ティブコソフトウェア スポットファイアー部門 マーケティング担当バイスプレジデント マーク・ローリオン氏

経済状況がめまぐるしく変化するなか、ビジネス・チャンスを的確に把握するためのツールとして、数年前から注目を集めているビジネス・インリジェンス(BI)ソフトウェア。2007年には、オラクルがハイペリオンを、SAPがビジネスオブジェクツを、IBMがコグノスをといったように、大手ソフトウェア・ベンダーによるBIベンダーの買収が相次いだ。そんななか、ティブコソフトウェアによって買収されたのがBIツール「Spotfire」を持つスポットファイアーだ。

現在、「TIBCO Spotfire」ブランドで製品を展開するティブコソフトウェア スポットファイアー部門は、今年5月に最新バージョン3.0を米国で発売し、この7月には、日本語版を提供する予定となっている。日本語版発売を前に来日したマーケティング担当バイスプレジデント マーク・ローリオン氏に、最新版の特徴などを聞いた。

新版の特長

ローリオン氏は、まず、現在の企業が置かれた状況について、不確実性が増し、新しい経済パラダイムに入っていると指摘。そのうえで、「困難な時代に市場のリーダーとなるのは、リスク管理に優れ、新たなビジネスチャンスを見つけ出す能力に優れた企業。価値ある情報のなかから新しい洞察を迅速に発見し、常により優れた意思決定ができる組織が勝ち残る」と説明した。

その具体的なアプローチとして、最新版では、「アプリケーション統合機能の向上」、「企業ユーザーに対応したスケーラビリティ」、「新しいビジュアライゼーション機能とリアルタイム更新」という3つの点に注力したという。

アプリケーション統合機能を強化

アプリケーション統合機能としては、Spotfireアプリケーション・データ・サービスによって、主要な業務アプリケーションからのデータ検索を提供する。

具体的には、Oracle E-Business Suite、Siebel eBusiness Applications、SAP NetWeaver Business Warehouse、SAP R/3、Salesforce.comといったERPやCRM製品と連携させながら、業務データをSpotfire上でリアルタイムに表示できるようにした。「データウェアハウスやデータマートを構築せずとも、高度な分析ができる。Spotfireのキャッシング・レイヤー(データをメモリ上で処理する独自のインメモリ技術)により、遅いデータソースからのデータ・アクセス・スピードも向上する」という。

アプリケーション統合機能の特長

スケーラビリティの向上

スケーラビリティについては、新たにロードバランシングと、フェイルオーバー機能、マルチテナント構成に対応したことを挙げる。

Spotfireの基本構成は、Webブラウザを通してデータを閲覧するためのクライアント「Web Player」と、データを格納しWeb Playerに配信するためのサーバ「Web Player Server」で構成される。これまでも、Web Player単体で、数万件のデータを数秒でインポートし、クライアントPC上でリアルタイムにデータを分析することは可能だったが、ロード・バランシングやフェイルオーバーに対応したことで、「より多くのユーザーに対して、より高いデータ・スループットを、高いアベイラビリティで提供できるようになった」とする。

スケーラビリティ向上のポイント

新しいビジュアライゼーション機能を搭載

3つ目の特徴である、新しいビジュアライゼーション機能とリアルタイム更新は、ツリーマップへの対応、地図情報への対応、棒グラフ/折れ線グラフ/エラーバーの表示機能などを指している。

ツリーマップは、株価の高低や時価総額の大きさをタイル上に色別で表示する例などで知られる情報可視化の1つのアプローチ。「事前処理を施すことなく、さまざまなデータをツリーマップで表示できるようになった。これはユーザーからの要望が特に大きかった機能の1つ」という。

ツリーマップのデモ。真ん中上部に表示されたタイル上のグラフがそれ

地図情報については、ベクター形式の画像をデータに付加できるようにしたもの。これにより、例えば、ある商品の販売実績を国別、地域別に色分けして表示するといったことが可能になった。

地図情報対応のデモ。地図上でマウスで選択した地域のデータのみに絞込み、それをグラフ化する、といったことも一瞬でできる