに分け、各分野のベテラン転職アドバイザーたちが短期の求人動向を予報する「採用天気予報」の最新版(2009年10~12月期)を発表した。

全体の動向として、「今回の世界不況の影響が国内では製造業不況として現れているため、その屋台骨を担うエンジニアの採用の低調は避けられない状況。また、企業が新たに中途採用市場に目を向け、人員を増やすという前向きのマインドになっておらず、こうした厳しい状況が今年一杯は続く」と、同サイトでは予想している。

しかしながら、「求人低迷の底は今年の5月。低迷はしてもこれ以上は落ちない」というのが、企業の採用動向を間近でウオッチしてきたキャリア・アドバイザーの共通意見だという。

一方で、一度不況を経験した企業は採用選考の目が厳しくなるというのも、これまでの経験から言えることだとしている。技術の専門性や経験年数に加え、コミュニケーション能力やマネジメント力、語学力といったビジネススキル、さらに事業を自らが担って収益にも関与するという、ビジネスマインドへの要求度も高まってくるという。

同予報では、技術者を「制御系SE」、「アプリ系SE」、「コンサルタント」、「ネットワーク」、「電気・電子系」、「機械・メカトロ系」、「半導体系」、「化学・材料系」という8職種に分けて、各職種の求人人数の予測を行っている。

求人状況を天気にたとえて上から、「晴れ」、「晴れときどき曇り」、「曇りときどき雨」、「雨」の5段階で評価しているが、アプリ系SEが「曇り」で最もよく、制御系SEと半導体系が「雨」で、残り5分野が「曇りときどき雨」と予測されている。

2009年10月から12月までの技術系職種の「採用天気予報」 資料:リクナビNEXT Tech総研

アプリ系SEについては、保険、クレジットカード、銀行関連のシステム構築案件に対応した動きがあると、分析されている。なかでも銀行の一部でグループ内の情報システム部門に若手を育てようという動きがあり、サブリーダークラスの人材採用意欲が高まっているとのこと。もう1つのキーワードが「BI」で、特に製造業や流通業関連企業向けのBIシステムの構築経験があるSEが求められているという。さらに、自社ブランドでパッケージソフト製品を擁する企業は堅調で、エンジニア求人が続いているとのこと。技術者については、「ビジネスマインド、営業マインドを持っている技術者」が強かったというコメントがなされている。

その他の分野の技術者に関するコメントは次のとおり。

職種 傾向 求められている人材
制御系SE 大切なことは技術力とマネジメント力の幅を広げておくこと 幅広い知識・開発経験(ファームからアプリレイヤまで)など
コンサルタント 新規市場を狙うファームは「仕事を取ってくる」能力に期待 新規参入業界の業務知識、企業統合に関する経験・知識など
ネットワーク データセンター構築・運用、ポータルサイト構築が元気 サーバ全体の知識、高トラフィックのインフラ構築経験
電気・電子系 医療機器や重電系において需要あり、狙いを定めることが大切 医療機器の知識、シーケンサーやPLCの経験
機械・メカトロ系 省エネ・環境系は健在、中小ニッチトップ企業にも可能性あり エアコン、プラント、医療機器、遊戯機器などの開発経験
半導体系 混迷の度を極める半導体エンジニアの転職、出口は見えず 次世代メモリ開発技術、英語力など技術以外の専門性
化学・材料系 技術営業系に可能性はあるものの、全体に低調のまま 電池系の技術者、分析機器のアプリケーションエンジニア